美穂@詩を自由に書いていきます

はじめまして、美穂と申します。 ここでは自身の体験を主軸に、詩とエッセイを書いていきま…

美穂@詩を自由に書いていきます

はじめまして、美穂と申します。 ここでは自身の体験を主軸に、詩とエッセイを書いていきます。 暗い内容もありますが、文字にすることで目をつぶっていた過去を肯定しているつもりです。 現在は旦那と娘と、毎日葛藤しつつも幸せに暮らしています! よろしくお願いします。

最近の記事

輪ゴム鉄砲

おじいちゃんが つくってくれた輪ゴム鉄砲と的 射的ごっこをして遊んだ ずいぶん長い間遊んだ気もするけど ひと月もせず飽きてしまった気もする あの輪ゴム鉄砲は きっと親が捨てたのだろう 捨てるなんて 酷いことをするもんだ だけど、 感謝もしてる

    • でぶ

      小さい頃 母とスーパーへ向かう途中 大柄の女性が向こうから歩いてきた その女性の紫ワンピースはつややかで すみれの絨毯のように風に靡いていた その綺麗な色を母と共有したかった 「ママ見て!」 指差して楽しげに大声で その先は言えなかった 在らん限りの力でビンタされた 母は鬼の形相で 「人を指差すんじゃない」 「あんたが何を言おうとしていたわかってる」 私のことばはむなしく消えた そうして 紫のうつくしい色はなくなった ※後書き 母は私が女性を指差して「でぶ」

      • おばあちゃん 【エッセイ】

        生まれた時から一緒に暮らすおばあちゃん。 中学生の頃おばあちゃんは わたしの朝ごはんやお弁当を作り、 毎朝遅刻しないように起こしてくれた。 夜更かしばかりしていたから、 なかなか起きないで よく足を引っ叩かれて起こされた。 それは高校生まで続いた。 そんな私をみて母は言う。 「あんた、いつまで起こしてもらってるの?パパみたいになっちゃうよ」 父は50歳近いのに、いまだに おばあちゃんに起こしてもらっていた。 父のようになるのは嫌だと思い、 おばあちゃんに自分で起き

        • 決別のとき

          雨あがり 自転車で川沿いを走り 友人たちが待つ場所へ急ぐ まだ来ぬ人もいるけれど 私たちは概ね満足げに再会した どこへ行こうか 何をしようか 話題は肝心なところをかすり 枝葉に飛んでゆく 目的もなく自転車を漕ぎ始めたけれど 川はすっかり泥で濁っていた もう元に戻らない、 なぜかそう思った いっそのこと 氾濫してしまえばいいのに そうすれば 私たちは散り散りになって 眺めるだけでいい

          夏の果て

          あなたは花火でした。 不安な夜を彩っては消えたのです。 終わらないでちょうだいな、と 私の我儘は子供と同じでしたね。 ところで、 いま私たちは別の夜空を眺めています。 あなたのベガは何いろでしょうか。 きっと誰よりも美しく輝いていることでしょう。 あなたのアルタイルが力強いように。 私の星たちは清らかな小川に浮かんでおります。 そして時々、楽しげに花火が上がるのです。

          蝶と蛾の違い

          認識がわたしの世界を決めるなら あまり知らない方が幸せだ 細かく細かく分類するから 不幸が生まれるのでしょう それなのに なぜわたしたちは認識を深めようとするのか 個がそうさせるのか 種がそうさせるのか わたしは心と頭を操作して 生きていくのか それとも 心を燃やして生きていくのか

          情熱のエネルギー 【エッセイ】

          夫は物事をオブラートに包まずに言うし、 けっこう口が悪い。 「馬鹿だなぁ」はよく言われる。 そうだよなぁ、冗談だなぁ と受け流してるけどたまにけっこう腹立つ。 それに私は口下手で、夫は口達者だから、 喧嘩は決まって夫に言い負かされる。 でもそれは、 夫の方が正しい言い分が多いから。 あるいは夫が傷つくようなことを私がしてしまったから。 たとえば子育てのこと。 娘が少食で心配している私に、 夫は何度も後であげればいいでしょと言ってくれた。 そのアドバイスを受け止

          情熱のエネルギー 【エッセイ】

          体から無数のリボン 色形様々と風になびいて さわさわと別世界に触れる 緋のリボンから精気がもえ、 シフォンのリボンは弱々しく揺れる 薔薇色リボンは 愛する世界を優しく何度も触れる 無限の黒いリボンは 生を示すために 恐ろしい世界へ何度も飛んでゆく こうして反発と吸収を繰り返して 私という生を織り成している 世界を現している

