牛乳は水分じゃない

母はよく私に小さな嘘を教えた。
どんな嘘だったかは覚えてない。

ただ、なんでこんなくだらない嘘をつくんだろう?
と怒っていたのを覚えている。

そして怒る私を笑う母も覚えている。

それから母は冗談が好きだった。

たとえば、道路に落ちている軍手を指差し、「手が落ちてるよ」と言う。

心臓が破列しそうなほど恐怖したのを覚えている。

また、母はよく、
「牛乳は水分じゃないから」と言った。
本気でそう信じて言っていた。

高校生まで母の言葉を信じていた。
先生から牛乳は水分ですと話が出るまで。

牛乳イコール水分という衝撃。

私は小学生の頃、
母に給食に出る牛乳を飲んでも、それは水分じゃないと言われていたので、水道水も飲んでいた。
お腹が水分でチャポチャポになった思い出。

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