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UXリサーチャーとして働き始めて1年が経った

2019年1月16日にメルペイに2人目のUXリサーチャーとして転職し1年が経ち、今日から2年目に突入しました。同じタイミングでリクルートからスタートアップに転職した同期が1年を振り返るnoteを書いていたので、私もまとめてみようと思います!

リクルートでやっていたこと

人材領域にてデジタルマーケティング→PdM→UXデザイナーと様々な職種を経験しました。以前退職エントリーを書いたので、詳しくはこちらのnoteをご参照ください。

なぜメルペイに転職したのか?

UXリサーチを極めたかった
一番大きな理由は、UXリサーチの第一人者といえるほどこの職能を極めたいと考えていたためです。そのためにはUXリサーチャーというポジションが確立されている環境であることはマストで、さらにメルカリ・メルペイのバリューである Be a Pro -プロフェッショナルであれ- は専門職として自分の目指す方向を実現できそうだと感じていました。

新規事業にチャレンジしたかった
また、新規事業フェーズを経験したいという思いがありました。退職エントリーにも書いたのですが、まだ誰もやったことがない領域で理論の実践にチャレンジすること、そしてそこから得られる新しい学びや知見にこそ価値があると思っていたのです。

この「UXリサーチのポジションが確立している」✕「新規事業である」という条件をかけ合わせた時点でもう選択肢がメルペイしかなかったのですが、さらにメルペイが目指している「信用を創造して、なめらかな社会を創る」というミッションへ共感していたことと、一方で中国の信用事業の状況等を調べるほどにこの事業は公共性が高くなる可能性を秘めており、サービス設計者に倫理観が求められるとも感じていて、ビジネスゴールとユーザー体験を両立しながら公共性の高い事業を作っていくことにUXリサーチャーとして関われるのは面白そうだと思いました。

メルペイでやってきたこと

1-3月 小さな成功体験
入社してなんと1ヶ月後にサービスローンチを控えていることを知らされ、とにかく仕様や業界知識のキャッチアップに追われつつも、入社4日目には早速社内ユーザビリティテストを行っていました。さすがスタートアップ、スピード感がすごい!そしてみんなで無事迎えたローンチの瞬間は本当に感動的で、忘れられない思い出となりました。エモい。

また、社内ツールの改修プロジェクトを担当しました。ツール利用者であるカスタマーサポートのメンバーがいる福岡拠点に3回ほど出張し、PdM・デザイナー・エンジニアと一緒にリサーチをしながらツールを改修していき、事業目標を達成することができました。私の中ではメルペイで初めて一人で担当し、うまくいった感覚を掴んだ思い入れのあるプロジェクトです。このリサーチプロセスについては以前s-dev talksにて発表させていただいたので、詳しくは資料ご参照ください。

4-6月 広がる協働
マーケティングチームとプロモーション施策の定性評価を行ったり、データアナリストとリサーチプロジェクトを立ち上げたりと他職種と協働する機会が増えていきました。また、社内の新規事業コンテストから生まれたアイデアを実行するにあたり、リサーチプランの提案からフィールド調査なども行いました。このように組織内で活動が認知されリサーチで関われる範囲が広がっていくのは有り難い一方で、2人体制のチームではキャパの限界も見えてきます。そのような課題感から、組織力向上に向けてResearchOpsに本格的に着手し業務効率化やアシスタント採用を行ったのもこの時期でした。この時考えていたリサーチの組織力向上についてはDesign Research Tokyoにて発表させていただきました。

そしてこの頃から組織やチームに興味が出てきて、自分が所属するデザインチームのオフサイト(合宿)の企画運営なども有志ではじめました。

7-9月 選択と集中
会社として注力しているCredit Designの部署にコミットすると決めてdeep diveする、選択と集中の時期になりました。私としてはぜひ関わりたいと思っていた信用事業!メルペイスマート払い(旧:メルペイあと払い)という既存機能の改善や、新規立ち上げプロジェクトが並行して動いていて、やることも多くカオスな状況を楽しみながら毎日過ごしていました。Credit Designについて詳しくはぜひこちらの記事を御覧ください。

また、UX MILK Festにて、メルペイで毎週行っているUXリサーチのスキームを「Agile UX Research」と題してキーノートトークさせていただきました。100名以上の方にご参加いただき、反響もいろいろいただけて私にとって大きなイベントとなりました。

