見出し画像

お盆に帰省や旅行を考えている妊婦さんへ

外来でお仕事していて、この時期になるとよくある質問

「お盆に帰省していいですか?」
「子供の夏休みに旅行に行っていいですか?」

妊娠中の遠出についての疑問に現役助産師がお答えします💬


もちろん帰省や旅行を推奨するものではありません‼️
しなくていいならしないに超したことはない。

帰省/旅行してもいい時期📅

①初期 ❌
つわりが辛い時期でもありますので、長時間の移動、休憩がとれない状況はしんどいですし、乗り物酔いしやすいこともあります。
また12週ごろまでは流産しやすい時期でもありますから避けた方がいいでしょう。

②安定期~28週ごろまで ⭕
比較的体調も落ち着いています。乗り物やタイムスケジュールを考慮し、体調に無理のない範囲で。
ただし、切迫早産や前置胎盤、その他医者に注意するように言われているならば絶対NG!

③29週~33週 ▲
生理的にお腹が張る時期です。長い時間同じ体勢でいるのはお腹の張る原因にもなります。
この時期に産まれると早産です。
この時期に産まれてしまうと、赤ちゃんはまだ一人で呼吸ができない状態なので危険です。
命に関わる合併症をもって産まれる可能性も高い。
なので、できれば避けたい…
どうしてもの場合、かつ経過が良好で体調がいい場合に限ってです。

④34週~臨月 ❌❌
絶対にやめましょう!
34週以降は痛みを伴わない張りが増えてきます。
陣痛や破水をしたらそのままお産になる可能性も。出先で一度も受診したことのない、家からも遠い病院で産むの、怖くないですか?

医療者側としても情報がない状況でのお産はリスクが高い。
いつ産まれてもいい臨月だから~と安心しないで!


乗り物は何がいい?

①飛行機 ❌
飛行機は長時間同じ体勢になります。すぐに休息がとれる環境でもありません。
気圧も変化するので破水もしやすくなります。避けましょう。
必ずチケットをとる際に妊婦であることを伝え、広い席やトイレに近い席にしてもらいましょう。

狭い席だと循環も悪くなって足に血栓ができる《ロングフライト血栓症》のリスクも⚡
広い席をえらびましょう!


※週数によって飛行機に搭乗する場合には、航空会社によっては医師の診断書が必要になる場合もあります。航空会社に確認しましょう。

②電車 ▲
長時間はおすすめできません。途中下車もできないので、体調がいい時にしましょう。
また乗り換えの時間がギリギリだと、急いであるいたり無理に階段を登ったりと負担になります。
お腹の張る原因にもなります。
乗り換えやタイムスケジュールに余裕をもって!また混雑している電車は避けましょう。
階段の上り下りは避け、エスカレーターやエレベーターを使いましょう。

③新幹線 ▲
長時間同じ体勢で座っているのもお腹の張る原因にもなります。一度発車すると、次の駅までが長いので、あまりおすすめはしません。こまめに体勢をかえたり、楽な体勢で乗るようにしましょう。体調が悪いときはダメです。
シートベルトも着けてほしいですが、きつくなりすぎないようにしましょう。
妊娠していることを伝え、広い席やトイレに近い席にしてもらいましょう。確実に座るために指定席をとるのがよいと思います。
こちらも乗り換えには余裕をもって。

④車 ⭕だけど気を付けて
休憩しやすい、いつでも止まれる、体勢も変えられる、という点で一応○。
狭い車内で長時間同じ体勢で座るのは、こちらもお腹の張る原因になるのでNG。こまめに休憩を取ってください。高速にのってしまうと途中での休憩や下車が難しくなるので交通状況を確認しましょう。SA,PAなどでこまめに休息をとり、渋滞が酷いようなら高速は避けてください。
体調が悪かったりお腹が張るなら後部座席で横になり、休息をとりましょう。
シートベルトもきつくなりすぎないようにつけましょう。

目安は1時間くらいで車を停めて、必ず車を降り、体を動かしましょう🚶


場所や移動時間は?

近場の2-3時間で行けるところに留めましょう。
長い時間の移動は疲れるし、同じ体勢が長くなりやすい。
何度も言いますが、タイムスケジュールに余裕をもって!

また混雑しているところも避け、
ゆったりまったり過ごせるところを選びましょう。

持っていくべきものは?

