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夜咄の灯り〜心満ちる初釜のひととき
「お茶って何が楽しいの?発表会とかもないんでしょう?」と知人に聞かれたことがあります。
言われてみれば、確かにそうです。
ピアノやバレエみたいに、たくさんのお客さんの前で、日頃の練習の成果を披露するような習い事とは、だいぶ性質が違います。
私の場合、着物を着てお茶室に入り、お茶を点てたりいただいたりする稽古の時間そのものが無条件に楽しいというか、心がじわじわ満たされる感じ。
ただ、あえてお茶の稽古の中で一番発表会に近い場面があるとしたら、「初釜」ではないかと思うのです。
初釜は、新年最初に行われるお茶会、稽古はじめのこと。
ふだんのお稽古より晴れやかな身支度をして、お正月らしいしつらえのお茶室で懐石料理や濃茶をいただく、ちょっと特別なイベントなのです。
私がお世話になっている社中でも、いつもとは違うお茶室で、ふだんはバラバラにお稽古しているお弟子さんたちが一堂に会し、一緒に時間を過ごします。
今年のテーマは「夜咄(よばなし)」
日が暮れる頃に始まる、夜の茶事です。
天井の灯りは消して、それぞれ持ち寄った手もとの灯りでお点前をするのですが、何だか修学旅行の夜みたいでわくわくします。
お花の代わりに「払子(ほっす)」や「如意(にょい)」と呼ばれる道具が床の間に飾られるのも、新鮮です。
夜空のように真っ黒な樂茶碗で薄茶を点てると、どれくらいお湯が入ったのかも全然見えなくて、はらはらどきどき(笑)
交代で濃茶や薄茶のお点前をして、有志の方が持ち寄ってくださったおにぎりや美味しいお吸い物をいただき、幸せなひととき。
たくさん笑って、楽しかったなあ。
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30人以上のお弟子さんが集まったのですが、ひとり残らず、みんなが特別なお客さんだと感じられるあたたかい空気感は、先生のお人柄。
呼吸を合わせ、流れるように動いて会を進行させていく先輩方の心づかいに、心身が癒やされていく…
お茶の時間は私にとって最高のマインドフルネス、瞑想だなとあらためて感じます。
今年も一回一回のお稽古を大切に、お茶の時間を楽しんでいきたいです。
初釜の着物は、青緑色の鮫小紋(一つ紋)に、銀糸の入った松と藤の袋帯。
きりりと冷えた、静かな冬の夜をイメージしてみました。
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