2020年、家と私
留守の多い人生を送ってきました。
自分には、家にこもる生活が、見当つかなかったのです。物心ついたころには保育園に通い、小・中・高・大と学生生活が終われば会社員。文字通り朝から晩までオフィスにこもり、「家に帰ってもあと数時間したらまた出勤か」と、帰る意味がわからなくなったこともありました。
時が経ち2020年。桜の開花よりも先に世界が急変し、まるで手のひらを返したように家で過ごす日々が訪れました。リモートワークが通常モードになり、平日は一切外に出なかった、なんてことも。ただ、その影響で、家に対する考え方がガラリと変わった1年にもなりました。2020年はきっと、私と家とが出会いなおす、貴重な機会だったのかもしれません。
このnoteは「書くとともに生きる」ひとたちのためのコミュニティ『sentence』 のアドベントカレンダー「2020年の出会い by sentence Advent Calendar 2020」の15日目の記事です。
2019年、転がりこむように住み始めた今の家
今の家で暮らし始めたのは、2020年を目前に控えた12月のこと。大好きだったシェアハウスの取り壊しが決まり、気持ちの整理がつかないままにバタバタと今の家に引っ越してきた。
長方形になった部屋も、奮発して買ったセミダブルのベッドも、今までの倍の大きさがある仕事机も、なんだか自分のものじゃないみたい。借りぐらしのような感覚が強くて、仕事帰りに最寄り駅へ降り立っても、自分が住んでいることがいまいち実感できなかった。
3カ月経っても、飲みに行くのは今まで住んでた地域のお気に入りのバー。「やっぱりここが好き」と終電ギリギリまで居座っては、後ろ髪引かれる思いで駅までの道を走った。
そんな生活をしていた矢先に、生まれて初めての緊急事態宣言。お気に入りのバーは休業、仕事もご飯もすべて家が推奨。こんな生活耐えられない!……となるかと思いきや、なんと意外にも居心地最高だったのである。
家ってこんなに過ごしやすい場所だったんだ
引っ越したてということもあり、家具がとにかく今の自分にぴったり合っていた。机が広くなったのでディスプレイが買い足せたし、一人でセミダブルを使うのでのびのび寝返りがうてる。
外食をしないので試してみたかったグルテンフリー生活ができたり、シェアハウスでは遠慮していたキッチン占領もできたり。友人と2人で住み始めたこともあって、話し相手にも困らなかった。
IKEAで買ったくまのぬいぐるみも癒しのひとつ。ほかにもカラオケサービスを契約し、マイクを調達して歌える環境も整った。「家ってこんなに楽しかったの…?」と新たな扉が開かれた1年だったと思う。
自宅でも実現できる新しい出会い
おうち生活が充実した理由はほかにもある。それは、オンライン上でさまざまな集まりに顔を出せたこと。移動時間の関係でこれまでなら難しかったものにも、URLをクリックするだけで参加できるようになったので、仕事後の時間はコロナ前後で変わることなく充実していた。
特にお世話になったのは、inquireの勉強会。
同じ職種の仲間たちと読書会をしたり、ライティングにまつわる研究をしたり、原稿のフィードバック会をしたり。13インチのノートパソコンを業務後でも覗き続けたら、今までは諦めていた出会いがそこに広がっていた。
これまでは、外に出て活動することが“充実した生活”だと思っていたし、家にいては出会いなんてないと思っていたけれど、どうやら今は違うらしい。どこにいるかより、どう行動するかで変わる時代に私たちは生きているようだ。
2020年の出会いを大事に、2021年へ
1年ずっといても飽きない家に出会えたこと。その中で、大きく広がるインターネットの海に出ていけたこと。日々の過ごし方、働き方に選択肢が増えた(または増えざるを得なかった)2020年だったなぁと思う。それは自分にとって意味のあるものだった。けれど、やっぱりそれだけではもの足りないなぁと、2021年を前に思う。
たまには終電すぎてもお気に入りのバーで飲みたいし、大人数でわいわい旅行だって行きたい。浴衣を着て夏祭りも、儚い夢にはしたくない。
これまでと変わらない日常と、2020年の暮らしのハイブリッドが、2021年の出会いで書けることを願っている。
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