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蔵町で虫の音を聴く〜鳴く虫と郷町

虫の声を聴きに、ふらり酒蔵通りへ。

お店や街路樹など街のあちこちにスズムシやコオロギの入ったかごが置かれ、秋の虫の音色を愉しめる粋なイベントがひらかれているのです。

行灯がともされた酒蔵に、リーン、コロコロ…と秋の虫たちが鳴く声が響いて、何だか江戸時代にタイムスリップしたみたい。

昔のひとは秋の風物詩として、お月見と「虫聴き」を楽しんだんだって。

一箱古本市やコンサートなど日替わりのイベントが連日ひらかれていて、ちょっとしたお祭りみたいな雰囲気です。

夕暮れの道を子どもたちとのんびり歩いていたら「あっちに、鳴く虫がたくさん見られる場所があるから行ってみて」とわざわざ声をかけてくれるひともいて、この街が好きだなあと思いました。

酒蔵の試飲コーナーを夫がじーっとみつめているので、帰りは運転を代わることにして、日本酒片手にそぞろ歩きを楽しんでもらいました。

私は家に帰ってから、お土産のボトルを開け、お猪口に月を浮かべて少しずついただきます。

耳の奥に、キリギリスやマツムシの涼しげな音色が残っているみたい。

ああ、いい夜だなあ。

読んでいただきありがとうございます! ほっとひと息つけるお茶のような文章を目指しています。 よかったら、またお越しくださいね。