満月(みづき)

小説を書いています満月(みづき)です。定期的に小説やエッセイを発表したいと思います。尋…

満月(みづき)

小説を書いています満月(みづき)です。定期的に小説やエッセイを発表したいと思います。尋ねてくださった皆様に、幸がありますように。  山梨出身在住/早稲田大学建築学科卒業/男/アラサー/note初心者

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軽く自己紹介

初めまして、満月(みづき)といいます。アラサー独身男子、現在は山梨県で建築設計をしてご飯を食べております。 僕は子供の頃から、漫画やアニメ、映画やドラマなどの創作物を見ることが好きでした。 ジブリ に夢中になり、スラムダンクに心打たれ、タッチやめぞん一刻を読み昭和の先輩方と心を通わせられた気がして、一人部屋の隅で胸を一杯にさせていました。 現在の自分の良い部分も悪い部分も、めんどくさい部分も素直な部分も、小さい頃に見たたくさんの作品があったからこそだと思います。 そう

    • 近況(一級建築士試験というボス)

      お久しぶりです。 二週間程、更新に間が開いてしまいました。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。 この二週間の間にも、東京のコロナ感染者数の急増や、昨年に続く豪雨による甚大な被害といった暗いニュースが目につく様な気がします。 Go To キャンペーンの開催も批判をよんでいて、巷では『Go To Hellキャンペーン』などと揶揄されているますね。 日本の状況が好転することを祈るばかりです。 私の方はと言いますと、先日一級建築士の学科試験を受けて来ました。 コロナ渦で開催さえ

      • 皆は海は?山は?…僕は山派…!

        皆さま。梅雨真っ只中のこの季節、いかがお過ごしでしょうか? コロナが全世界を騒がし始めてからもう、5ヵ月余りが過ぎようとしております。 長期的なコロナ渦で精神的に疲弊してくると同時に、 政治の問題、芸能人のスキャンダル、香港問題やオリンピックの開催問題など、何かと嫌なニュースばかりが目に入る年ですね。 そうした中で僕の方はというと、 2週間後に迫った資格試験の勉強のため少しワタワタとした日々を送っておりますが、何とか元気にやっております。 また最近は、天候の方でも

        • 長編小説『ヴィンセント物語』序章(3)「地下書庫」

          初回 『ヴィンセント物語』序章「ヴィンセント一家」 前回 『ヴィンセント物語』序章(2)「別邸」 「ギター、気に入ったのか?てっきりまた、ここの本を読んでるかと思ったけど」 カッハーがそう言うと、カトリーヌは両手で椅子の後ろを掴み、重心を前後に動かしながら言った。 「音色はわりと好きよ。まぁ、ヴァイオリンとピアノには飽きたから、丁度いい暇つぶしよ」 カッハーは恨めしそうに自分の娘を見る。 「言ってミテェなぁ、そのセリフ。俺は楽器がからっきしだから、羨ましいよ」

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        軽く自己紹介

          長編小説『ヴィンセント物語』序章(2)「別邸」

          初回 長編小説『ヴィンセント物語』序章(1)「ヴィンセント家」 もうすっかり辺りは闇に包まれて、冬季の冷たい風がふきすさんでいた。 城の中をぐるりと見回ったが、確かにカトリーヌの姿は見えなかった。 カッハーは腕組みをし、廊下の天井を見つめながらカトリーヌが行きそうな場所を考え、1つの目星をつけた。 「……………多分、あそこだろうなぁ」 そう言って彼は玄関へ向かい、城内を出た。 ヴィンセント家の敷地は、50万平米からなる蕩然たる大屋敷である。 敷地の周りは城壁で囲

          長編小説『ヴィンセント物語』序章(2)「別邸」

          短編小説『幸せ屋』(3)

