見出し画像

霹靂一閃ライトニング採点 ~放課後の丸付けを駆逐する~

はじめに

先生方は、放課後にテストの丸付けをしていますか?
ぼくは初任者の頃、夜中にウトウトしながらテストの丸付けをし、よくよだれを垂らしてしまったのを覚えています。ただ、今思えばそれは持続可能な働き方ではなかったと反省しています。翻って、現在のぼくは単元テストはすべて授業時間内に丸付けから返却までを一気にやることができており、その方法を『霹靂一閃ライトニング採点』と名付けました。
今回の記事では、そうしたテスト実施における工夫について紹介します。ぜひ、参考になさってください。

なお、この実践は坂本良晶著『さる先生の 全部やろうはバカやろう』という著書で紹介されている実践をぼくなりにアレンジしたものです。個人の働き方改革において大いに参考になる本ですので、ぜひこちらも参考になさってください。


テスト実施の事前準備

まずは、テスト前に教室環境を整えます。以下、5つのものを準備しましょう。

・長テーブル

採点の時は、長テーブルを用意することをおすすめします。これだと、テストの答え、テスト、記録用紙、PCなどをすべて起きながら流れ作業ができます。後ほど詳しい使い方は説明しますので、ぜひ1台は教室に常備しておいてください。

・分析の視点(掲示用)

テスト後の見直しを子どもたちにやらせる際の視点を、電子黒板に掲示しておきます。子どもたちは、テストが終わったらそれを見てあとの作業工程を確認しながら、各自で動いていきます。以下に、ぼくが提示する例を載せておきます。

テスト分析の視点(掲示用)

・点数の記録用紙(もしくは入力データ)

子どもたちのテストの点数を記録しておきましょう。これは、業者の単元テストを注文している先生は、記録用紙がくっ付いてくるのでそちらを活用しても良いでしょう。もし校務支援ソフトや記録用データがある方は、そちらに直接入力すれば、いちいち紙を見て入力するという作業が無くなるのでより効率化につながると思います。
先生のやりやすい方でいいかと思うので、ぜひご用意ください。

・テストの答え

テストの答えを用意します。業者テストでは1人1枚ずつ用意されていることもありますが、それを配る時間も短縮したいので、子どもたちの動線上に置くか、タブレット端末に送ることをおすすめします。その場合は、答えの用紙を事前に写真に撮っておくといいでしょう。

・自学自習の準備

テストが早めに終わった子は「読書」もしくは「自学自習」としています。ただ、自学自習と言っても、そのまま投げられては子どもたちは何をしていいのか分かりません。なので、いくつか事前にやれることを提示しておく方がいいと思います。例えば「○○ドリルを進める」「タブレットでタイピングの練習」のような感じです。全員ができるわけではないので、やれる人が選択してやれるものを用意してあげましょう。すると、子どもたちは手持ち無沙汰にならずに済みます。

テストのやり方

それでは、実際にこのやり方の導入の仕方を説明します。「これまでのテストのやり方とちがう」と戸惑う子もいるかもしれませんが、それも最初だけです。2~3回目からは、みんな慣れてスムーズに動くようになりますので、心配しないでも大丈夫だと思いますので。

①やり方の確認

まずは、以下のステップでテストを行うことを事前に子どもたちと確認します。

1:テストは、終わったらすぐ先生に持ってくる。
2:テストは右側(もしくは左側)から持ってくる。
3:丸付けされたら、席に戻って自分で分析する(※掲示参照)
4:分析が終わったら、自学または読書
5:10分前には終わり、全体で解答を確認する

②テスト開始(タイマー・電子黒板)

いつものように、用紙を配布して子どもたちはテストを行います。その際、授業終了10前にタイマーが鳴るようセットします。また、事前に用意しておいたテスト後の分析の視点を電子黒板には映しておきます。

