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課題解決の方法論 ~どこでも通用するスキルを身に着ける①~

社会課題でも、企業の課題でも、個人の課題でも、アプローチは同じではないかと思っている。結局は、課題の原因を掘下げて、真因を特定し、それに対して打ち手を考えていく。

例えば、新規事業を立ち上げる際でも同じで、消費者の課題を掘下げて、打ち手となるサービスを考える。
例えば、営業をする際に顧客へ提案をする時も同じ。顧客の課題を発見し、掘下げて、打ち手となる提案を考える。

どんな課題を解決するにしろ、共通する方法論があり、この課題解決の方法を身に着けるとパワフルになる。これから、一つの企業で一生務めることがはほぼなく、企業から企業への流動性が上がるにつれて、持ち運び可能なスキル(=ポータブルスキル)が必要となってくる。その時に必ず重宝されるスキルが、この”課題解決力”だと思う。

課題を構造化する

解決すべき課題が特定できた時にまず私がやるのが、「課題の構造化」 (下図参照)。

課題の構造化①

今ある情報をベースに「課題を構造化」し、初期仮説を立てる。ある程度ロジカルではあるけども、妄想に近い。よく言われるMECEでなくても、MECE感があればOK

これを組み上げた次は仮説を検証する(初期仮説ではなくなる)。当然のことながら、仮説が外れるものもあれば、正しかったものもあれば、追加されるものもある。二次情報だけでなく、一次情報(インタビュー、観察など)を取りながら。

ポイントは外れてもいいということ。最初から当たるはずもない。外れても諦めずに、「課題の構造化」を高速でアップデートをしていく。

仮説を検証する

課題の構造化(仮説)が出来上がったら、次は仮説を検証する。最初に作った仮説は、いわば妄想に近い。こんなことがありそうレベルで、経験がある領域であったとしても、外れると思っていた方がいい(もちろん、経験値が多いほど、精度が高い仮説は作れるが)。

その次のステップとしては、いきなり検証作業に入るのではなく、分解された原因・真因仮説をどう検証するのかを考える。一般的な方法は5つ。


① ヒアリング:業界や領域の専門家にヒアリングをしたり、顧客の管理者や現場の方にインタビューをしたり、消費者に直接聞いたりする。ヒアリング形式ではなく、顧客とのディスカッションもここに含まれる。

② データ分析:統計データや顧客内部にある財務・業務データを入手し、分析して検証する

③ 行動観察:消費者や社員の行動を観察する。一日べったりくっついてみるだけで多くが分かる

④ 帳票分析:現場で使っている帳票類の現物を入手し、分析する

⑤ アンケート:アンケートシートを作って、顧客の従業員や消費者に記入してもらう。広く浅く調査するには有効である

ポイントはその仮説を検証するのに、どれが最適な方法かを見極めること。ヒアリングすればいいものもあるし、必ずしも人の話が当てにならないようなものは、生データにあたって検証する方がいい。ただ、人が語る内容は、事実をベースの時もあるし、感覚的に答えている時もあるので。

その仮説検証の方法が確立したら、あとは実際に①~⑤をやってみて検証をしていく。

仮説検証方法


ここで重要なのは、①できるだけ一次情報に触れること(誰かが解釈等を加えて加工された二次情報ではなく)、②最初の仮説に拘らないこと③反証された仮説を捨てること。無理やり、「これを言いたい」と言って、データや観察結果をこねくり回さないこと。新たなに発見した原因・真因については、課題の構造化に追加していくし、反証されたものは消していく。

仮説検証後

実際に我々がコンサルティングをやるときは①~⑤の仮説検証を2週間ぐらいかけて、4-5人くらいのメンバーが現場に入って、仮説検証を行う(多くの場合は無償で実施)。毎日毎日、新しい情報が入手できるので、課題の構造化を毎日毎日、アップデートをしていく。まさに超高速で、仮説を検証していくイメージ。

真因に対する打ち手を考える

課題の構造化(仮説)ができ、仮説を検証し、真因を特定することができたら、次は真因に対する打ち手を考える。基本的には真因の裏返しが打ち手となることが多いものの、一つの真因に対して、一つの打ち手とは限らず、二つ、三つの真因を一気にやっつける方法(インクルーシブ思考)も考えてみる。その打ち手を考える上での切り口は大きく4つある(図参照)。

真因に対する打ち手

① アイデア発想を活用する:世の中にはアイデア発想法がたくさんある。オズボーンチェックリスト、マンダラート法、組み合わせ法、しりとり組み合わせ法(バンダイの高橋さん:「アイデアの作り方」に記載された方法)、NM法などなど。


② 自社事例や経験を活用する:自社に蓄積されている(又は眠っている)過去の事例をフル活用する。これを活用するには、ナレッジが検索しやすく、しかもシンプルに纏められていることが前提ではある。


③ 他業界事例を活用する:他業界での取組み事例を適用する方法。そっくりそのまま使える場合もあるし、他社事例を抽象化して、転用するやり方もある。このやり方をするには、他業界の事例をその時に調べるよりも、他業界の成功・失敗事例を常にストックしておくと使いたい時に使える。


④ 他人の脳を活用する:他人の知恵を使う方法。一人で考えるには限界があるので、誰かと議論をしたり、アイデア出しをするというやり方。自分の思考の壁打ちとなるような相手や相談できるコミュニティを持っておくといいと思います。運営しているオンラインサロン「右腕倶楽部」      ( https://lounge.dmm.com/detail/1830 )もある意味、複数の脳で成り立った集団となる。

真因に対する打ち手②

その中から、優先順位やステップを考えていくことになる。優先順位付けの仕方はいろいろあるが、私は実現スピード(難易度を含む)×効果で整理することが多い。コストの掛かるものがあるがあるのであれば、費用×効果で整理するのもいいと。効果が高くて、実現も早く、そして費用も掛からない方法があれば、それがまずやることだと思う。

我々が手掛けるコンサルティングの序盤に、早期改善(クイックチャレンジ)と呼ばれる活動を実施する。それがまさにこの考え方。真因に対する打ち手の中で、すぐできて、効果もあり、費用も掛からない打ち手を即実行してもらう。そうすると、お客さんが小さくても早く“成功体験”が積めるので、プロジェクト全体に弾みがつく。我々に対する抵抗感(これは毎回ある)も少なくなり、信頼度も上がる。

また、これは自論ですが、課題解決の打ち手の中には、新しいサービスのネタになるものも含まれることがある。そういうものがあれば、サービスを具体化し(絵を描くのがおススメ)、ビジネスモデルを考えていくのもありだと思う。

そう考えると、課題の構造化⇒仮説検証⇒真因に対する打ち手⇒新サービス⇒ビジネスモデル⇒事業計画、という流れは自分の中ではしっくりくる。なぜなら、顧客の課題解決=ビジネスだから。

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