2023年 課題図書12冊
低学年向け
『それで、いい!』
ポプラ社 作 礒みゆき
はたこうしろう絵
自分軸と他人軸について考えさせられる話。
『よるのあいだに… みんなをささえるはたらく人たち』
BL出版 文 ポリー・フェイバー
ハリエット・ホブデイ絵 中井はるの訳
自分に見えていないものは存在しないかのごとく振る舞う大人が
目につく昨今だが、そうではないことが可視化されている。
幼い時から、このような絵本に親しみ、見えていないところへの
想像力が養われていれば、先述のような人間は少なくなっていたのだろうか。事故や災害復旧のニュースを見る目が
変わってくる子どももいると思う。
『けんかのたね』
岩波書店 作 ラッセル・ホーバン 小宮由訳
大野八生 絵
現実的には正しい在り方だとは思うが、
わたしはジョン・バーニンガムさんの絵本に出てくる
大人たちが理想の姿なので、いまひとつしっくりこなかった。
ラストはニヤリとする。
『うまれてくるよ海のなか』
アリス館 写真 高久至 文 かんちくたかこ
鮮やかで美しい写真と、あたたかみのある話しことばと
言葉運びが魅力的。
命を守る役割について感想が書きやすそう。
海や生きものたちへの愛と敬虔な気持ちが
写真や文章から滲み出ている。
中学年向け
『給食室のいちにち』
少年写真新聞社
文 大塚菜生 絵 イシヤマアズサ
前の学校に既に購入していた本^^
栄養士にも調理員さんたちにもお見せしたら
ご自分もお求めになり、家族にも見せた、と
素敵な笑顔を見せてくださった。
調理員さんたちの誇りややりがいや安全への責任を
丁寧に明るく描いている。
『化石のよぶ声がきこえる』
くもん出版
作 ヘレイン・ベッカー 絵 サンドラ・デュメイ
訳 監修 木村由莉
好きって最強!
好きを追求したその先に、成し遂げることができた人の存在は
今を生きる子たちへの力となる。巻末の対談も秀逸。
この人の生き方を見て、心に言葉が届き、光が差す子もいるだろう。
『秘密の大作戦!フードバンクどろぼうをつかまえろ!』
あすなろ書房
著 オンジャリQ・ラウフ
訳 千葉茂樹
絵 スギヤマカナヨ
heat or eat
の世界そのもの。日本の一歩先をいくイギリスの子どもたちの現実。
身近な人からの施しは受けたくないという自負、一日中食べ物のことばかりを考えざるを得ない肉体、その「日」までをさみしい笑顔と想像力を試されるゲームでやり過ごす過酷な現実とやるせなさ。
「自分には関係ない」「自分はこうならなくてよかった」の意識からの脱却と、その原因追究と解決策を考えて、夏の調べ学習とセットにしてほしい。
『ライスボールとみそ蔵と』
絵本塾出版
作 横田明子
絵 塚越文雄
自分の将来が、生まれた瞬間にほぼ決まっていたり、方向性が決められていたり、求められたり、そうみなされたりする子どもがいる。
親も子を選べないし、子も生まれてくる家を選べない。
そこに常々疑問を持っている子にはぜひ読んでもらいたい。
ただ、言葉遣い、表現、英語力、名前などが古臭い感が否めない。
日本の食文化への興味の入り口になる作品なので、そこが残念。
ぜひ、ご家族で夏休みには、「どうする家康」にも思いをはせつつ
岡崎の味噌蔵などを観光する旅行に行ってもらいたい。
イメージを補完できる喜びを感じてほしい。
高学年向け
『ふたりのえびす』
フレーベル館
髙森美由紀著
自分じゃない自分を演じて、実際の本来の自分との差異に悩むという
古今東西の思春期あるあるの自分再発見の物語。
住む場所の違和感、田舎と都会のギャップ、イケメンと崇められることと期待に沿えなくて離れていくこと、、、
「素で生き抜けられるほど小学生ライフはあまくはない」の一文に
衝撃を受ける。大人は過ぎ去っているから、悩みも苦しみも
それほど大きく捉えていないことを鋭く抉られた気がした。
作者の比喩が素晴らしい!
主人公の造語のセンスはイマイチだけども。
『5番レーン』
鈴木出版
ウン・ソホル作
ノ・インギョン絵
訳 すんみ
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