見出し画像

夏休みの宿題廃止について

ぼくは、夏休みの宿題は「廃止」すべきだと考えています。今回は、そのことを考えてみたいと思います。


夏休みの宿題の弊害

先生方の学校では、夏休みの宿題はありますか?おそらく、99%はあると思います。ただし、それは「必要」だからあるのか「当たり前」だからあるのか、と問い直して欲しいと思っています。

まず、ぼくがこのような提案をした理由は、夏休みの宿題の宿題により、以下のような弊害が生まれているのではないかと考えているからです。

① 教員側の負担が大きい(大量の宿題の処理)
② 保護者の負担軽減(宿題の購入、チェック等)
③ 子どもたちが長期休業中に“しか”できない体験・経験の時間を奪っている

1.現状把握と問題意識

まずは現状を把握しましょう。夏休みの宿題の宿題は、おそらく教師と保護者という両者のマインドが一致しているせいで「あるのが当たり前」のようになっていると考えられます。

教師は「一か月以上勉強させなったら、学力が低下する」問題意識があります。そして保護者は「宿題が無かったらゲーム等の遊びばかりになってしまう」という問題意識があるのです。そのため、夏休み宿題が、ある種肯定的に捉えられているということでしょう。

しかしその結果、長期休業明けに、教師は大量の宿題を処理するという業務が発生し、多忙化に拍車をかけています。また、学習塾に通う子たちへの負担が必要以上に大きくなる可能性もある。さらに保護者は「宿題をさせなきゃ」という気持ちで焦りや怒りを覚える場面が増えることも予想されます。

もちろん、デメリットもいくつか予想されます。先ほど述べた「学力低下」や「子どもたちの生活習慣」に関することは、大きな関心ごとです。では次に、そのことについて述べます。

2.デメリットに対する考察

① 児童生徒の学力低下を招く

一か月以上まったく勉強をしないという状況が好ましくないのは理解します。なので、学校から一律の宿題を購入・配布という形ではなく「各御家庭で、その子にあった教材等を購入し、やらせてあげてください」と周知していく必要があると思います。今は書店でのネットでも、夏休みの教材は溢れています。各御家庭でその子にあった教材を選ばせる方が、より個別最適な学びにもつながると考えます。

②  児童生徒がゲーム等ばかりな生活になってしまう

まず、「宿題があればゲームばかりにならない」という根拠はどこにもありません。それよりも、①のような保護者への周知により「家庭教育力」を高め、家庭で意識してもらう必要があります。実際、家庭での過ごし方については、学校側がとやかく言う立場にはないと考えます。

3.宿題廃止へのプロセス

① 近くの先生へ相談

まずは、上記で述べたような内容をお近くの話しやすい同僚や先生に「こんなこと考えているんですけど」と相談してみましょう。いろんな考えをもつ人がいるので、一律みんなに賛成されるような意見ではないと思います。しかし、こうした考えや教育観を共有する事だけでも大きなステップです。

② 管理職へ相談

次は管理職へ相談に行きます。具体的に、本記事で述べたようなことを資料としてまとめたり、本記事をそのまま見せたりしてもOKです。

③ 保護者へ通知

管理職からOKがでたら、公文を保護者向けに発行してもらいましょう。
下記に、ぼくが作成した例文を載せておきます。

長期休業中の宿題廃止についてのお知らせ

保護者各位
令和〇〇年〇〇月〇〇日
△△△学校
校長 □□□ □□

 初夏の候、保護者の皆様におかれましては、益々ご健康に留意されていることと存じます。日頃から、本校の教育活動に対しまして、格別のご理解とご支援を賜り、心より感謝申し上げます。

 さて、本校では夏休み期間中の宿題について、重要な決定を行いました。従来から、夏休みの宿題は学習の継続という観点から設定されておりましたが、現在の教育環境の変化を鑑み、今年度より夏休みの宿題を原則廃止することと致しました。

 この決定の背景には、子どもたちの心身の健康と学びの質に重点を置く考えがあります。夏休みは、学業から離れ、家族との時間を大切にしたり、自身の興味や才能を探求したりする貴重な機会です。また、近年の教育研究では、子どもたちに自由な時間を持たせることが、創造性や自己解決能力の発達に非常に重要であると指摘されています。
 本校としましては、子どもたち一人一人が自分自身で考え、選択し、行動する力を育むことを重視しています。夏休みの自由な時間を通じて、子どもたちが自己の興味や才能を深め、豊かな経験を積むことを期待しております。

 もちろん、学習に関する自主的な取り組みを希望される場合は、それを妨げるものではございません。ただし、従来通りの学校からの一律・一斉に出される宿題では、お子様の実態に合っていない場合が多々あったように思われます。子どもたちの学力や実態は一人ひとり違います。例えば、学習塾に通われているお子様にとっては、さらに学校からの宿題がプラスされる形なので過重負担になっているという声もあります。また、従来なら夏休みの宿題は1学期までの復習がメインとなっていましたが、実態によって「前学年の復習」や「次学年の予習」がメインとなってくる子どもたちも多くいるのが現状です。なので、ぜひこの機会に、保護者の方と子どもたちとで相談しながら、その子にあった夏休みの宿題や生活の仕方について話し合う機会にしていただければと考えております。その中で、夏休みも継続的に学習に励むという場合においては、書店等でお子様の学力や発達に応じた教材等をご購入され、やらせていただくことの方が、充分教育的な意義があることと考えます。

保護者の皆様におかれましては、この新しい取り組みにご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

夏休みの宿題廃止に伴うお便り(例)

さいごに

これは働き方改革全般に言えることですが、「負け戦であることを覚悟する」「即改革はかなり難しい」ということは押さえておいてください。特に管理職の先生は『責任』を追っている立場の方です。個人の裁量だけで何百名もいる子どもたちの教育について、簡単に決定を下せないのは当たり前の話です。むしろ「いいね、オッケー!」と簡単に言っちゃう校長先生は、ちょっとヤバいかもしれませんw

見通しとしては、最低でも1年はかかると思っています。つまり、今年度提案して、校内でいろいろな意見を汲み上げ、最終的に校長がOKを出せば次年度からは無くしていこう、という流れを想定しています。

ぜひ、本記事を読んで夏休みの宿題の在り方について、今一度考えられて見て下さい。よろしくお願いします(^^♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?