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リクルートからSaaSスタートアップに転職して1年が経った

2019年1月で、リクルートからプレイドKARTEというBtoB SaaSを提供しているスタートアップ)に転職してちょうど1年が経過した。改めてここ1年で取り組んだことや学んだことなどを雑にまとめてみたい。

自己紹介

2014年に大学を卒業し、新卒で株式会社リクルートホールディングスにネット採用として入社した。約4ヶ月の開発研修後、株式会社リクルートジョブズに配属になり、そこから約4年半働いた後、2019年1月に株式会社プレイドに転職した。その他細かいプロフィールは以下を参照。

リクルートでやっていたこと

 1〜2年目
配属直後はタウンワークのディレクターとしてWebサイトのUI/UX改善をしたり、仮説検証サイクルのスピードを爆速にするための体制構築に従事していた。

2年目になり、1年目で立ち上げたチームのプロダクトオーナーとして、開発ロードマップの策定やクロスファンクショナルなチーム作り、新商品開発プロジェクトにて要件定義、プロジェクト推進などを担当していた。

3年目
3年目にエンジニアのグループに異動し、エンジニアとしてはたらいくのiOSアプリのリニューアルプロジェクト、リリース後のエンハンスなどを担当した。

4〜5年目
4年目のタイミングで再び異動。toC向けではなくtoB向けの採用管理システムのプロダクトマネージャーとして要件企画、ディレクション、分析などを担当。最後の1年間はSMB向けの新規プロダクトの立ち上げプロジェクトにて、プロダクトマネージャーとしてプロダクトの要件企画、UXリサーチ、プロジェクト推進などに従事していた。

ディレクター→プロダクトオーナー→エンジニア→プロダクトマネージャーと、役割は変わりつつも「プロダクトを創る、良くする」ことに一貫して関わっていた。なので営業とかMP(メディアプロデュースの略で商品企画や営業推進を行う職種)は全く経験していない。

なぜプレイドに転職したのか?

正直そこまで深い理由はなく、「どっちで働く方が楽しそうか、ワクワクするか」という観点で天秤にかけた結果、転職するという判断に至った。楽しそうと思ったのは主に以下の点。

事業内容に対する共感
プレイドは「データによって人の価値を最大化する」というミッションの元、Webサイト、アプリに来訪するユーザーを可視化し、ユーザーに対して最適なコミュニケーションをワンストップで行える「KARTE」というサービスを運営している。タウンワークでUI/UX改善をしているときに、ユーザー単位で行動を分析してUIを変えたいと思っていたが、実現まで至らなかった、という経験があった。自分が当事者としてそこに課題感を持っていたので、プレイドが取り組んでいる事業内容に共感した。

あとはミッションの背景にあるアイデアとして「インターネットの構造的欠陥を解決する」というものがあり、個人的にはこれも刺さった。ミッションについては以下にまとまっている。

KARTEというプロダクトの可能性
1つ目の理由とも関連するが、シンプルにKARTEというプロダクトに惹かれた。前職でもマーケティングツールは使っていたが、上述の通り、ユーザー単位に行動が分析できて施策まで行えるツールは他になかった。特に「KARTE Live」という、サイト内でのユーザー行動を動画で見れる機能を面談時にデモで見せてもらったのが刺さった。これも、リクルート時代にリサーチ会社に依頼してユーザーテストを頻繁にやっていた経験があり、その大変さを知っていたので刺さった部分が大きいと思う。

(いい意味で)よくわかんない組織
面談のときに「マネージャーが不在」「評価制度がない」「チームが2〜3ヶ月で流動的に変わる」といった内容を聞いて、リクルートとはぜんぜん異なる組織運営をしていて、どうやってそれで組織が回ってるんだろうと興味を持った。プレイドの組織については以下のnoteにも詳しくまとまっている。

プレイドでやってきたこと

 1月〜3月
2018年12月にリリースされた「KARTE Datahub(以下Datahub)」というデータ基盤プロダクトを担当しているチームにジョインした。PdMという役割で入ったがやっていたことは以下のように多岐に渡った。

