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地元の掲示板「ジモティー」のビジネスモデル / 仕組み / 業績を徹底解析!

CMなどでもお馴染み、「地元の掲示板、ジモティー♪」。

今回は、そのジモティーのサイトの仕組み、ビジネスモデル(収益構造)などを詳しくみていきたいと思います。

|ジモティーとは

2011年2月、リクルート出身の加藤貴博氏が創業し、同年5月にインフィニティ・ベンチャーズLLP(以下、IVP)からシード資金を調達し、実は当初はIVPの小野裕史氏を代表として立ち上がった事業です。

サービスとしては、地域や目的によって分類された募集広告を、一覧形式で掲載する広告媒体のひとつであるクラシファイドという形態で運営しているサイト。

近隣の住人や小規模事業者が手数料無料で簡単に取引できる仕組みを提供しており、メルカリなどのオンラインのみでやり取りが完結するフリマアプリと違い、直接会って取引を行うことが原則であり、地元同士の方々が取引を行うことを前提としている点が特徴となっています。

ジモティーは2011年4月からサービスを開始し、2020年2月7日に東証マザーズに上場を果たしたが、その立ち上げの際に参考にしたのがアメリカの老舗クラシファイド「クレイグズリスト」というサイト

クレイグズリストは1995年にサービスを開始している非常に古いサイトであるが、今でもUIなどはほとんど変わっておらず、運営に関しても数十人ほどと少人数だが、毎月20億ページレビューを超えるアクセスがあり、年間売上高は1000億円以上とかなりの収益を挙げています。


|クラシファイドサイトとは

Wikipediaによると、以下のような説明です。

クラシファイド(classifieds) とは、目的や地域によって分類された募集広告や告知を、一覧形式で掲載する広告媒体。
企業などによる一般的な宣伝広告とはことなり、個人を中心にだれでも手軽に広告掲載できることが多く、広告掲載料は無料もしくは安価で、原稿作成も自由で単純なことが多い。日本では、新聞、フリーペーパーなどの紙媒体で「三行広告」「案内広告」「文字広告」などとして使われてきた。
インターネット上のクラシファイドサービスでは、検索機能を加えた形式が一般的。クラシファイド広告の一般的な取り扱いカテゴリには、物品(あげます・ください、売りますなど)、不動産、求人、中古車、イベント、出会い、サービスなどがある。

ちなみに、以下のようなサイトがクラシファイドサイトの代表的なものとして挙げられています。

Craigslist - この分野の先駆けとも言えるサイト。サンフランシスコのローカル情報からスタートして全米規模に発展した
Backpage- アメリカ国内におけるクラシファイド広告サイトとしては2番人気
kijiji - インターネットオークションでは世界最多の利用者を誇るeBay社のクラシファイドサイト
Windows Live Expo - Microsoft社のクラシファイドサイト。2008年7月末をもってサービスが停止された
Locanto - ドイツのクラシファイドサイト。オランダ語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語に対応している
びびなび - 海外在住の日本人向けクラシファイドサイト。英語、日本語に対応している

他にも、クレイグズリストの中国版、インド版も存在しており、それぞれ58.com、Quikrというサイトもあります。


|ビジネスモデル

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サービス内容は、地元で情報を探す人と発信したい人をマッチングするプラットフォームです。

生活の中で生まれる問題を地域の人・お店同士で補い合える仕組みを提供しており、日本全国を網羅している地域と、それぞれに幅広く細分化されたカテゴリにより、ユーザー間のマッチング機会を提供しています。

収益構造については後ほど詳しく説明しますが、簡単に説明すると、まず利用するユーザーの手数料については無料で、広告枠の提供への対価である自動配信売上が同社の主な収益源となっており、その中でもアドネットワーク広告の収益が非常に大きいです。

私自身もちろんサイト自体の存在は知っていたものの、実際に利用したことはなく、正直詳しく確認するまでは単純にメルカリのリアル地元版のようなイメージで、ビジネスモデルについても、ユーザー間の売買にともなう手数料とサイト上での多少の広告で成り立っているものと勝手に想像をしていました。


|ユーザー

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ユーザーは主に高年齢層(40歳以上が74%程、50歳以上に限っても40%程)が多く、かつ主婦層や子供のいる世帯の利用が多い(女性ユーザーの比率は59%程、子供のいる世帯の利用が67%程)ようです。

ちなみに、ジモティーのユーザーは、一部ではマイルドヤンキーや貧困層をターゲットにしたものとも言われており、それが同社サイトの収益の柱にもなっている「アドネットワーク広告」がなりたっている背景でもあります。

こちらが参考記事ですが、個人的に興味深い内容でした。


このユーザーの投稿によりサイトのほとんどのコンテンツが生成されており、当然ながら投稿数の増加によりSEOも強化されることから、広告以外では投稿数とSEOにより流入するユーザーが連動するモデルとなっています。

