【台湾一周10】テントで初夢、臭ぃ豆腐
宿の屋上からの眺め。今夜はここで寝ることになった。
昨日、一昨日の峠越えで太腿がスケートの清水宏保(長野五輪金)みたいにパンパンになっていて、全身も気怠。
ここまで走行距離約800km。思ったよりもいいペースなので、1日休息を取ることにした。
今日は台湾の元旦。
宿のオーナーに相談したら、故郷『玉里』に帰ってくる人がワンサカなので、部屋はいっぱいとのことだが、屋上でいいならにテントを張ってくれるという。図らずも、無用の長物だった寝袋が活躍する時がきた。
朝食は昨日タッチの差で入店できなかった店へ。
朝から混んでたが、昼頃には長蛇の列だったので、地元でも人気店のようだ。朝来たのは正解だった。
今回は汁なし。
そもそも熱湯のスープは汗だくになる。どうりでみんな汁なしを頼んでいるわけだ。
味も汁なしの方が好み。
台湾の麺はボソボソしているものが多い印象だが、この玉里麺は昨日同様、麺も腰があって、しっかりしている。これで200円しないわけで、日本で出したらタピオカドリンクより、バカ売れするだろう。
元旦は台湾でもやっぱり初詣。お札みたいのをもらう長蛇の列。
右側に急ごしらえの煙突が見える。下で何か燃やしているよう。
近づいていくとお札の束が、猛烈な勢いで吸い込まれていた。
燃やすことで祈りが天に昇っていくのかな。
こちらの寺は派手で、景気がいい。比べると日本の寺は、色使いも淡白で地味。そっちの方が好みだけど。この辺の違いが爆竹とか鳴らしちゃう気質の違いになっているのかな。
宿のバースペース。
ほぼ毎日夜中まで営業しているので、オーナーたちの朝は遅い。今夜はここで故郷に帰ってきた人たちが集まるのだろう。
宿で起きているのは、15歳のDIDOさんくらい。駆け寄ってきてくれたりするのだが、オーナー2人以外は触ってはダメらしい。咬むんだそうだ。大人しそうに見えるけど。
時間もあるので宿のオーナーに勧められた自転車道に行ってみた。
右が、フィリピン海プレート。
左が、ユーラシアプレート。
玉里のある街側。つまり私が台東から走ってきた東海岸は、元々フィリピン海プレートで、台湾島と離れていたというわけだ。
確かに地図で見ると、右側の白く囲った細長い部分は、取れそうな感じがする。
今いるのが、赤ポチ。
左側は元々はユーラシアだった。そこにフィリピン海プレートがぶつかり、地面が強烈に隆起して、富士山より高い3952mを誇る玉山はじめ、3000m以上の山が200座以上という険しい山脈が生まれたのだ。
地震や温泉が多いのも、そのせいなのだろう。
ちなみに日本には3000m以上の山は21座しかない。広さが九州くらいの台湾に、いかに高い山が密集しているのかがわかる。
この話は、台南の宿のオーナーにもチラッと聞いたのだが、その狭間を玉里で見られるとは思ってもみなかった。
この自転車道を突き進んだ先は温泉街。日本の有名な加賀屋の温泉宿もある。
道沿いに無料の足湯があったので、入らせてもらった。
と思いきや、あまりの熱さで誰も入れない。うめる水もない。じっと冷めるのを待つしかない。無料だから仕方ないか。結局足の裏を少し浸しては「熱い!」とか言って終わった。
大晦日よりも、やっぱり元旦の方が街は活気がある。店もたくさん開いている。
道端で普通に花火に興じていたり、どこかでロケット花火が打ち上げられていたり。
いろんな空に打ち上げ花火があがっている。花火師の免許とかいらないんだろうな。
元旦、最初の夕食はここ。
『臭豆腐』の人気店。整理券を配るほどの大行列。
フェイ・ウォンが昼に食べてきたそうで、「やっているから行ってきたら!」と勧められた。
「揚げただけのとスープの2種類があるから、どっちも食べてみて。スープはちょっと辛いかもしれないけど」とのことだ。
そもそも『臭豆腐』というネーミングはすごい。まずい○○みたいのは一時流行ったが、なんか「臭い」って汚そうだから、日本では厳しいだろう。
うんこドリルはヒットしても、うんこバナナはまず売れないだろうし。
揚げられる豆腐を見ながら、行列に並ぶ。
揚げただけの臭豆腐。客の99.9%がこちらを食べていた。
豆腐は外側がかなりかっちり揚っている。
臭いはどうだろう。さほど臭くない。
葉っぱは香草かな。ちょっとクセになる味だが、そもそも私はそんなに豆腐が好きじゃなかった。
0.1%が食べるスープバージョン。
ちょっと辛いのだが、その前に豆腐が異常に熱い。鍋でも豆腐っていつまでたっても熱いけど、これも全然冷めない。
玉里麺同様、台湾でスープは要注意だ。
宿に帰ってくると、少しずつ人が増えていた。
バーではオーナーが腕を振るって料理を用意している。
ただ明日は朝から走る。寝よう。
屋上のテントへ向かおうとすると、フェイ・ウォンに呼び止められた。
「屋上に明かりを2つ、つけておいたわ。足りなかったら言ってね」
昼間とはうってかわって、濃い目のメイク。フェイ・ウォン感がさらに増している。
ドキッとしながら、「あ、ありがとう」
テントに潜り込む。花火がなり続けている。大通り沿いなので、車の爆音が響く。
けれど、知らぬ間に寝ていた。
2時間くらいたっていただろうか。スマホにメッセージが。
「あなたの靴の上に、耳栓を買って置いておいたから、よかったら使って」
フェイ・ウォンからだ。
テントから顔を出し、靴を見ると、確かに黄色い耳栓が二つ。
「ありがとう。今、受け取りました」
「よかった。それじゃおやすみなさい。いい夢を」
今夜は、いい初夢を見られそうだ。
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