行くあてはないけど ここには居たくない
このタイトルは
BLANKEY JET CITYの曲「小さな恋のメロディ」の一説なのだが
当時高校生の私はこの歌詞を聞いて
「神歌詞だ!!」と思った。
行くあてはないけど ここには居たくない
そう思う時、人は行き詰まっているんだと思う。
もしくは「暇」なんだと思う。
長女を出産した2015年。
私は大田区のアパートで毎日、不動産情報を見ていた。
果たして、子どもを育てるのは東京でいいのだろうか?と
真剣に悩んでいたからだ。
脳裏にはシンガポールで見かけた子どもたちの様子が映っていた。
さまざまな人種の子たちが入り混じり、楽しく野外学習をしている。
子ども同士は英語で話しているが、時々私の知らない言葉も飛び交っている。こうやって、幼い頃から多人種で揉まれて育った子は、私のような田舎の窮屈な人間関係で育った人とは違った素晴らしいものを得られるに違いないと私は心から思った。
現実は、保育園の待機児童問題。
テレビ局で働いていたので、そこまで通える距離の問題。
そもそも我々夫婦で購入できるであろうマンションの金額の問題があり
私たちは、「商店街の素敵さ」「公園が近い」「東横線が便利」という理由で川崎市へ引っ越し、そこに6年ほど住んだ。
川崎市は暮らしやすかった。
でも、私は思ってしまうのだ
「行くあてはないけど ここには居たくない」
2017年に次女を出産した私は夫に伝えた。
「期間は短くてもいいし、場所もどこでもいいんだけど
子どもが小さいときにイギリスに住んでみたい」
夫はイギリスと日本にルーツがあり、夫の家族もイギリスに住んでいる。
そこから英語を勉強したり、イギリスに行く方法を模索して
2022年11月に我々はイギリスへと移住した。
子どもたちは、全く聞き取れない英語にも少しずつ慣れ
友達もできた。
少し余裕が出てきた私は、かねてからやってみたかったことを始めた。
40歳以降の仕事をしている人に、仕事についてインタビューする
Podcast番組を始めたのだ。
記念すべき初回のゲストとして出演してくれた金子さんは
関西圏、オーストラリア、九州、香港、などなどを渡り歩いて
今は埼玉県で自給自足の生活をしている。
テレビ朝日系列で放送している「人生の楽園」などにも出演したことがあり
とっても面白い話を聞かせてくれた。
金子さんは
「もう海外に住みたいとか、海外旅行に行きたいとは思わない。だって結局どこに居ても向き合うのは自分なんだよ。だからこうして、自分としっかり向き合える生活が今一番面白い」と話していた。
我が娘たちは、川崎市、松本市、イギリスと目まぐるしく住む場所を変え、それでもたくましく育っている。
長女は「夏は長野がいいなぁ、暑さが爽やかだから。冬も長野がいいなぁ、雪遊びしたい。でも放課後は川崎がいいなあ。公園に行けばみんなで遊べたから。」とワクワクした目で話している。
イギリスに住んで3ヶ月、まだイギリスの素敵なところは彼女には見つかっていない。でもこの前
「学校で絵を描いて、その下に自分の国の国旗を飾ったんだよ」と教えてくれた。日本ではそんなことはしない。なぜならほぼ日本人だからだ。
「韓国の子とかもいたし、アフリカの子もいたよ」と楽しく話してくれた。
彼女にとって世界が地図帳の上だけではなくて、地続きでつながっている実感は私が子どもの頃には手にできなかったものだ。
どこにでも住めるとしたら、どこに住みたいのか。
京都もいいし、バルセロナも住んでみたい。
旅行で行ったベルリンも素敵な街だった。
今はイギリスに住んでいて、この田舎町が気に入りつつある。
でもきっと6年もしたらこの生活に飽きてしまう気もしている。
私はいつも「行くあてはないけど ここには居たくない」と思っていた
高校生から変わらない「飽きっぽい自分」を抱えて
どこが自分にとって最高の場所なのか、何年経ってもずっと探している気がしている。
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