・開発機能の要件企画、ディレクション
・新規/既存CL向けのセミナー企画、講師
・プリセールス
・ユースケースや設定方法の仕組み化、ドキュメント化
・管理画面の開発(軽微なUI修正など)
・クエリ(SQL)の作成
・外部サービスの連携検証

今でもそうだが、入社直後は特にプロダクト、事業の成長になるのであれば職種やロール関係なく何でもやる!という気概だったので、様々な業務に携われたのはむしろよかった。toCと違い、toB SaaSの場合はプロダクトだけでなくビジネスオペレーションもPdMの扱う範囲に含まれてくる。(※)特にDatahubは立ち上がったばかりのプロダクトだったため、プロダクト開発だけでなく、セールス〜オンボーディング〜カスタマーサクセスまでのオペレーション強化に関連する業務も多かった。

Product Manager Conferrence 2019で弊社棚橋が発表したスライドに詳しいことが載っている。

とにかくこの時期はキャッチアップに必死であっという間に月日が過ぎていった。プロダクトの特性上、SQLやデータ構造といった所謂データマネジメント業務に詳しくないとそもそも話にならなかった。前職で多少のエンジニア経験はあったものの、データマネジメントの経験も知識もそこまでなかったので苦労した。とはいえ、わからないことがわかるようになったり、できないことができるようになっていくことで自分の知的好奇心、探究心が満たされていくのが楽しかったし喜びでもあった。ユースケースのドキュメント化の一環で、CX Clipというオウンドメディアで以下のような記事を書いたりもしていた。

KARTE DatahubとGoogleデータポータルを連携してクエリ結果を可視化する
ページ毎の閲覧人数を任意の期間で集計して、サイト上に表示する
Webサイトに表示するコンテンツデータをCSVファイルで管理する

4月〜5月
DatahubのPdMと並行して、希望してKARTEのセールスも担当することになった。上述の通り、リクルート時代は全くの未経験だったのにも関わらず、希望した翌週にはセールスのチームにアサインされていて、スタートアップっぽさを感じたのを覚えている。

1日平均3アポくらいで新規提案しまくっていたのでとにかく忙しかった。そもそもズブのド素人だったことに加えて、元々プレゼンやそういう類のものに若干の苦手意識を持っていたので、こちらも初期は苦労した。幸い、2ヶ月で数件受注することができたのでよかったのだが、個人的にはもう少し続けて学びを深めたかったとも思っている。

当時の日報にはこんなことを書いていた。

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6月〜9月
全社的にカスタマーサクセスを強化するという方針の元、カスタマーサクセスを行うチームに異動になった。振り返ってみればこの時期が一番忙しく働いたように思う。カスタマーサクセスと平行して「クエリコレクション」というSQLを1から書かずにデータ抽出が行える機能の正式リリースが控えていたので、日中はクライアントワーク、夜からリリースに向けた各種作業といった具合だった。担当していた機能は無事にリリースすることができた。

カスタマーサクセスもセールス同様未経験のまま行うことになったが、セールスとはまた違う難しさを感じながら日々働いてた。あくまで自分の業務分掌においてだが、セールスに比べると扱う範囲がかなり広くなるのでその分求められるスキルセットが多い。KARTEの場合、他のSaaSと比較して以下の要素も含んでいるのでより難易度が高かった。(カスタマーサクセスは割と総合格闘技に近いと個人的には思っている。)

・プロダクト内の機能が多いかつ頻繁にアップデートされるため、機能理解の難易度がそもそも高い
・ユースケースが限定されていない(多種多様な業界×多種多様な課題に対応する必要がある)
・単に活用してもらうだけではまだ足りなくて、活用した結果の効果まで含めて考える必要がある

また、当時は40〜50社程度のクライアントを担当していたので、「いかにサポートの質を下げずにより多くのクライアントに向き合うか」ということも考える必要があったのだが、そこまで取り組むことができず、結果的に労働集約的な働き方になってしまったのは反省。

