『映画「君の名は」と「象」』
「象」はなぜ「カタドル」と読むの??
今回の作品のモチーフとなる漢字は「象」です。
映画「君の名は」とどう関係あるの?って感じなんですが、それはまた後ほど・・・
その前に、まずお決まりの「象」という漢字の成り立ちから。
「象」、これは分かりやすい!動物のゾウの形から出来た象形文字ですね。
そして、古代の人はゾウのあまりの大きさから、ゾウを「カタチ」という概念の象徴としました。
で、何かアルモノを見てそのカタチを表すことを「カタドル」といい、「象(かたど)る」と文字を当てたのだとか。
どうも太古の中国、黄河流域にも象はウヨウヨ?いたようです。
一人一人、みな違う世界に生きている!
まだ幼稚園に通っていたくらいの幼い頃、夜寝る前に、その日の出来事を思い出しては、
「今、こんな風に思っているこの気持ちは、私にしか分からなくて、〇〇ちゃんや△□ちゃんには絶対分からないんだろうなー」とか
「〇〇ちゃんの気持ちはどんな感じなのか、〇〇ちゃんにならないとわからないんやろぁ」
と、幼いながらに人の気持ち(その時はまだ意識や、自己とかいう言葉も知らなかったんですね)の不思議に思いを馳せ、自分が生まれる前や死んだ後の、その存在のことなどを想像してみては怖くなって、毎晩寝る前は泣いていました(笑)。
そこから凄〜く長い月日を生き、泣いて眠れなかった幼児は、寝る前に一日を振り返ることはあっても、あっという間に眠りに落ちていけるように成長?しました。
そして、多種多様な価値観や考えの容認を必要とされる今、書で現代社会を表現しようと模索している私の脳裏に、あの幼き頃の想いがムクムクと蘇ってきて、形にしたのが次の作品です。
そんな人の気持ちや意識の違いに凄く関心のある私は、昔から何かの衝撃で体と心が入れ替わるストーリーの映画や、最近では異世界転生モノのアニメなどが好きでよく観てきたのですが、2016年公開の新海誠監督の映画アニメ「君の名は」を観た時、「おおおっ!これまでの『入れ替わりモノ』とはちょっと違うぞ!」という印象を持ちました。
男女の心が入れ替わる、というのは有りがちなものでしたが、入れ替わりの時空が大きく時代を飛び越えるとかでもなく、ほんの数年だけのズレになっている、というのがミソになってましたね
その数年のズレはストーリーが進んでいかないと分からない設定になっている、というのも面白いところでした。
しかし、この「象」作品に関係する一番印象に残ったシーンは、(観ていない人にとったらネタバレになりますが、もういいですよね、っていうか、そんなにコレ読んでくれている人いないっかぁー)、最後のほうで、主人公の女の子が自分の口に含んで噛んで作った「口噛み酒」を、主人公の男の子が飲んだ直後、スッテンと転んだ拍子に、その女の子が生まれた時から(いや、それよりももっと前の胎児に魂が宿る以前のシーンからあったか)、幼い頃の家族の様子、成長していく過程で見聞きし感じてきたことを全て追体験する場面です。
これこそ本当に相手の気持ちを自分の気持ちとして感じるということだ!!こんな体験をしない限り、人は人の心を知ることは決して叶わない。
だからこそフルに想像力を働かせ、その体験や、気持ちをイメージするしか術はないんだ!と、至極当たり前のことなんだけど、それを観て再確認しました。
ということで、その人それぞれのイメージ「象(カタド)り」を、目に見える形で表現してみたのがこの「象」の作品たちです。
このことは、みんな当たり前だと分かっているようで分かっていない。
だからつい、「何であんなことするの?」とか「意味わからんわ、あの行動!」とかなって、摩擦が起きちゃうんですよね。
まあ、金子みすずさんの「みんなちがってみんないい」の漢字バージョンね、といえばそれまでなのですが、この「象」作品だけでなく、ここ最近の漢字シリーズ作品は、文字で表現してはいますが、右脳でも観て感じてもらえる作品になればいいな、と思って創っています。
漢字で現代社会を考えるシリーズ、次なる作品のモチーフとなる漢字は何か、乞うご期待!!
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