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日々の覚書:水族館とアイスランド


水族館の話題に触れるたびに、大学のときの留学生の先輩が「僕はイルカショーを見ることができない。イルカが可哀想だから。水族館や動物園自体も行く気になれない。」と言っていたことを思い出す。

そのときはそうなんですね、となりそれ以上のことは話さなかったけれど、いつまでもずっと自分の中にある。
個人的には地元の水族館のイルカショーは小さい頃楽しみに見ていたし、今も動物が飼育されている場所は好きだ。博物館学の授業で水族館や動物館も博物館の一種であると知って、研究と社会教育の面で重要な機関だと思っている。
けれどどこかでその先輩の言葉を覚えていて、イルカショーを抵抗なく見ていた自分の感覚について向き合っている。



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アイスランドについて気になっている。

去年の夏に会社でお世話になっていた先輩が退職し、アイスランドに渡った。いろんな仕事を任されていて慕われていた人だったので、辞めた後もよく会社の同僚と今どうしてるかな、私も行きたいな、と話していた。その中で、いろんな国に行ったことのある同期の子が「わたし新婚旅行はアイスランドに行くって決めてるんだよね」と断言した。「え、なんで?」と聞いたら、一番気になる国だから、のようなことを答えてくれた。そうなんだ。

別の日、ずっと見たいと思っていた「LAMB」という映画をAmazon Primeで観た。羊と人のあいのこみたいのが生まれるという、予告編で見た情報以上は何も前知識がなかったのだけど、見初めて舞台がアイスランドらしいことがわかりはっとなった。アイスランド!知ってる! 字幕で観てるけどどうやら本編はアイスランド語っぽい。荒涼とした草原を眺めながら実際の風景を想像した。

昨日、下川晋平さんという、2021年の9月に亡くなった写真家の展覧会に行った。
下川さんはアート制作の仕事でお世話になり、作品を公開するまでの間の制作風景や、その土地の自然の写真などを撮影してもらっていた。本当は完成した作品も撮ってもらう予定だったけれど、夏に持病が悪化されて、作品公開の直前に帰らぬ人になってしまった。撮影に来てくれた時のことを覚えているけど、一緒にごはんを食べたりゆっくりお話できなかったのをとても残念に思っている。

そんな下川さんの仕事を発表する展示で、アイスランドの自然をとらえた数点のシリーズがあり、ああ、ここでもか、と引き寄せられた。展覧会の主題であるイスラームのネオンのシリーズと、故郷の雪山の写真、そして晩年に撮影した林檎畑のシリーズがそれぞれある中で、アイスランドの風景は一見控えめなようだったけど、シャッターを切った場所や温度、湿度、そのときの下川さんの脳内を辿るような気持ちになった。

そんな経緯で、まとまりきらないアイスランドへの気になりがあることを記しておく。



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その他。最近ペペロンチーノの美味しい作り方を習得して嬉しい。お肉の味付けとして「ハニーマスタード」の選択肢を得た。会社の近くのランチが値上がりして悲しい。SNSを開くと世知辛い話題ばかりなのだけど、とりあえずは手を洗ってうがいをして洗濯槽の掃除をしたりお風呂の燻煙剤を炊いたりフライパンの焦付きを落としたりして、地道に生活をやっていくしかない。