売上の約8割は自動配信売上(アドネットワーク)となっています。


|収益構造

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ジモティーの具体的な収益構造としては、現状は自動配信売上とマーケティング支援売上の2つである。マーケティング支援売上は更に、機能課金と成果報酬に分かれています。

①自動配信
ジモティーがアドネットワーク広告枠を提供し、広告がクリックされた回数や表示された回数に応じて収益を得ており、同社はサイトページ上の広告枠のみをアドネットワーク事業者に提供し、アドネットワーク事業者が広告を自動で配信してくれるモデルです。

そのアドネットワークの主な販売先としては、SupershipやGoogle Asia Pacificといったアドネットワーク事業者が占めており、これらの事業者が広告出稿者との間にはいり、広告料などを徴収している。

②マーケティング支援
マーケティング支援売上は機能課金と成果報酬で構成されており、機能課金はユーザー間のマッチングをより促進させることを目的とした投稿オプション機能への対価です。

主に法人ユーザー向けの機能として、古い投稿が新着投稿としてリストの上部に戻す「リフレッシュ」機能や投稿の背景が黄色で「ハイライト」されユーザーの目にとまりやすくする機能、そして一定期間投稿が上部に固定される「PR枠」機能などがある。

成果報酬はユーザーがサイト上のリンクから提携先の外部サイトに遷移し、資料請求や契約等の「成果」に繋がるアクションを取った場合に得られる送客モデルの収益です。

これはいわゆる一般的なアフィリエイトです。


|直近の業績

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2020年12月期決算では、売上は前年比+9%で微増だが、営業利益は前年比+248%、経常利益は前年比+310%となっている。

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KPIは前年比PV+30% 投稿数+28%で、新型コロナウイルスの影響で地域情報サイトの必要性が増大し、事業計画を上回る水準で成長をした形です。


|今後の戦略

①ネット決済の導入

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今後は、これまで取り組んで来なかったネット決済の導入や、これまでユーザー自身がそれぞれ行わなければならなかった配送などもジモティー側で仕組みを作り、キャッシュポイントを増やす計画です。

これは、ジモティーというサイトが元々、「知らない人と待ち合わせ、モノを手渡す」「現金の手渡し」「大きい荷物などを運ぶ場合には、自ら車を手配」という一部ユーザーが既に手間や不便と感じていることや、それがためにサイトを利用していないという未利用者がいるという現状のボトルネックを解消するために開発したモデルである。

②行政との提携
まず、ジモティーの得意領域としてメインターゲットとしている商品が、廃棄・放置されやすい家具・家電や自転車・バイク・自動車などの大型なものであり、廃棄・放置されずにリユースされている商品を含めて全体を100とした時、その割合は約88%。

そのうち、自宅で保管・放置するモノは約62%、行政が回収しているモノが7.4%、小売取引が6.9%、廃品回収が7%、その他4.2%という内訳になっており、同社の現時点でのシェアは1.7%という数値で、この得意領域だけでも現状取り扱い量の約51倍もの拡大余地があります。

そのため、行政との提携を進めることで、行政に代わり簡便な出品作業や出品代行により、ジモティーへの掲載商品も増やすことで、より利便性の高いサイトにする計画である。既にさいたま市など5か所の自治体と取り組み開始ししており、順次提携先を増やしていく計画です。

|所感

中古市場、リユース市場は年々拡大をしているが、メルカリに始まり、ゲオホールディングスや最近テレビでも取り上げられていたエコリングなど、メインの取り扱い商品などは多少違うものの、プレイヤーも多い印象です。

特に個人的に印象に残っているのが、エコリングという会社で、ネットではなくリアル店舗を全国に100店舗ほど展開している。その特徴としては、通常のブランド品や家電製品はもちろんのこと、他社では買取を断れたボロボロ、クタクタ、破損などの使い古した日用雑貨まで買い取らないものは無いと言っても過言では無いくらいほとんどすべてを買い取っているようです。

このような状況の中で、個人で写真を撮ったり、知らない人とやり取りをする手間を含めて、ネットを通じて地域の人と大型の商品をやり取りをするという層やその機会がどれだけあるのかと考えると、ある程度その範囲は限られてくるのではないでしょうか。

そういった意味では、手数料モデルだけではなく、このサイトを通じた新たなサービス自体の拡がりを考えられると、更に訴求力の高いサイトになるのではないかと感じました。

また、今回のような様々な注目企業のビジネスモデルや収益構造、今後の戦略などを記事でまとめた以下サイトも運営しておりますので、是非覗いてみてください。

今回は以上です!
ご覧いただきましてありがとうございました。
気になった点やご質問などコメントいただけると嬉しいです。

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