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変化の時代に即応できる「OODA(ウーダ)ループ」を理解する【前編】

先日の投稿(↓参照)で、「PDCAサイクル」について改めて、メリットとデメリットを挙げて振り返ってみました。

本日の投稿では、昨今の変化の激しい時代に「PDCAサイクル」に取って代わるのではと考えられている手法「OODAループ」について、考えてみたいと思います。

「PDCAサイクル」と比較すると、まだまだ馴染みがないこの「OODAループ」とはどういう手法なのか、そしてメリット、デメリットとは(こちらは、後編で)という観点でお話しします。


1.「OODA(ウーダ)ループ」って何だろう!

以前の投稿でも、説明していますが、改めて簡単に説明したいと思います。

「OODAループ」理論は、1950年代の朝鮮戦争の空中戦での経験を元にアメリカ空軍の戦闘機パイロット・航空戦術家のジョン・ボイド氏が提唱した「意思決定方法」です。

ジョン・ボイド氏は、「40秒ボイド」という異名を持ち、戦闘機での闘いで40秒あれば、どんな不利な状況からでも有利な状況に転換できたとのことです。

「OODAループ」は、もともと戦場で敵機に囲まれた戦闘機がどのように対応すべきかを考える手法でした。

最近は、それを企業戦略にも有効に活用する動きがでてきています。

「OODAループ」は、予測が付かない情勢に対して効果的な手法と言われています。

下図↓のように、4つのステップがあり、それらをぐるぐる回します。

2.「OODAループ」の4つのステップとは

「OODAループ」の4つのステップとは、「O」Observe(観察)、「O」Orient(状況判断、方向付け)、「D」Decide(意志決定)、「A」Act(実行)です。

私は、この4つのステップに加え、もうひとつ重要なステップとして、「Loop(改善)」を挙げたいと思います。

「PDCAサイクル」でもそうですが、特に「OODAループ」では、この「Loop(改善)」を如何に素早く回すかが変化に対応するために重要になって来ます。

戦闘機を例にとると、
【O:観察】
自分が乗っている戦闘機が複数の敵機に囲まれてしまった場合、自機の位置、態勢、燃料残、味方機の存在や敵機の位置、速度、相対的位置、機種を把握します。

【O:状況判断、方向付け】
 観察の結果を受け、自分の経験や軍隊としてのルールを踏まえ、時機が逃走、攻撃、無視等、どういう反応をすべきかを判断します。

【D:意志決定】
 観察と状況判断を受け、最善策を決定します。この状況では、人に頼ることができず、自ら判断することが要求されます。

【A:実行】
意思決定を受け、即実行に移します。

【Loop:改善】
 実行の結果、当初の状況が変化します。その変化を踏まえ、再度「観察」に入り新たなループを回します。

これらのステップを一瞬のうちに行うのが「OODAループ」の神髄です。

ポイントは、❶臨機応変、❷即断即決、❸状況のUpdateの3つです。


3.「OODAループ」思考が使用されている事例

3-1)グーグルマップ

グーグルマップが、まさしくこのような考えに沿った判断をしているのではないかと思います。

目的地を設定し、しばらく走ると、【O:観察】渋滞や事故が起きていることを認識します。

その際、【O:状況判断、方向付け】観察の結果を受け、最適なう回路が何かを判断します。

状況判断をした上で【D:意志決定】最も早く到着するう回路を決定し表示します。

【A:実行】決定したう回路に従い進行方向を変更します。

【Loop:改善】う回路に回ってしばらく経つとそのう回路に車がなだれ込んで来ました。そこからまた、観察が始まるという具合です。

3-2)EUの電力対策

私は、近年のEUの電力対策(脱炭素化)ほど、「OODAループ」思考に従って行われているものはないのではと考えています。

まず、日本の電力対策は、欧米を中心に再生可能エネルギーへの変換が行われている中、どうも国内事情を優先しているのか、化石燃料(石油、石炭等)から再生可能エネルギーへの転換がなかなか進んでいません

それに加えて、原子力の再稼働が進まず、電力の未来展望を明確にできないまま、脱炭素対策が世界から遅れを取っているのが現状です。

一方、EUは、カーボンニュートラルの早期達成に向けて、各国が独自に脱化石燃料を推進して来ました。

例えばフランスは、原子力と再生可能エネルギー、ドイツとイタリアは、再生可能エネルギーと天然ガスにシフトという具合です。

そこで、EUは、原子力と天然ガスは持続可能なエネルギーと宣言し、EUに有利な展開になるように世界に向けて方針を打ち出しました

今度は、ロシアからの天然ガス供給が止まるリスクに対しては、短期と中長期に切り分ける戦略を打ち出し、短期的には石炭を利用するが、中長期的には石炭を全廃するとの方針を明示している。

EUの加盟国は現在27カ国あるにも関わらず、国際情勢と各国の事情や状況を受け【O:観察】、EUとして、現時点でどう動くべきかを調整し素早く判断しています【O:状況判断、方向付け】

そしてEUとしての方針を打ち出し【D:意思決定】、それに向かってすぐに対応する【A:実行】

さらには、国際情勢の変化に即応して、【Loop:改善】のための新たな【O:観察】を開始するという具合です。

これと比較すると、日本は一国だけの判断で動けるはずのに、なんと対応が遅いことかと愕然としてしまいます。

今度のG7は、脱石炭を2030年にするのか(ドイツ案)、2030年代にするのか(アメリカ案)議論しようとしているのに、日本は、未だに脱石炭に反対?の立場で臨むようですが、どうなることやら。。。。😢

3-3)国の政策運営はOODAループなのか?それとも。。。

この投稿(↓参照)は、以前のOODAループに関する投稿なのですが、興味がある方は、是非、目を通してみて下さい。

内容の概略ですが、日経新聞が2021年度公表の行政事業レビューシートを調査した結果、終了年度を明記している1405事業中、444事業(約32%)で終了年後の成果目標がなかったとの記事に対して私がコメントを記載しているものです。

皆さまも、すぐに分かると思いますが、この事実は、「PDCAサイクル」的には、ありえないことです

何しろ、目標がないのですから、計画なんか立てられません。

そこで、私が考えたのは、これら行政事業は、予算と権限を省庁の担当部門に与えて、「OODAループ」思考で、しっかり日本の状況を【O:観察】した上、【O:状況判断】し、担当部門で【D:意思決定】し【A:実行】していくということです。

だから、成果目標がなくても、その結果から、状況の変化を捉え、再度、OODAループ思考で、施策を投入していっているのでは。。。?と考えたわけです。

国家がこんなふうに対応していると頼もしいですね(少なくとも私はそう思いたい。。。)。(;^_^A

4.さいごに

本日の投稿では、「OODAループ」の簡単な説明と、事例について紹介しました。

次回投稿の後編では、この「OODAループ」のメリット、デメリットについて考えて行きたいと思います。

これまでの「OODAループ」に関する投稿は、以下のマガジンに保管しています。

現時点で本投稿を含め、14本の投稿がありますので、「OODAループ」に興味を持った方は、是非、覗いてみて下さい


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