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ドキドキさせないでちょうだい

ああ、なんにもしたくねえな!

と、babyちゃん(17歳娘)の至近距離で、
ひっくり返って手足をじたばたさせた。
たぶんbabyちゃんも、そんなきもちだと
思ったから。
一緒にやろうと思ったのだ。

babyちゃんは、教科書から顔を上げずに、
したくないねー
と力なく呟いただけだった。

babyちゃん、受験生なのだし、暑いし、
まいにち大変そうなのである。

彼女は美大に行きたいので、
しかも金を積んだら行ける学校では
ないので、実技試験に向けても、
目下勉強中なのだ。
やることが多すぎる。
わたしは、通ってきた道だから、
なおさら、大変さがわかる。

センター試験も受けなければならない。
今は、共通一次ってゆうのかな。

わたしの時はまだ、センター試験、といった。
田舎に住むわたし達は、
試験会場まで遠いので、
センター試験を受ける人は、前日に集まり、
学校が手配してくれたバスで、
先生の引率のもと、出発した。

あまり知られていないが、
京都は、ながぼそいのである。
3時間移動しても、まだ京都なのだ。
そして、海があることも
あんまり、知られていない。

京都市内に到着し、
試験会場近くのホテルにみんなで一泊した。
もはや修学旅行だ。
いろいろ、あんまり覚えていないのだが、
いっこだけ、鮮明に記憶に残っている。

試験会場は、京都大学だった。
僻地に住む私たちは、約3時間かけて
前日入り、慣れない場所に前泊して、
当日を迎えるわけであり、
この時点でもう、試験会場におうちから
行ける人に比べると、もうすでに、
だいぶ不利
な状況下に置かれている。
前日眠れない子もいただろうし
お腹が痛い子もいただろう。

そして京都大学である。
かしこの大学。
かしこしかいけない場所。

それだけでもドキドキなのに、
さらに追い討ちをかけられた。

京都大学の門をくぐったところで、
京大の学生が3.4人で、どてらを着て
こたつに入っていたのだ。

外、である。
1月、である。

なぜかはわからない。
ストライキ?
何かの訴えの最中?
部活かな?こたつ部?
電源って、、?

いや知らんけど。

今日は、センター試験なんで。
ドキドキしたおぼこい高校生が、
たくさんやってくるんで。
これ以上ドキドキさせないでください!

と思いながら、横を素通りした。
さすが、あたまのよい人たちは、
考えていることが違うのかもしれない。
寒さにも強いのかもしれない。

センター試験のことで、覚えていることは
以上である。
あとの記憶は、なにもない。
だから、なにも、アドバイスできない。

ごめんな、babyちゃん。
がんばりよし。


kuroさま
イラスト使わせて頂きました。
ありがとうございました!

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