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ちょっとした一言を見逃さない#002 「大丈夫です」を連呼する人の心理

ある看護師さんの話です。とてもやる気に満ちた看護師さんがいました。人柄も良く、ちょっとドジなところもあっても愛嬌がたっぷりあるため、みんなが助けてくれるような、お得なキャラクターの看護師さんです。年齢は若くはないですが、度胸と体力は若い子達よりもある、そんな看護師さんのお話です。


「大丈夫です」

彼女の口癖は「大丈夫です!」です。看護師のリーダーが彼女に対して仕事の依頼をしました。彼女は元気よく、一つ返事で「わかりました!」といって快く受け取ってくれました。お願いしたことは、彼女が得意と言っていた「患者さんへの説明用資料作成」。前職ではやっていたということでしたので、彼女の出来ることをやってもらいたい、そう思ってリーダーが依頼したものでした。「前職でやっていたので得意です。大丈夫ですので、任せてください」

「本当に、大丈夫?」

それから依頼して時間が経ちました。「あの資料作成、どうなりました?」と聞いたら、少し慌てた様子で「大丈夫です!もう少しですから」と返事して、そそくさをその場を離れました。「大丈夫です」という言葉に、看護師のリーダーも「まぁ本人が大丈夫というなら・・」と、その言葉を頼りにずっと待っていました。一つ気になっていたのは、説明用の資料作成のために、PCでの作業に集中していたのです。その作業が大変そうにみえました。

「大丈夫です!」

しばらく日にちが経ちました。資料作成の返答もないため、確認をしましたら「大丈夫です!」とまた明るい返事が返ってきました。そういえば、彼女は何においても「大丈夫です」というタイプでした。以前、訪問診療時に、患者さんが「私の病気はよくなるのでしょうか」と一言発したときも、すぐ「大丈夫ですよ!」と言ってしまう看護師でした。「断定的に言えないことは、断定しないこと!」とリーダーに怒られましたが、彼女は根拠なく「大丈夫です」と言ってしまう点がありました。色々思うところはあったかも知れませんが、彼女の発する「大丈夫」は、勢いで言ってしまう、根拠のない大丈夫だったのです。

「大丈夫です」の言葉を連呼する人の心理

大丈夫です!という言葉を発する人の気持ちになってみましょう。心理学は不要です。本当は大丈夫では無いときに、大丈夫という人の気持ちです。大丈夫です、という言葉で、これ以上の「関わり」を遮り、自分の状態をみせたくない、という心理的な働きを感じますね。もしくは、体育会系の慣習も考えられます。「為せば成る」という精神で、まずは「大丈夫です!」という場合です。大丈夫ではないけれども、大丈夫と言えば、大丈夫になる、という期待です。ただ、どちらも現状では「大丈夫ではない」「大丈夫になるまでの途中」ともいえますので、心許ないことは確かです。では、このような「大丈夫です!」とつい言っちゃう方には、どのように関われば良いでしょうか?

「大丈夫」の理由を聞きましょう

日常的に根拠も無く「大丈夫」という言葉は、管理職として慎重に聞くべきです。なぜならば、大丈夫と言われた相手は、その大丈夫を受け入れなくてはならなくなり、その大丈夫では無い状況を、結果的に「放置する」ことになってしまうからです。そうなると、大丈夫では無い状況が生まれることは目に見えています。「本当に大丈夫かしら?」と心配が膨らむ前に、本当に大丈夫かどうか、本人に聞くための時間をとりましょう。聞く内容はただ一つ、大丈夫である理由です。その理由を聞きましょう。


確認方法の一つの方法として

その理由が、本当に大丈夫かどうかは、①今の状況を確認、②これから大丈夫になるまでの状況を確認、③大丈夫になるまでの流れが「現実的かどうか」の確認、です。この確認から、サポートが必要かどうかを管理職は確認します。確認するのも、できれば言葉や話している内容は、手書きなど残しておくと良いでしょう。その手書きは、自分を客観的にみる「目印」になります。「本当に大丈夫かどうか」話しながら、目印をみながら、自らが気づくこともありますので、そのためにぜひ目印となる言葉や図などを一緒に書きながら話しましょう。

実は案外、大丈夫かも知れませんから。


結論「大丈夫ですという人には、その理由を確認しましょう」


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