滝沢 汀(Takizawa Migiwa)

書家。奈良生まれ奈良育ち奈良在住。 ミギワ、それは水(海・川)と陸の境界線、どちらで…

滝沢 汀(Takizawa Migiwa)

書家。奈良生まれ奈良育ち奈良在住。 ミギワ、それは水(海・川)と陸の境界線、どちらでもなくどちらでもあり、どちらにでも行ける場所。 夢かうつつか、虚か実か、右脳と左脳、あちら側とこちら側、次元を超えた世界から超現実的なことまでを、書で表現しようともがく人間です。

最近の記事

『「電のバリエーション」のバリエーション』

「電」という漢字の成り立ち漢字書de現代アート作品、今回は「電」です。 例によって、まずはその文字の成り立ちから! 「電」という字はもともとは、いなづま、いなびかりのことを指していました。 近代になって電気が発明(発見)されて、それにこの字を当てられるまでは。 そう!いわゆる「電気」の意味でこの漢字が使われるようななったのはつい最近のことなのです!! 雨かんむりは気象のことに関係していることを表す符号のようなもので、その下部は「申」が屈折した形。 そしてその「申」こそ

    • 「滝沢汀の漢字書de現代アート」

      漢字って面白い 今、私は「漢字」をモチーフに現代アート作品を創作しています。 なぜ漢字なのか。 漢字は古代に生きた人間の感性や思想・哲学がその中に練り込まれていてる、とても魅力的な文字であると同時に、書の起源と歴史に深く関わる文字でもあります。 幼い頃より書に携わり、日本人としての文字教育を受けてきた私にとって、漢字は自身のものの捉え方や考え方、発想などに深く影響を及ぼしているであろう、どうしても切り離すことのできない関係にある文字だと思うからなのです。 そして元来

      • 『彡』って凄い!!

        形ないものを象(かたど)った記号「彡(さんづくり)」 ここ数年の私の漢字をモチーフとしたアート書の作品にの中に、頻繁に現れる文字(記号)があります。 それは「彡」。 「彡」はそれ単体でれっきとした一つの漢字であり、「サン・あや」と読みます。 また、「さんづくり」と呼ばれる部首の一つでもあります。 「彡」は彩色や模様、時には匂いや音などをも表してしまうんです! そして、その美しさや「キラキラ」した感じを表現している、なんとも興味深い記号であり、文字なのです。 かの有名な古

        • 「象る ーカタドル」

          ■「象 ーカタドル」 作品「象 ーカタドル」シリーズのモチーフ「象」は、動物のゾウをかたどった象形文字である。 古代の人はそのあまりの大きさからゾウを「カタチ」の象徴とし、「カタドル」という言葉にこの文字をあてた。人々が同じモノやコトを見た時、一つとして同じカタドリは存在せず、自分のカタドリも刻々と変化する。私は一つ一つの漢字に憑依し筆をはしらせる。 ◇ work statement『Symbolize』 This character, which is the moti

        『「電のバリエーション」のバリエーション』

          滝沢 汀

          MIGIWA TAKIZAWA(滝沢 汀) ■略歴 書家。現代アーティスト。 奈良県出身奈良在住。 京都女子大学短期大学部文学部国語学科卒。 5歳から書道を初め、20歳にて書道師範取得。 2012年〜2023年に、奈良・大阪・東京にて個展5回開催。 2019年よりART SHODO の運動に参加。 以後ASF関連の展覧会に多数参加。 2022年ART SHODO SELECTION in Tokyoにて田中千秋氏セレクション優秀賞獲得 2023年GALLERLY SCENA企

          書家・現代アーティスト滝沢汀の作家紹介

          【作家紹介】 滝沢汀の書は、浮かんでは消える脳内のイメージのようなものだと思っている。 それが果たして何なのかはわからない。しかし、一つの像としての文字をカタチを変えながら繰り返し書く手法は、時に柔らかで、時に激しい。 文字のバリエーションを次々と繰り出せる力を感じさせる。つまり、文字=感情の分身として、自由に書いているのだろう。 作品「象」のバリエーションは象形文字としての「象」の繰り返しから成る作品であるが、一つとして同じ文字はない。「一字書」を書いた井上有一はか

          書家・現代アーティスト滝沢汀の作家紹介

          人類がある限り「占い」は不滅!!

          人類は太古の時代に、自然現象から観念的なことまでを、どうにかして伝え残そうと、文字という記号を創り出した。 その形成期の跡を現代に色濃く残す「漢字」という文字をモチーフに選び、私は創作している。 古代に生きた人間の感覚を抽象、概念化、凝結したものを、今一度、スライムのように解凍し、現代社会やそこに生きる私たちの精神世界の中に滑り込ませてみる。 そのスライムが纏わり付き、浮かび上がってきた形や線を、「書」として留めようと試みている。この記事は、そんな一書家であり現代アーティス

          人類がある限り「占い」は不滅!!

