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カイゼンの限界とディスラプター(創造的破壊者)の出現

1.「カイゼン(KAIZEN)」とは

かつて、世界の製造業を席捲した日本の「カイゼン(KAIZEN)」とは、製造業の現場でおこなわれる、業務を見直して今よりも良くしていくための活動のことです。

作業や業務の中にあるムダを排除し、より価値が高いものだけをおこなえるように、作業や業務のやり方を変える活動をおこなうことを指します。

漢字の「改善」は、「悪い部分を良くする」という意味しかありませんが、「カイゼン」には、「現状を満足せず、今よりもっと良くする」という意味があります。

この「カイゼン」の理念は、80年代から90年代にかけて、欧米でもメジャーな品質・生産性向上の手法として多くの製造企業に採用され、世界中の企業の経営に絶大な影響を及ぼしてきた。

その結果、日本の製造業は、ジャパンアズナンバーワンと称えられ、一次、日本のGDPが世界の15%(世界二位)を占め、アメリカの25%(世界一位)と合わせると日米で世界のGDPの40%を占めるという時代もありました。


2.「カイゼン」だけでは、世界に対抗できなくなった

ところが現代、日本の製造業は、欧米の先進諸国やアジアの製造業からも激しい追い上げを受け、多くのハイテク製品はすでに後塵を拝しており、かつての輝きを失いつつあるのが現実となっています。

そこで、「カイゼン」が輝きを失った原因を3つ挙げてみました。

2-1)カイゼンは、労務費偏重の手法

「カイゼン」は主に労務費を徹底的に削減する手法であり、数十年前までは、そのコストを下げることで、効果的にコスト構造を好転させることができました。

しかしながら、昨今の原価構成では、圧倒的に材料費が多くなり、また、外注加工費や外注物流費等も無視できない状況になりました。

「カイゼン」により、労務費を徹底的に圧縮させた結果、それ以上削減しても効果が限定的になってきています。

しかしながら、他の材料費や外注関連費が大きくなったにもかかわらず、あいかわらず、労務費の「カイゼン」にフォーカスし続け、製造業を会計の視点で分析できていなかったことに大きな問題がありました。

2-2)「カイゼン」は部分最適に陥りやすい

業務改善活動が工場の課毎で行われるようになると、工場全体、ひいては会社全体を俯瞰した業務最適化の議論がなされにくくなります。

「カイゼン」では、既存の業務内容や業務プロセスを「いかに早く、いかに効率的に処理できるか」を徹底追求し、漸進な進化を遂げます。

しかしその中では、「その業務プロセスの必要性」や「他の業務プロセスとの連携」については、基本的に考えることはありません。

そのため、「カイゼン」は課毎の部分最適は達成できますが、工場全体の業務最適化は推進されることはありません。

かつては、既存製品の延長線で物事を考えているうちは、この「カイゼン」が効果的だったのですが、全く新たな発想の製品を生み出そうとする場合、「カイゼン」発想は全く役に立たなくなっています。

2-3)ディスラプター(創造的破壊者)の出現

この10数年で、世界のビジネス環境は激変しました。

アメリカのGAFAや中国のIT企業等、ITプラットフォーマー*はディスラプター(創造的破壊者)と呼ばれ、デジタル技術を活用することで新しい商品やサービスを猛烈なスピードで展開するようになりました。

*ITプラットフォーマー: 
企業や個人がコンピュータシステムやインターネットを介してビジネスを展開する際に、その基盤(プラットフォーム**)を提供するIT企業。

**プラットフォーム:
IT分野の具体的なプラットフォームとしては、SNS、コンテンツ配信サービス、検索サービス、ECサイト、オンラインフリーマーケットがあります。

もはや、「カイゼン」の発想をはるかに超えるこれらITプラットフォーマーの動きにより、従来通りの「カイゼン」から抜けきれない日本企業が一気にその地位を落とすことになりました。


3.「カイゼン」の発想から脱出するためには(はじめの一歩)

「カイゼン」は、どちらかというと、小さな組織の個人やグループの努力の積み重ねによるものです。

しかし、今の世界は、小さな変化では、世の中のとんでもないスピードに全くついていけないということです。

「カイゼン」自体が悪なのではなく、変革の土壌が、会社や業界全体、そしてビジネスプロセスに移行しています。

そのため、会社自体が全体最適の視点から業務やビジネスを変革しなければならない段階に来ています。

人工知能(AI)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、ドローン、ロボット等、あらゆる最先端技術を使って、自社の全体最適や業務変革を行っていく必要があります。

これまでの投稿でもお話して来ましたが、今の日本の企業の状況を考えると、企業を一気に変革に導くために、やはり2つの変革ツールであるSDGsとDXを同時に推進することが最も手っ取り早いと改めて考えています。

引き続き、SDGsとDXを同時に推進する方法については、いろいろな情報を投稿して行きたいと考えています。

(以前の投稿を、ぜひご参照下さい)

【引用、参照website】
◆Smart DB website: トヨタ式「カイゼン」とは? 5S活動、3M削減など企業の成長を促す取り組み事例

◆日本経済新聞 電子版: 世界は、ServiceNowでうまくいく。いま改めて問う、組織変革の方法DX時代に一歩先行く業務改革の手法とは


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