【必須!】

①母子手帳、診察券、保険証
出先で何かあったとき、受診になったとき、頼りになるのは母子手帳。妊娠中の経過は母子手帳を見ればある程度は分かります。
そもそも妊娠したらこの3点は常に持ち歩きましょう。

②処方されている薬
市販の薬を飲むのは避けましょう。かかりつけから処方されている薬は必ず持っていき内服してください。

【持っていくとよい!】
③飲料
長時間同じ体勢でいると、いわゆる《ロングフライト血栓症》のリスクがあります。
こまめに水分をとりましょう。また長時間座っているときには足の運動やストレッチをしましょう。
ただ家からたくさん持っていって荷物が重たくなるのもよくないので、1本持ってなくなったら買うスタイルで。

④パジャマや羽織もの
旅行先で泊まる場合には、浴衣やバスローブだとはだけて体が冷えやすい。体型に合わなかったりきつかったりセクシーになってしまうことも。
また交通機関で移動中もクーラーによって冷えることも。
体の冷えはお腹の張りに繋がります!
自分の体型に合った体温調節できるものを持ちましょう。

⑤もしあるなら医師の診断書
飛行機の場合、医師の診断書が必要な場合があります。


《ロングフライト血栓症》って?

いわゆる「エコノミークラス症候群」です。
長い間、同じ体勢でいると、体の下にある足の血流が悪くなり、血栓(血のかたまり)ができやすくなります。
その血栓が、立ち上がったときなど、足の血流が良くなった時に、肺の血管に詰まると命に関わる病気です。

妊娠中は出産時の出血に備え、血が固まりやすくなります。かつ子宮も大きくなってくると足の血管を圧迫して、血流が悪くなります。
なので、特にこの病気を発症しやすいんです。

予防法としては
・水分をとる
→血液の量が増えて血栓ができにくいから
・足のマッサージ
・歩くなどの足の運動
→血流を良くするから
です。

里帰りはいつすればいい?

32~34週の体調がいいとき

里帰りで地方にいく場合、出産予定の病院に34週ごろから受診の必要がありますし、36週以降は週に1回の健診となります。
可能なら早めに移動しましょう。

また今はコロナ感染を防ぐため、移動先で2週間以上の自宅待機後でなければ、健診にも受診できないという産院も増えています。
仕事や上の子の保育園などを調整し、余裕をもって里帰り先に行くのがよいでしょう。

里帰りの時には、それまで健診でもらった書類や紹介状などを忘れず、全て持っていきましょう。


旅行中/帰省中の注意点!

①危険を伴うアクティビティ
ジェットコースターなどのアトラクション、マリンスポーツなどは絶対NG!

知ってますか?
毎年30人近くの妊婦がディズニーリゾートに遊びに行き、トラブルが発生して近くの某大学病院に搬送されています。そのせいで元々その病院で産む予定の人が産めなくなる事態が発生してるんです!
もちろん今の時期は行かないですよね!


②食べ物注意
旅行の醍醐味と言えば食事。ただ妊婦さんは避けるべき食べ物がありますよね。

・生肉
・加熱されてないチーズ
・生魚や甲殻類、貝類
・生もの

これらは気を付けて!寿司や刺身も新鮮なものを少量にとどめてください。

③荷物は軽く!同伴者にもってもらおう
重たい荷物を持ったり持ち上げるのもお腹に力が入るのでやめましょう。
一緒にいく人にもってもらってね。

④妊婦であることを隠さない
公共交通機関や宿泊先には妊婦であることを伝えましょう。
妊婦さんが受けられるサービスもありますし、
食事や席、部屋、服など融通を聞かせてくれることも多いです。

⑤何かあったらすぐにかかりつけに電話を
出先でお腹が張った、破水した、トラブルが起きた
なんてこと…あってほしくないですが、

もしあったらとりあえずすぐにかかりつけに電話してください。
もし出先での受診になったとしても、かかりつけの先生が連絡してくれることで得られる情報も多いです。

⑥念のため、出先の近くの産院を調べておく
何かあった時、念のため出先の近くの病院を調べておけば安心。
できれば大きい病院(大学病院、総合病院の産科)と出先からそこまでの距離、連絡先くらいを分かっているといいでしょう。

⑦何よりも体調優先!
無理は禁物!パパの希望やスケジュールもあると思うけど、なによりママ優先です。
時間にも心にも余裕を持っての移動を。



こんなご時世だから

妊娠中は夫婦で過ごせる最後の時間…だから旅行したい!
子供に夏休みの思い出を作ってあげたい!

その気持ちはよくわかります。でも今はコロナが流行っています。
妊娠後期に新型コロナウイルスに感染すると、重症化した例もありますし、今は変異株も増えてる。

越県はやめましょうと国が言っていますし
何よりもママに、パパに後悔してほしくない!

里帰りなど、どうしてもな場合を除いて、旅行や帰省は避けませんか?


コロナが落ち着かず、不安の大きい中での妊娠を頑張ってるママ、それを支えるパパやご家族へ

無事ご出産されることを祈ってます🍀

以上助産師Rでしたー🦊

参考文献




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?