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『夢見る帝国図書館』へ行く

子どもたちと一緒に、上野の国際子ども図書館へ。

以前から気になっていたのだけど、中島京子さんの『夢見る帝国図書館』を読んで、ますます行ってみたい!と思ったのです。

今は子どもの本の専門図書館になっているこの場所に、かつては日本で一番蔵書数の多い「帝国図書館」があって、戦時中も貴重な本たちを守り、樋口一葉や宮澤賢治、吉屋信子ら数多くの文人たちに愛されてきたことを、私は『夢見る帝国図書館』を読むまでまったく知らなかった。

建物はかつての面影を大切に残しながら修復されていて、階段の手すりや床の寄木細工、天井の模様に至るまで、とても美しい。
当時の貴賓室や、館長室に本を運ぶためのエレベーター、カード式の書名目録なども保存されており、本好き・図書館好きの方には、本の博物館としてもおすすめです。
上野公園の美術館や博物館は、休日になるとどこもすごい人出だけれど、ここは適度に空いているのも、とても良いです。

子どもの本の閲覧室で、長男は一心不乱に科学実験の本を読み、次男は靴を脱いで座れる「のりもの」本のコーナーで電車図鑑をめくり、私はかつて親友だった本たちーー「ミス・ビアンカ」「ジム・ボタン」「ドリトル先生」「空色勾玉」ーーとの再会を楽しむ、愉しい午後になりました。

子どもたちが引っ張り出してきては積み上げていく絵本の、背表紙の番号を確認して棚に戻しながら、かつて山形の駅舎の中にある小さな図書館で働いていた日々がふとよみがえり、とても懐かしくなりました。
小さい子どもたちに読み聞かせをしたり、おすすめ本を紹介したり、毎日楽しかったなあ。

思えば子どものころから、一番好きな場所は図書館でした。
図書館の本は、書店の真新しい本よりも気配がやさしい。
(本屋さんは色やインク、紙の匂いの刺激が強すぎて、たいていお腹が痛くなる)

図書館の本は、自分のペースで自由に読んでいいし、いつどのページで読むのをやめてもいい。
読まなくても、ただ本に囲まれていたいだけのときだって、図書館はあらゆる人を静かに受け入れて佇んでいる。

また来ようね、楽しかったね。
と子どもたちが言ってくれたので、小さい人たちの付き添いという名目で、また図書館に会いに来ようと思います。
読み疲れたら中庭で食べられるように、今度は上野駅でパンダのパンを買ってこようね、と話しながら、手をつないで帰りました。

ずっと、ひとりで図書館にいるのが好きだったけど、大切な人たちと一緒に来て、その人たちと本の話をするのもまた良いものだなあと思ったのでした。


読んでいただきありがとうございます! ほっとひと息つけるお茶のような文章を目指しています。 よかったら、またお越しくださいね。