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ADHDの息子が海外インター校で変わった話⑥ハイコンテクストとローコンテクスト

美帆です。
お読みいただきありがとうございます。

マレーシアで3人の子育てをしながら働いています。

長男16歳はADHD。
長女15歳は、「きょうだい児」の典型しっかりもの。
次男5歳は日本での発達診断「要経過観察」。

マレーシアのインターナショナルスクールに通わせながら、日本との違い、そこで考えたことを書いています。

私は以前企業の人事部にいました。
そこで尊敬する上司から教わったこと。
「パフォーマンスの低い人は能力が低いのではなく、仕事内容や環境が合っていないだけだ」
このことに関連したことをお話しします。

少子化とコミュニケーション力の関わり

第二次ベビーブーム世代の私と我が子達の環境の違いの一つ。

それは少子化です。

私が通っていた小学校は一クラス50人、学年は6クラスありました。
一方最近の日本は少子化の影響で、一学年一クラスや二クラス、クラスあたりの人数も25人程度。

それによりコミュニケーションはどう変わるでしょうか。

まず、他者とのコミュニケーション力を育むことも重要な時期である「小学校」で、殆どの子どもが「学年全員を知っている」状態が出来上がります。

AさんのこともBさんのことも知っている。
わざわざ口に出して言わなくても、自分のことを知っている。 言語で伝えようとしなくてもお互いわかってる。

それは
「察する」力、「空気を読む」力、「忖度する」力。
そういった力がより重視される環境なんです。

これらの平均値は親世代が子どもの頃より実は上がっている、と言われています。

だから「若者のコミュニケーション力が下がった」と言う人もいますが、それは正解ではありません。

質が変わった
そう考えるのが正しいでしょう。

とはいえ、誰もが同じようにその力が上がるわけではありません。

察するのが苦手な子、周りに合わせられない子、周りを見るのが得意ではない子。
そういう子たちは「空気読めない」と落ちこぼれ扱いになるんです。

ADHDの私の長男みたいな子たちが…

とはいえ
同じ日本でも「全く同じ」ではありません。

我が家は以前日本で
新興住宅地で、同じような新しい高層マンションが立ち並ぶ地域に住んでいました。

その高層マンションを選んだ時点で、
「住宅に対する価値観が似ている」
であったり、
「親の収入が大差ない」
であったり、
共通点がたくさんある状態になっています。

「空気読む」というのは、そういった「共通点がある」ことが前提のコミュニケーションです。
そこでの長男は、年齢が幼かったこともあり、今より落ち着き無く空気も読まず輪にも入らず
完全に「弾かれた」状態でした。

ですが、そこから私たちは同じ都内で引越をしました。

そこは、
代々住み続けている方もいる一方、
社宅(転勤族)もあり
他国の大使館があることもあって日本人以外の子もいて
お父さんかお母さんが日本人ではない家庭の子もいて
以前住んでいたところよりかなり「多様な」人が住んでいました。

そこでも少子化の影響はあり、学年は2クラスでしたが

長男は、間違いなく「以前よりは格段に楽に」なりました。

「共通点が少ない」中にいると、
長男は楽になったんです。
転校生もとても多く、「輪に入らなくても」以前よりは浮いていることを気にしなくなりました。

そして、マレーシアでインターに入ると、
「共通点があまり無い」
状態はより一層、増えました。

桁外れのお金持ちの子がいる。
サラリーマン家庭の子もいる。
いろんな国からの留学生がいる。
奨学金で来る子もいる。
「私、実は孤児なんだ〜。でもお母さんはすっごくお金持ち!!」なんて、あっけらかんと話す子もいる。

そんな中にいると、彼の違いはそれほど目立たなくなりました。

というより、価値観が違う以上、
「言葉によるコミュニケーション」が重視され、「言外の意味を読み取る力」はそれほど重視されません。
なぜなら文化的、政治的、その他様々なバックグラウンドを持つと「言外の意味を読み取」ろうとしても、ワークしないのです。
「共通点がある」からこそ、言外の相手の意図を汲み取れるのですから。

ハイコンテクストとローコンテクスト

この「言葉によるコミュニケーション」と「言外の意味を読み取るコミュニケーション」は、それぞれの文化背景から国によってどちらが重視されるか、という違いがもともとあります。

ハイコンテクスト、ローコンテクストとはコミュニケーションを行なう際に、言葉以外のものに重きを置くか、言葉そのものに重きを置くかという姿勢の違いを指します。 ... ハイコンテクストとは、言葉そのものよりも、文脈や背景、言外の意味を重視する姿勢を指します。 一方で、ローコンテクストは言葉そのものの意味を重視する姿勢です。(「コミュ力アップに必須!ハイコンテクスト・ローコンテクストとは」より引用)

陸続きで様々な人が行き来する大陸では、必然的にローコンテクストとなりました。
そして日本はもともとハイコンテクストの国です。
その傾向が少子化で「より」強まっているのです。

もしその部分で生きづらさを感じているのであれば

「コミュニケーションにはハイコンテクストとローコンテクストがある」
「自分はローコンテクスト。そして今いるところではないところでは、ローコンテクストでも生きやすいところがある」

そう知るだけでも、楽になるのではないか。
わたしはそう思っています。
息子の例を知ることで、誰かが少し楽になるのではないか。
そう願っています。

ジャッジせずに
ただ事実として受け止めるだけ。

長男は「海外インター校」に入り、楽になりました。

居場所が無い、と感じている方も、それは「今いるところがあなたに合う場所では無いだけ」。
合う場所は必ずあります。

「パフォーマンスの低い人は能力が低いのではなく、仕事内容や環境が合っていないだけ」
です。

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ここまで読んでくださりありがとうございます。