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司法浪人の香港旅行⇒「深夜特急」にも登場、憧れのチョンキンマンションへ!

司法試験に合格できずにいた僕が、勉強に煮詰まり、初めての海外旅行へ行った時のお話をしています。

今回は第8話。シンガポール編に続いて香港編のお話です。深夜特急が愛読書だった僕は、どうしてもチョンキンマンションに泊まりたかったのです。

シンガポール発⇒香港国際空港へ


早朝、僕はシンガポールを出発して、香港国際空港に向かう。飛行機で4時間の旅路だ。

眠りたかったけど機内食などが出てきて何度か起こされる。熟睡できなかったものの、シンガポールで昏睡強盗にあった僕としては、機内で食事が出てくることは本当に有り難かった。

寝不足のまま香港国際空港に到着する。

飛行機から降りると、同じ飛行機に乗っていた乗客たちは、空港の外へ出るために足早に歩いていく。

僕も人の流れに乗って皆の後について歩いていく。
なんだか、シンガポールよりも香港の人の方がセッカチなのだろうか。乗客たちは早足で歩いている気がした。

空港中の至る所に「小心地滑」と言う文字が表記されている。
おそらく、「滑らないように注意しろ!」と言う意味だろうと想像する。

緊急キャッシングのお金を引き出す


空港内のATMのような機械から、緊急キャッシングしてもらったお金を下ろすことができた。久々に現金が手元に手に入る。異国の地でお金を無事入手できて安心できた。

香港国際空港は、シンガポールよりも小さいが、近代的のような印象を受けた。気のせいだっただろうか。

2階建バスで、いざ重慶大厦(チョンキンマンション)へ


空港の外に出ると、街中に向かう2階建てのバスが何台か泊まっている。

シンガポールで昏睡強盗の被害を受けてしまい、お金とカードの他にも「地球の歩き方」を盗まれていたので、手元には地図がなかった。しかし、幸運なことに空港で配布されていた無料の地図が手に入る。

まだ午前中だったが、まずは本日の宿へ向かうことにする。香港ではお目当ての宿があって、重慶大厦(チョンキンマンション)というゲストハウスに泊まることだけは決めていた。

僕はバスの案内人に向かって、
「チョンキンマンションにいくバスはどれか?」と聞き、指定されたバスに乗り、降りる場所を確かめてからバスに乗り込んだ。

バスが出発する。僕は2階建バスの2階に陣取っていた。地図を見ながら香港の地理関係を確認したところ、僕は九龍というエリアに向かっているようだった。

バスに揺られてしばらくすると、バスの上や路肩に、大きな看板が沢山掲げられている道に差し掛かる。バスの2階からだと看板がバスに当たりそうな迫力があった。

香港の道は人も車も賑やかだ。熱気に包まれている感じがした。
まさしく今、自分は香港にいる。香港に来たんだ!と実感することができた。

30分間ほど経って、バスの運転手が「ここです。降りてください」と教えてくれる。どうやら着いたようだ。

バスを降りる⇒九龍エリア(チョンキンマンション付近)


バスを降りると、賑やか通りだった。
人が沢山歩いている。賑やかなのだが、なんだか少し違和感も感じる。

気のせいだろうか。
街中には警察官らしき制服を着た人がたくさん立っていて、悪いことをしている訳ではないけど、少し緊張する。

チョンキンマンションのゲストハウス⇒値段交渉


チョンキンマンションの場所を人に尋ねながら歩く。歩いて数分で遂に念願のチョンキンマンションにたどり着いた。
沢木耕太郎の「深夜特急」と同じ宿に泊まれると思うと、自然と気分が高まった。

建物の前には沢山の客引きが立っている。僕はチョンキンマンションという名前の一つのホテルが存在しているものと勘違いをしていた。

客引きの一人が、早速僕に話しかけてくる。安くするから宿に泊まれと勧誘してきたのだ。
値段は1500円だと言う。

1500円でも安いのかなと思ったが、僕は値引き交渉をする。

僕は「高い高い500円だ」と応酬した。

「500円!?無理無理」と言っているようだった。

僕は、あっそうという素振りで立ち去ろうとする。
すると「OKOK、500円でOK」と言う。商談成立だ。なんだか嬉しい気持ちになる。

ゲストハウスにチェックイン


そのゲストハウスは、チョンキンマンションのビルの10階にあったと思う。

客引きと一緒にエレベーター(とても古くて汚かった気がする)に乗って、10階までいくと、思いの外広い空間が広がっていた。廊下を歩き10階の角に、ゲストハウスの受付があった。

ゲストハウスには、個室とドミトリーがあるようだ。ドミトリーの方が安そうで、一瞬心が動いたが、ドミトリーには欧米系のバックパッカーのカップルや、黒人が何人か泊まっているようだった。

なんだか物騒な気がしたし、客引きとは個室料金で交渉していたので、やはり個室に泊まることにする。

宿代が500円から1000円に値上げされた


料金は前払いということだったので、僕は500円を支払おうとする。

すると、先ほどの客引きが「NONO!1000円!」と叫びだす。なんだコイツは。

僕は「500円だろ」と言い返す。しかし、客引きは譲らない。
話を聞くと、なんでもTAXを払う必要があるらしい。TAXが500円なので1000円必要なのだというのだ。

「TAXって本当かな?やるなこいつ」と思いながら、笑えてきた。
まあ1000円払えばいいやと思い、3泊分の料金(3000円)を支払った。

チョンキンマンションの宿泊部屋は想像を絶した


個室に通されると、そこは、想像を絶する部屋だった。
シンガポールの安宿も凄い部屋だと思ったけど、それよりも酷い場所だ。

部屋の中には明かりはなく暗いし、なんだか湿っていた。
3畳ほどの広さの部屋に、ベッドがどんと置いてあるようだ。

暗くてよく見えないが、マットレスらしきものがあり、その上に布団らしき物体が敷かれている。いかにも汚くて、触るのも躊躇する。なんだか匂いもする。

部屋には個室用のトイレも設置されているが、水の流れが悪い。と言うか、水がほとんど出てこない。電気もつかない。

便器の上には何故だかシャワーがある。トイレに座りながらシャワーを浴びるのだろうか。

シャワーからはお湯は出ない。

疲労困憊だった僕は仮眠をとる


寝不足で睡魔が襲ってきた僕は、仮眠をとることにした。

この素晴らしく汚いベットの上で眠ることには抵抗があったが、体は疲れ切っていたのだ。日本から持参した寝袋をベットの上に引いてその中に潜り込むことにした。

少し眠ったらしい。でも、なんだかカサコソと動く気配に目を覚ます。

寝ぼけ眼の状態だったが、ベットの下には、何だか巨大な虫のような物体が動いている。コソコソ。コソコソと音がするが、暗くてよく見えない。

ベッドの上にも虫が何匹か歩いている気がした。

高熱で体が動かない


僕は飛び起きて部屋から逃げ出したかったが、なんだか頭がクラクラする。高熱が出ているようで、身体中が火照っている。汗もかいている。僕は起き上がることができかった。

このままこの部屋で寝ていて、誰も気が付かないで死んでしまうのかな。
そんな思いが脳裏に浮かんでいたが、身体を動かすこともできず、気が遠のいていった。

この記事を書いた人
湯川 七八貴
https://7korobi-8oki.com/rising/

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