マガジンのカバー画像

幻想小説 幻視世界の天使たち(始まりのエピソード)

16
遥かな時を超えて、歴史上の謎の解明に挑む者たちの物語です。物語の主な舞台は現代の日本と中央アジアですが、まずは 千年ほど昔の出来事から始まります。
運営しているクリエイター

#スーパーセル

幻視世界

ミッキー・イナゲヤ

00:00 | 00:00

公開中の動画「古のパワースポット北鎌倉のお寺」のBGMとして使われています。フラメンコギター楽曲の音階や不協和音を用いて深く不思議な世界を表現してみました。

幻想小説 幻視世界の天使たち 第14話

幻想小説 幻視世界の天使たち 第14話

命の恩人?そうかあのスーパーセルが起こった時、父が身を挺して助けたイギリス人の子供はボイドだったのだ。きっとボイドはスーパーセルのことを知っていたのだ。父がユースフに話しかけた。
「本当にあのスーパーセルは大変なものだった。ユースフ、お前は今それを研究しているのだってな」
父がスーパーセルという言葉など知っている訳がないが、まだ自分が若いころ亡くなった父が、ユースフの仕事について話しかけてくるのは

もっとみる
幻想小説 幻視世界の天使たち 第13話

幻想小説 幻視世界の天使たち 第13話

ユースフは話を戻して続けた。
「ピジョンのメールには触れられていなかったが、私が調べた古文書の中には、鏡を見る事によって幻視が始まり、加速させ、また鏡を見ることによって現実に戻るということが書いてあった。何故だかよくわからないのだが、右と左が反対の自分の姿を見ることで、感覚が研ぎ澄まされた脳に何らかの影響があるのかもしれません。ボイドさん、いずれにしても道具立てをそろえて頂き感謝します」
そう言う

もっとみる
幻想小説 幻視世界の天使たち 第8話

幻想小説 幻視世界の天使たち 第8話

ユースフがボイドと約束したスーパーセルの実証実験の日が来た。ユースフの実験室には大型の水槽にテープで目張りをしたいかにも急ごしらえの感のある実験用の透明アクリル製のチューブが備え付けられた。チューブの中には電極がいくつも貼り巡らされており、空気の流れを作るための管が繋げられている。チューブの下部は博多湾を模した小型のジオラマが作られており、その模型の博多湾にはモンゴル帝国軍の高麗船が浮かべられてい

もっとみる
幻想小説 幻視世界の天使たち 第6話

幻想小説 幻視世界の天使たち 第6話

ユースフはボイドの提案を受けてから四週間というもの、大学で講義がある時以外、研究室に来なくなった。その間、彼はウリグシクの地方都市に僅かに残るモンゴル帝国時代の遺跡や資料館を訪れ、ある現象のことが書かれた古文書などが現存していないか捜し歩いた。
ユースフは一つの仮説を持っていた。元寇に於けるモンゴル帝国軍の敗走は何か異次元のものと言っても良いような圧倒的な力を伴った自然現象が起こったためではないか

もっとみる