SDGs経営について3(人事戦略)

数回に分けてSDGs経営についてまとめています。今回は、労働人口の減少や雇用の流動化に伴う「優秀な人材の獲得競争」を軸に人事戦略についてまとめてみたいと思います。また、SDGs経営で人事戦略を考える際、ミレニアル世代、Z世代など、企業のステークホルダーの中心になる世代についても考えていきます。

ミレニアル世代
SDGs経営のキーワードになるのが「ミレニアル世代」です。ミレニアル世代とは2000年以降に成人を迎える世代のことです。
誕生:1981年~1995年
年齢:25歳~39歳(2020年時点)
ミレニアル世代は現時点でほぼ社会に出ている年代になります。SDGsの目標設定がされている2030年では35歳~49歳ですので、ビジネスの世界では労働力として大きな存在感を示す年代と言えます。今後の企業にとっては、労働者としても、消費者としても大きな存在を示す世代になります。また、同じように企業の資金を支える投資家、更には事業承継した経営者など、10年後の世界ではビジネスの中心的な世代になると考えられます。
ミレニアル世代の特徴として「多様性=ダイバーシティ」があげられます。経済産業省が2019年12月に公開した「ダイバーシティ2.0 一歩先の競争戦略へ」の中で、ミレニアル世代に対する調査結果が掲載されています。
「多様性、受容性の方針は就職先を決める上で重要か?」
この問いに対して「重要である」との回答は、男性で74%、女性では86%にのぼりました。(出所:PwC ミレニアル世代の女性:新たな時代の人材(2015年))
ダイバーシティとSDGsは共通点があります。例えば、「ゴール5:ジェンダー平等を実現しよう」「ゴール16平和と公正をすべての人に」などはダイバーシティと共通しています。SDGsの活動の中で多様性を認めていくことはミレニアル世代の活躍する世界では必要不可欠だと思います。

Z世代
次に考えなくてはいけないのは「Z世代」です。Z世代は、ミレニアル世代よりも若い世代になります。
誕生:1996年~2012年
年齢:8歳~24歳(2020年時点)
現時点では、社会人よりも学生が多い世代になります。2030年の時点では、18歳~34歳なので、ビジネスでは有望な若手になっています。今後、企業が優秀な若手社員を確保するためにはSDGsの取り組みが必要不可欠になります。なぜならば、Z世代は学校教育でSDGsを学んでいるためです。SDGsを学校教育で当たり前のように理解してきた世代が社会に出てきたとき、企業を選択する基準の1つとしてSDGsの取り組みを確認するはずです。SDGsの活動をしていなければ、人材獲得競争で大きなハンデを背負うことになります。
中学生のお子さんを持つ友人にSDGsの学校教育について確認してもらいました。お子さんの通う中学校では、正規のカリキュラムではありませんが、2時間程度の特別授業があったそうです。サイコロとカードを使ったゲームでSDGsのアクションプランを考えるというものでした。また、その中学校の現生徒会役員は選挙での公約として「SDGsを全校で学ぶこと」を掲げていたと聞きました。この話を聞いて、学生の方がよっぽどSDGsへの理解が進んでいると感じました。今後、更にSDGsの学校教育は整備されていきます。そして、Z世代は「SDGsネイティブ」になっていくはずです。

SDGs経営の人事戦略
今後、労働人口の減少、雇用の流動化などにより、優秀な人材の獲得競争が激しくなると予想しています。その時に、企業はSDGsを経営に取り組み、その考えをステークホルダーに明確に伝えていく必要があります。そうしなければ、ミレニアル世代やZ世代の人材獲得競争で競合に後れをとることになります。
以前、次世代の人事戦略をまとめました。

こちらでも触れていますが、企業はこれまで以上に、こだわり抜いた経営理念や経営方針、経営目標を従業員に示していく必要があると思います。多様な価値観を結びつけるのは「共感」です。そこにSDGsという「共通言語」を用い、「共感」に繋がるような「場」を「意図的に創り出す」ことが、次世代の人事戦略として必要だと考えます。

今回はSDGs経営の「人事戦略」についてまとめてみました。次回はSDGs経営シリーズのラストとして、実際の進め方についてもまとめてみたいと思います。

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