日々苦労しながらも楽しく働けていたのだが、もう少しプロダクトサイドにコミットしたいという思いが強くなっていた。当時のtweet。

10〜12月
10月にまた異動し、KARTEの新プロダクトのPdMを担当することになった。Datahubではなく、これからまさに開発を進めようとしているプロダクトだ。このように頻繁にチームや役割が変わるのもプレイドの特徴の一つだと思う。

元々、興味持ったことに手を拡げてしまうタイプなので、既存で抱えていた業務の引き継ぎや調整がうまくできず、フルでコミットできなかったのがまずまずの反省ポイント。

この時期はとにかく「プロダクトの解像度を上げる」ことに注力していた。具体的には以下のことをシャープにするために、潜在CLへ業務ヒアリングを行ったり、プロトタイプを当ててみてフィードバックをもらったり、プロダクトの理想状態をチーム内で議論したり、競合サービスの調査をしたりしていた。あとはinspiredを改めて読み直してみたり。

・誰が使うのか
・いつどうやって使うのか
・その人たちの課題は何か
・それをどうやって解決するのか
・なぜそれを使うのか

※自分が読んでいたのは初版だが、最近第2版になり、大幅に内容がアップデートされたらしいので、これから読む人は第2版が良いと思う。

とはいえ、チームリーディング含めまだまだできていないこと/やらなければいけないことだらけなので、今年は「プロダクトを作るのはチームである」ということを改めて強烈に意識して、その上で良いプロダクトを提供できるように精進したい。弊社CPOがPdMについて社内向けのドキュメントにまとめていた文章を一部抜粋する。

最も多い間違いが Productという冠のせいで、その進め方/チーム運営へのコミットが薄くなること。結局、Productを押し進めるのはチームであるから、「チームをどう機能させるか」が最も大事な役割であって、「Productの進む道を示す/考える」はその中の小さなタスクの一つに過ぎないことを意識したい。

転職してよかったこと

職種の「越境」ができた
PdM→Sales→CS→PdMと、1年の中で未経験の職種を多く経験することができた。リクルート時代は入社後ずっと開発組織にいたので、営業とかカスタマーサポートといったクライアントと向き合う経験は皆無だった。(社外の人と打ち合わせする機会などほぼなく、名刺をほぼ消費しなかったのを覚えている。)

未経験でも割とフレキシブルに様々な業務を経験できたのは、スタートアップならではだと思っている。

クライアントとの距離が近い
前職でもtoC/toBどちらにも関わっていたが、実際にプロダクトを利用しているユーザーとの距離はそこまで近くなかった。プレイドの場合は普通にクライアントに会いにいくことができるし、管理画面の使用感に対してのフィードバックもすぐにもらえるので、プロダクト改善をする上で非常にやりやすいと感じている。

また、KARTEのスタンスに共感してくれるクライアントも多く、クライアントと同じ目線で一緒にプロダクトを作っている感覚がある。β版としてクライアントに提供→フィードバックをもらう→フィードバックを元に改善する→といったループを回しやすいのも良かった。

プロダクト、事業に真剣に向き合ってる人が多い
当たり前っちゃ当たり前かもしれないが、プロダクトをもっと良くしたい、事業をもっと伸ばしたいと真剣に考えている人が圧倒的に多い。加えて、物事を本質的に考える人が多い。issue1つとっても局所的に解決するアプローチではなく、まず抽象化した上でより根本的な課題を解決するアプローチを取る人が多いように思う。もちろん状況によっては局所的に解決するアプローチが良い場合もあるが、ベースの考え方としては後者が多い印象を持っている。

また、優秀な人や人間的に面白い人も周りに多く、それも日々刺激になっている。ここはリクルートにいたときも感じていたので、厳密に言うと転職してよかったことではないかもしれない。

総じて毎日楽しく働けている。

最後に

長々と書いてきたが、本当に光の速さで過ぎていった1年間だった。今年は去年以上に圧倒的な成果を出せるように日々全力で働く。完全に個人の振り返り目的のエントリーだが、大企業からスタートアップに転職しようと考えている人の少しでも参考になれば幸いです。2020年もよろしくおねがいします!

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