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2030年推計: 「培養肉」 世界市場200億ドル(3兆円弱)【日経新聞2022.9.25】

【写真は、牛ひれ肉の中で中央部の最も太い部分のシャトーブリアン。まだ、このような培養肉は開発されていませんが、近い将来、開発に成功すればいいなと思い載せました。】

今日は、最近脚光を浴びている「培養肉」に関する日経新聞の記事についてご紹介します。


1.「培養肉」とは

その前に、以前の私の投稿(↓参照)でもお話しした「培養肉とは何か」について、簡単に説明します。

「培養肉」とは、ウシやトリ等の動物から取り出した少量の細胞を、動物の体外で増やしてつくる「本物の肉の代用品」のこと。

2013年、オランダのマーク・ポスト教授が、世界で初めて培養肉でハンバーガーをつくり、試食会を開催したのが始まりのようです。

この時は、ハンバーガー1つ分で30万ドル(当時の為替レートで、約3,000万円)もしたそうです。

それ以降、世界中で培養肉への投資や研究が盛んに行われているようです。


2.なぜ「培養肉」が注目されているのか

今、「培養肉」が注目されている理由は、以下4点です。

1)人口増加、食料増産への対応

1キログラムの牛肉を作るのに、25キログラムのトウモロコシと2万リットルの水が必要という生産効率の悪さがあります。

2)環境問題

食肉増産のために必要な放牧地確保のため、違法な森林伐採が行われています。

また、家畜の糞尿やげっぷ等から排出される大量のメタンガスは、地球温暖化に悪影響を及ぼしています。

関連投稿(↓参照)

3)安全性

培養肉は、衛生的な環境でつくられるため、人体に危険を及ぼすバクテリア等の付着リスクがないそうです。

4)倫理の観点(フードロス)

動物の生命を奪ってつくられた食肉のうち、かなりの量が賞味期限切れなどの理由で食べられることなく捨てられているという「フードロス」の問題があります。

この他にも、代替たんぱくとして注目されている「植物性代替肉」や「昆虫肉」と比較すると、私見も入りますが、いずれも「肉そのもの」の美味しさに取って代るのは、非常に難しいと思われます。


3.培養肉、世界市場30年に200億ドル 政府も開発支援へ【日本経済新聞2022.9.25朝刊、9.24電子版】

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今日の日経新聞 朝刊には、この「培養肉」の世界市場が2030年には200億ドル(3兆円弱)になり、世界の食肉供給の0.5%を占めるとの予測が載っていました。

記事には、6 月に発表した岸田内閣の「新しい資本主義実行計画」の中で「食糧・資源不足など地球規模での社会課題」ができる手段に挙げられていると書かれていました。

経済産業省は培養肉やバイオ繊維などに補助金を新設するようです。


4.さいごに

「培養肉」の技術があれば、例えばA5等級の松阪牛のしもふり肉を培養して、製造できるようになるのも夢ではありません。

実は、牛が「げっぷ」をする時に吐き出されるメタンは強力で、世界で排出される温室効果ガスの4%を占めるようです。

そのため、「培養肉」技術が完成すれば、家畜の糞尿やゲップから出るメタンガスの発生をなくすことができ、大いに環境問題に寄与することもできます。

このような技術に政府も着目し、補助金を新設することで、日本発信の技術も次々生まれることを期待したいと思います。


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