          短編小説『幸せ屋』第一回 短編小説『幸せ屋』第二回(前回) 時刻は11時30分。 多くの高等学校が冬休みを目前に控えていたその日、ある三人の学生の姿は学校にはなかった。 彼らがいたのは、学校から2キロメートル程の街の繁華街にある、ゲームセンター“Avenue”である。 山梨県甲府市立第二高等学校の生徒会副会長を務める三年二組豊島真弓。 ハンドボール部に所属している三年六組田所景。 そして野村昭恵の息子、三年三組の野村大河。 Avenueの来店層は20代~50代

          短編小説『幸せ屋』(3)

          「この試合の終わるあと10分かそこらの後に三井寿は今を覚えているだろうか。」

          「この試合の終わるあと10分かそこらの後に三井寿は今を覚えているだろうか。しかし記録には残る。そして戦慄とともに見ている人々の記憶にも――」 青春スポーツ漫画の金字塔『スラムダンク』。 冒頭の言葉は、累計発行部数1億部を売り上げたこの作品の、伝説の最終戦、VS山王で使われたナレーションです。 余りにも有名な漫画なので、タイトルを見ただけでシーンが思い浮かぶ人も少なくないのではないでしょうか。 体力の限界を超え、何故立っていられるか敵も、己でさえも分からない状況で渾身の

          「この試合の終わるあと10分かそこらの後に三井寿は今を覚えているだろうか。」

          短編小説『幸せ屋』(2)

          第一話 短編小説『幸せ屋』(1) 部屋の中は、アパートの外装とは反してとても綺麗に整理されていた。 部屋自体は12畳ほどのリビングダイニングキッチンとなっており、机が二つ、本棚が二つ、ソファーが一つ、そしてタンスが一つある。窓際にある黒い机の上には、パソコンとオーディオ機器が並んでおり、どうやら仕事はここで行っている様だ。 南に面した窓からはいっぱいの日差しが入ってきており、清潔感のある気持ちのいい部屋であると彼女は感じた。 昭恵は部屋の中央にある白い机に通された。木

          短編小説『幸せ屋』(2)

          才能がないと気付け

          これは、大学の当時にある先生が言っていた言葉です。 設計の授業で学生に向けて言った言葉でした。 確か、もっと詳細にいうと、 「自分に才能がないことに早く気づいてください。そこからがスタートですから」 みたいな言葉だったと思います。 この言葉を聞いて、当時アンポンタンだった私はこう思いました。 「若者が根拠のない自信を持たなくてどうするんだっての。例え才能がなくても自分を信じることが一番重要だと思う。この先生はダメだな…」 当時、迷わずにこういった思考を持ったこと

          才能がないと気付け

          短編小説『幸せ屋』(1)

          昨日の夜から降り続いていた雨も明け方には止み、快晴となった天気につられ、街には少しづつ人通りが増えてきていた。 街はすっかりクリスマスのムードになっており、浮かれた曲がどこかしこから聞こえてくる。 12月20日、日曜日午前10時。 野村昭恵はその日、ある店に行こうとしていた。 月曜日から土曜日はみっちり洗濯仕事をしている彼女に取っては、日曜日は唯一の休日である。 「…はぁ」 彼女からはため息がこぼれ、顔には胃が痛そうな表情が充満している。 平日は仕事と家事に追わ

          短編小説『幸せ屋』(1)

          『ヴィンセント物語』序章「ヴィンセント一家」

          フランス、ピレネー山嶺の麓。 氷河がいまだに残り、切り立った山と悠然とした湖が佇むこの地には、フランス最強の王族が根を張っていた。 ヴィンセント家である。 15世紀まで複数の貴族が共生し、地の覇権を争っていたフランスという国を、その圧倒的な戦績で治めつつあったのがこの一族である。 西暦1534年。その王族ヴィンセント家に、一人の子供が誕生する。 性は女。名はカトリーヌ。 民に信頼され、紛れもない名王として知られた父親カッハーと、その妻エリーナによって自由奔放に育て

          『ヴィンセント物語』序章「ヴィンセント一家」