          『映画「君の名は」と「象」』

          「象」はなぜ「カタドル」と読むの??今回の作品のモチーフとなる漢字は「象」です。 映画「君の名は」とどう関係あるの?って感じなんですが、それはまた後ほど・・・ その前に、まずお決まりの「象」という漢字の成り立ちから。 「象」、これは分かりやすい!動物のゾウの形から出来た象形文字ですね。 そして、古代の人はゾウのあまりの大きさから、ゾウを「カタチ」という概念の象徴としました。 で、何かアルモノを見てそのカタチを表すことを「カタドル」といい、「象(かたど)る」と文字を当てたの

          『映画「君の名は」と「象」』

          『分けずにはいられない人間の性(サガ)』

          「線引き」と「漢字」2021年から創作している漢字で現代社会を考える作品。 前回までの「回」「影」に続き、今回は「分」をモチーフにした作品についてです。 2020年から2021年にかけ大量に創った「コウモリ」「BAT」作品たちは、「分」という文字では表現はしていなかったのですが、これらのテーマはズバリ!「分ける」や「境界線」でした。 そこで書かれていた夥しい数の「コウモリ」や「BAT」の文字、 その文字たちの微妙な違いや変化を見つけては、独断と偏見でそれらの間にひたすら区切

          『分けずにはいられない人間の性(サガ)』

          『影と陰』

          漢字作品シリーズの続きです。 「影」と「陰」の違い「影」と「陰」、どちらも訓読みでは「かげ」と読みますが、その意味合いはちょっと違っているんですよね。 「影」という字は、光という意味を表す「景」と、彩りや飾りを表す「彡(さんずくり)」で構成されていて、「光によってできる模様や映し出される像(カタチ・シルエット・スガタ)」という意味を持つのに対して、 「陰」はモノにさえぎられて光が当たらない暗い部分、目立たない部分を指します。 今回は「影」という字が降りてきました!!(

          『漢字って面白い!』

          光陰矢のごとしで、後の祭り なんと!前回の投稿から、お盆、クリスマス、お正月も過ぎてしまい、2022年寅年の節分が間近に迫る頃となってしまいました。 その間、何も作っていなかった訳ではないのですが、コンセプトやテーマ、それに見合ったマテリアルなどの思考、思索(もしくは試作)を繰り返しながらも、なかなかそれを記事にする余裕がありませんでした。 むしろ、その試行錯誤の状態を書いて残すべきだったのかも、とは思うものの、それも後の祭り・・・(と、言い訳タラタラ) 隠れオタク

          『漢字って面白い!』

          『円相➕1=?』

          今回からは現在進行形!久しぶりの投稿です! これまでの投稿は(といってもnote初心者の私、たった10余りの投稿と数少ないのですが)、ここ二年と少し、私が書で現代アート作品を作ろうと挑戦してきた様子や、作品とそれにまつわるエピソード、説明などを駆け足で綴ってきたものでした。 どうにか振り返り部分も終わったので、ここからは現在進行形で書き進めていきたいと思います。 大好きな禅僧、仙厓!唐突ですが、私、仙厓(せんがい)という江戸時代のお坊さん、好きなんです。 仙涯は還暦を

          『永遠の今、絶ゆることなく』という言葉と出会った富山の不思議な喫茶店のこと。

          今回はトップの写真(これ動画作品なんですが、その最初の部分をスクショしたものです)の作品を作るきっかけとなった、ちょっと不思議なエピソードの紹介です。 まずは富山への一人旅去年のお正月、まだコロナのことは大きな話題になることなく、日本中がのんびりとしていた時の出来事です。 三が日が明けてすぐのこと、私は急に、ある知り合いのプロカのメラマンの個展を観にいこう!と思いたち、 一人富山!!へと一泊の旅に出かけました。 ず〜っとどこにも出かけず何日でも家に居て平気な私ですが(な

          『永遠の今、絶ゆることなく』という言葉と出会った富山の不思議な喫茶店のこと。

          BATシリーズ最後の作品

          ここ数回にわたって、約一年ほどかけて書いてきたBATシリーズのことを記事にして投稿してきましたが、 今回は、このシリーズの最後の作品紹介です。 ハザマとミギワここにきて、ずっと気になりながらもやり過ごしていたことをあらためて考えてみることにしました。 それは、ハザマとミギワの意味の違いってなに?ということです。 気になることがそんなことって、かなり平和です。 ハザマとミギワ、同じような感じもするけれど、自分の中ではどことなくニュアンスが違うなぁ、って思っていたんですよ

          BATシリーズ最後の作品

          自と他の線引き

          一匹のコウモリが私だとしたらこれまで、この世界の線引きをコウモリの世界を借りて表現してきたのですが、 『コウモリと線引き』 『コウモリでオールオーヴァー(全面を覆う』 夥しい数のコウモリを書くたびに、そのコウモリたちの中のどれか一匹が自分かもしれないと感じていました。 そこで、自分と他人、自分と世間との線引きを一匹のコウモリからの視点で表してみようと思いました。 一つの作品を書いては、ん?いやこんな時もあるなぁ、といくつか違うパターンを創っていきました。 その時のシ

          コウモリでオールオーヴァー(全面を覆う)

          コウモリの話に戻ります。何回か前の投稿で、自分が怖くて仕方のないコウモリをなぜかモチーフに選び、作品を作り出した話を書いたのですが、 『コウモリと線引き』 今回はその「BATシリーズ」の続きを書きたいと思います。 境界線について思うこと境界線って、目に見えるもの見えないものに拘らず、いろんなところに存在しているようで、でもそのどれもがピシッと線を引けるわけでもないように思うんですよね。 まあ、もともと自然界には境界線なんて存在しなかっただろうしなぁ、とも。 例えば空の

          コウモリでオールオーヴァー(全面を覆う)