③長テーブルで待機

長テーブルは、子どもたちが持って来やすい場所に設置します。教室前面がベターかなと思います。また、子どもたちが歩く導線も意識して、机まわりは少し空間を空けておくのが良いでしょう。
長テーブルには、記録用紙(もしくはPC)、テストの解答を置いておきます。あとは、テストを持ってきた順に流れ作業で丸付けを行います。

テストの時の教室環境(イメージ図)

④採点

教師は、持ってきたテストを右から左に流れ作業的に「丸付け→点数入力→返却」をしていきます。この時、なるべくの時間を短縮したいので、基本的に丸を付けません。間違いに ✔ マークを付けるだけにします。これも、事前に子どもたちに伝えておくといいでしょう。(100点の子は、大きく花丸をしてあげます)

⑤分析の仕方を見てあげる

ぼくの経験上、テスト後半は少し子どもの列が切れるときがあります。この時、余裕があれば子どもたちのテストの見直し(分析)を見てあげます。間違いを直すだけでなく「なぜ間違ったのか」「次はどうしたらよいか」「今の気持ちは」ということが書かれていたら、大いに褒めてあげましょう。
ちなみに、この分析は『けテぶれ』という学習法を参考に子どもたちに声かけをしています。ぜひこちらも参考にされてください。

⑥全体での解答・解説

10分前のタイマーが鳴ったら、テストが途中の子も全員前に持ってこさせ、採点→返却します。5分以内で終わるでしょう。そのあと、全体で特に押さえておきたい問題や、間違いの多かった問題について先生と一緒に確認し、授業終了です。

テストを即返却するメリット

今回の記事で紹介した『霹靂一閃ライトニング採点』を実施すれば、授業時間内にすべてのテストを採点から返却、見直しまで行うことができます。このテスト方法には、2つのメリットがあると考えています。

★即フィードバックで子どもたちの学習を効果的にする

フィードバックは、早いに超したことはないです。テストを即返却された子たちは「よし!やっぱりこれで当たってたぞ。」「今の自分の考え方は、違っていたのか。」といった気付きが生まれやすくなります。例えばこれが翌日であれば、おそらくテスト時にどのように考えて解答していたのかを忘れている子もいるでしょう。即時フィードバックが、子どもたちの学習の効果をより高めてくれるのです。

★働き方改革

「はじめに」で書いたように、ぼくは放課後のテストの丸付けがとてもツラいものになっている時期があり、持続可能な働き方ではなかったと反省しています。しかし、このテスト方法であれば、放課後にこうした採点時間を取る必要がなくなり、業務の効率化や仕事の余白をつくることにつながります。そうした視点から、先生方個人の働き方改革につながるものであると考えています。

さいごに

学校で授業をしている先生方は、各単元ごとのテスト採点は必ずやってくる業務の1つです。それを1クラス30人分やるというのはかなりの業務量なので、苦労されている先生方は多いのではと予想されます。GIGAスクール構想も実現し、今後はテストも紙媒体ではなくWeb上のものが増えてくるはずです。そうすれば、入力と同時に即結果がフィードバックされるという世界戦になるでしょう。事実、そのような仕組みはたくさんあります。
ただ、今の日本の学校の現状としては、まだまだ紙媒体のテストが一般的です。しかし、今回紹介させていただいたような方法で採点から返却までを一気にやってしまえば、子どもたちの学習効果も高められ、先生方の働き方もずいぶんラクになるのではと考えています。ぜひ、何か1つでも参考にしていただき、多忙な先生方の働き方改革を少しでも前に進めてほしいという思いです。

ぼくは、個人的に教員の働き方改革に関する情報を、X(旧Twitter)を中心に各SNSで発信しています。また『定時退勤がちサロン』というオンラインサロンを運営しており、2024年3月現在、150名を超える先生方と一緒に、情報共有や勉強会を行いながら、先生方の働き方改革のサポートをさせていただいています。
こうした活動に興味があれば、ぜひぼくのXアカウントからお声かけいただけたらと思います。よろしくお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?