10-12月 新しい仕込み
引き続きCredit Designにコミットしながらも、メルペイカンファレンスで外部に発表した事業戦略を実行に移していくためのリサーチも行っていました。例えば以下の記事になっているような事例です。ビジネス上重要な戦略に対して、最適なユーザー体験をつくりだしていくというのは制約もある中バランスが難しくチャレンジングなことでした。

また、自主調査を行ったり、新しい調査手法を試したりする余力も出てきました。こちらは現在進行中なので詳しくお伝えできないのですが、後日noteにまとめるか、どこかで登壇させていただき発信したいなと思います。

そして、チーム拡大に向けてとにかく採用を頑張った時期でもあります。採用戦略の検討からイベント企画、スカウト、リファラル会食、面談などなど、思いつく限りのことをHRと協働しながら進めてきました。例えば以下のようなイベントです。この時期は自分はイベント屋か…⁉︎と思うほど企画やディレクションに奔走していました。

採用のためなら何でもやる!ということで、メディア取材を積極的にお受けしたり、自分たちで執筆し情報発信も行ったりもしました。

ポップインサイト社のオンラインセミナーにも登壇させていただき、有り難いことに新しい方にお会いする際「セミナー視聴しました」とお声がけいただくことが多くなりました。

転職してよかったこと

All for OneとBe a Proのバランスが良い
メルペイは会社のバリューであるAll for One -全ては成功のために- と Be a Pro -プロフェッショナルであれ- のバランスがちょうどよく、世の中を良くする事業をつくりたい、そのための一つの手段がUXリサーチであると考えている自分にとっては良い環境だと感じています。事業の成功のためなら時にはUXリサーチの枠を超えて動くこともあるし、一方でプロフェッショナル同士がお互いの専門性を尊重しながら協働しようとする風土も強く、自分自身ここ1年を振り返ってもUXリサーチの専門家として経験を積みキャリアアップもできているように思います。

自分の手で組織や事業を良くしていける実感がある
事業をつくるのは最高の組織であり、最高の組織は自分の働きかけで作っていけるという実感があります。自分の手で変えていけると実感を持てる範囲が広いのは裁量があってとても面白いし、事業や組織に対して当事者意識を持てるポイントだと思います。これが結果として自分のスタンスの変化をもたらしていて、以前の私だったら例えばオフサイトの企画といった組織開発や採用などは私の仕事ではないから、と線引きして興味すら持っていなかったように思います。(実際にリクルート新卒時代、上司や先輩からのフィードバックは「周りの人に興味がなさすぎる」「協調性がない」というようなことばかりでした。)自分で自分の枠を決めつけず、事業の成功のためにまずはやってみるというスタンスでいると、結果として思わぬところでUXリサーチのケーパビリティが転用できたり、自分の可能性も広げてくれたようにも思います。

経営者がより近い存在になった
プロダクト責任者であるCPOと定例の時間を持っていて距離が近いです。毎週全社員が集まる定例がありその場で経営陣からのメッセージもありますし、slack上でもオープンにディスカッションが行われていたり、情報もほぼ全て開示されるため、経営者の目線まで視座を上げられる機会が多いのは性善説で動いているスタートアップで働くメリットだと思います。私は経営者の右腕になるようなリサーチャーになりたいというのが一つの目指している方向性なので、勉強になる日々です。

実践と研究の反復ができる環境
メルペイではUXリサーチ専任の組織がすでにある業界でも珍しい組織なので、私たちが直面している課題はこれからおそらく日本のUXリサーチ市場が育つにつれて他組織も直面するであろう課題なのだと思います。この実践知を理論化するべく研究も行いたく、社会人大学院に進学準備をしている段階です。このような考えに至ったのは博士課程を修了しており学術バックグラウンドが強い同僚の影響が大きく、メルペイでの事例で論文をかいている姿に刺激をもらっています。

とにかく今面白い領域である
決済領域はプレーヤーが多く、日々ニュースが尽きずめまぐるしく状況が変わっていきます。そのような領域で特に大きな資本に対して、戦略や組織力、そしてユーザー体験でどう挑んでいくかというのは大きなチャレンジです。大戦国時代ともいえる今この領域にいてよかったと強く感じています。

最後に

あっという間の一年間、駆け抜けてこれたのは同僚たち、特にデザインチームの皆のおかげです。これからの一年も激動になるであろうことは確実なので、来年の振り返りがこのnoteとどんなに変わっているかが今から楽しみです。引き続きUXリサーチャーを採用してますので、ご興味があればぜひご応募お待ちしております!


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