          感性の死滅と復活 【エッセイ】

          子供と公園に行くと、 鳩に餌をあげているおじさんがいる。 野良猫に餌をあげているおばさんもいる。 立て看板には、エサをあげるな。 私は子供が生まれるまでは、看板の方が正義だと思っていた。 母や友達が、鳩もカラスも汚いと言っていたから。 野良猫に餌をあげるなんて無責任だといっていたから。 でも今では 「いいじゃないあげたって」。 だって、おじいちゃんもおばあちゃんも、もしかしたら一人で暮らして寂しいのかも。 餌をあげることが生き甲斐になっているのかも。 それに話してみ

          感性の死滅と復活 【エッセイ】

          輪廻

          夏の宵 露草のかおり 微かに響く音頭と和太鼓 子の手は柔く、力強く先にゆく どんどん、と鼓動 提灯はしゃぐ子の甚平照らし わたしたちは 踊り、廻り、 永劫回帰していく

          おじいちゃんのお願い

          子供の頃の私は、 おじいちゃんの部屋によく遊びに行っていた。 学校から帰ったあとや、休みの日、ご飯を食べてる途中や、いつでも自由に遊びに行った。 おじいちゃんはいつも歓迎してくれて、 ゲームをしているのを見たり 一緒に映画を見たり 買い物に行ったりした。 ある日の夜、 ご飯を食べている途中に おじいちゃんの部屋に行った。 引き戸を開けると、 おじいちゃんは布団で寝ていて とても苦しそうだった。 そして消え入りそうな声で、 私の名前を何度も呼んでいた。 「何度も呼ん

          レモンいろのクーピー

          小学生のころ、 クラスメイトのモノを盗んだことがある。 盗まれたことがクラスで問題になると、 小心者の私は盗ったモノをほとんど返した。 返さなかったモノは、 30色のクーピーだ。 クラスで1人だけもっていた豪華なクーピー。 授業でクーピーを使うとき、 その子の珍しい色を貸してもらおうと何人も来ていた。 私もレモンいろのクーピーが好きでよく貸してもらっていた。 その子はその時間いつも人気者だった。 それに、いっぽんいっぽんに、 印字された名前シールが丁寧に貼られてい

          人が好きな人 【エッセイ】

          私は基本的に陰気な方だ。 少しぼうっとしていたりすると、 とっさのコミュニケーションがとれない。 プライベートで想定外の会話が発生すると反応できないことも多々ある。 後から気の利いた事が言えなかったと後悔することも多い。 たとえば、私が何かをしてお礼を言われたとき。 「どういたしまして」その一言が出てこない。 ぺこりと頭を下げてスタスタと去ってしまう。 そのすぐ後から無愛想だったかしらと悩む。 そんな自分が嫌で、無理に陽気な感じを出しても気を抜くとすぐに陰気に戻っ

          人が好きな人 【エッセイ】

          力で勝てるのは

          小学1年生終わりの頃、 私は一年間でいちばん背が伸びましたと発表された。 なんだか誇らしくて私は背が高いことが好きになった。 その頃は給食の時に配られる牛乳の早飲みでも男の子に勝っていたし、 腕相撲でもほとんどの男の子に勝てていた。 でも、ある時から少しずつ、 少しずつ私は負けが多くなっていった。 私の誕生日パーティーで、 クラスの子をたくさん呼んだ。 私は誕生日プレゼントに両親からポケモン図鑑のオモチャを貰った。 ゲームの世界から出てきたみたいでキラキラして見えた

          牛乳は水分じゃない

          母はよく私に小さな嘘を教えた。 どんな嘘だったかは覚えてない。 ただ、なんでこんなくだらない嘘をつくんだろう? と怒っていたのを覚えている。 そして怒る私を笑う母も覚えている。 それから母は冗談が好きだった。 たとえば、道路に落ちている軍手を指差し、「手が落ちてるよ」と言う。 心臓が破列しそうなほど恐怖したのを覚えている。 また、母はよく、 「牛乳は水分じゃないから」と言った。 本気でそう信じて言っていた。 高校生まで母の言葉を信じていた。 先生から牛乳は水分で

          シラミ 【エッセイ】

          6歳か7歳のころ、 私はお風呂が嫌いだった。 シャワーキャップから水が漏れて 鼻や口に入って息苦しいし、 シャンプーとリンスが目に染みる。 それから タオルでごしごしと体を洗うのも痛かった。 お風呂が熱すぎるのもイヤだった。 それなのに何分も入っていないといけなかった。 そんなだから、 私はお風呂に入らなくなった。 そして汗と汚れとで髪の毛が絡まって、 ブラシで梳かすのが苦痛になった。 だから 髪の毛を梳かすこともしなくなった。 いつも頭が痒かった。 頭に虫の