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自転車四国一周⑤ウミガメと厄除けの徳島・日和佐

3時起床。夜明け前の公園から海が見える。昨晩は、虫はうるさいし、湿気はひどいしで寝苦しかった。体力が全然回復しない。テント泊はもうやめよう。

ヘッドライトを頼りに、テントをパッキングして、4時出発。朝は涼しい。コンビニでおにぎりとチキンバーの朝食。

さよなら香川。

日の出とともに徳島に入った。

ブルーラインも早くも3県目。ただ徳島、高知が大きいので、ここからが本番とも言える。

鳴門公園を目指すが、坂がきついきつい。とてもギア1枚では登りきれず、何度も自転車を押して歩く。
あまりのきつさに、旅のモチベーションがぐっとさがりはじめる。
四国一周することだけが目的なのか。初めて訪れるエリアを味わうことはできるのか。ただ走るだけ、食事は基本コンビニでは、あまりに味気ない。
きつい坂をギア1枚だけで登りながら、悶々としはじめる。

徳島市に入ったあたりで、愛媛で暮らす先輩からメッセージが。
「日和佐は、ウミガメが上陸する町で有名。今、産卵のピークだから見られるかもよ」

徳島市からだと50キロほどで、今日の走行距離が80キロ程度になってしまう。
当初は150キロペースで走る予定だったけど、ギア1枚という利き腕をもがれたような悪条件では、ペースダウンした方がいい気もする。ふくらはぎもピクついているし、それこそ肉離れにでもなったら、走れなくなってしまう。

1日100キロ前後くらいにペースダウンして、10日くらいでゴールを目指そうと予定を変更することにした。空港に預けた輪行バッグは先輩がなんとかしてくれるというし。

計画にゆとりができた途端、旅を楽しむ心の余裕が出てきた。

徳島はサイクル王国と言われるだけあって、自転車がたくさん。歩道も広く、走りやすい。さらにはチャリ用のブルーラインに加えて、お遍路さんたちを守るグリーンラインなるものまで引かれている。素晴らしい!

あれよあれよと走り続けて、15時頃に美波町(旧・日和佐町)にやってきた。

太平洋沿いの小さな町。
過疎地域であることを逆手に取った「にぎやかそ」のスローガンで町一体となって盛り上げようとしているらしい。

宿は、築101年の古民家をリノベした「お宿日和佐」。
「暑いですねー」と現れた店主はかつて東京にも住んでいて、な、な、なんと私の現在の東京の住まいと10メートルほどしか離れていない場所にも住んでいたそうだ。こんなことってあるの!とお互いびっくりした。偶然とは面白い。

シャワーを浴びて、洗濯をして、乾燥機にかけて、町にくり出してみる。

先輩が教えてくれた薬王寺に足を伸ばしてみた。
四国八十八箇所の霊場の一つで、厄除けで全国的に有名だそうだ。
お遍路の方々の姿も見かける。

かなり大きなお寺で、階段も急。シャワーを浴びたのに、汗だくになってしまった。ご高齢のお遍路さんたちにはきついだろう。

3本50円のお線香で厄除け。
いいことあるといいな。違うか。悪いこと起きないといいな。

その後は、日和佐うみがめ博物館カレッタへ。
ここが想像以上のクオリティ!
世界中のウミガメの剥製をはじめ、めちゃくちゃたくさんの亀がいて驚いた。

屋外の水槽には、1メートルを超える巨大なウミガメが何頭もいた。

この写真のウミガメは、70歳を超えるそうで、世界記録だそうだ。

10年以上前だが、NHKの朝の連ドラの「ウェルかめ」の舞台にもなったそうで、完全に亀が町おこしに一役買っている。

ウミガメの上陸、産卵は見られなかったが、亀の生態をいろいろ知ることができて面白かった。

夜は、宿ですすめられたひわさ食堂で、お刺身と阿波尾鶏の唐揚げ。

そのあと町を散歩。
小ぶりなお城は、日和佐城かな。

駅前で子供が豪快に壁相手に豪速球を投げ続けていた。
つぶれかけたお店や廃屋がいくつもあったし、営業しているのかよくわからないスナックがいくつもあった。かつてはお客であふれていたのかな。

ただ、宿と同じように古民家をリノベしたカフェなどがいくつもあり、落ち着いた町並みがいい感じに現代風にアレンジされている。
あまりに眠くて早々に宿に帰ったが、バーなんかもあって、夜はまた違う表情があるのかもしれない。

道端ですれちがうと挨拶をしてくれる中高生。
移動駄菓子屋さんに群がる子供たち。
なんとも居心地のいい町だった。

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