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震災10年チャリ縦断旅⑥野蒜海岸のカタツムリ岩

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網地島の西部、宿の目の前にある網地浜は、遠浅でエメラルドグリーンに輝く海の透明度は東北有数を誇る。東北のハワイとも言われる。

波の音しか聞こえない。穏やかだ。ただそう見えるのは素人だけ。

朝食を食べていると梅田さんの携帯が鳴る。今日作業を手伝ってくださる鮎川に住む方からで、どうやらフェリーが出ないかもしれないという。

明日は東日本全体が激しい雨という予報。だが、凪に見える今日の海も場所によっては荒れそうだという。フェリーがでなければ、石巻には帰れない。予定を大きく変えなければならない。

「これが島の生活よ。予定通りなんていかないからね」

とは宿のお母さん。そんな話をしていたら、雨もパラついてきた。

島で生きるには、そうそう変更できない予定を入れてはいけないのだろう。

フェリーが出なければ延泊するだけだという大らかな気持ちで、梅田さんの作業を見にいく。

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島の中央を走る一本道を5kmほど進むと、網地港と反対側の長渡港に着く。こちらの方が集落としては大きい。

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さらに進むと、島の突端のドワメキ崎に辿り着く。ここからは道が悪いので自転車を置いていく。

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灯台。

夜になるとなかなかの光量で海を照らし続けるそうだ。

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その近くで、小さな古墳のように盛り上がっているところが。

なんとこれが梅田さんの作品だった。異様に馴染んでいてわからなかった。

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海側に回ると、穴があり、出入りできる。

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その中には、音の反響を生むために島のイシドの浜から集めた石が積まれている。

リボーンアートフェスティバル2019のコメントを抜粋する。

本作はピンホールと水琴窟の原理を用いた音と視覚のインスタレーションです。「穴を掘ることがまずひとつあって、その穴に人が入ることがまたひとつ。穴の上はこんもりとした小さな山で、人はここに立つことができるというのもまたひとつ。入る前と出た後とでちょっとだけ違ってみえる景色があれば、それが穴というものの正体なんだとおもいます」

すごい。こんなものを作ってしまうとは。

以前は周りの木々が邪魔で視界が悪かったという。車の上に登って周りを見渡すと素晴らしい景色が広がっていた。この景色を共有できるようなものをつくろうと考えたそうだ。

小山に登ってみると、その言葉通り素晴らしい景色が広がっていた。

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当初は周りの断崖のような岩が出るまで穴を掘ってみたそうだ。でも岩は出てこず、土ばかり。それで小山をつくる案に変更したという。

自然を相手にすれば、ある意味で計画の変更は必然であり、だからこそ唯一無二の存在になるのだと思った。

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オススメの岩場までおりてみた。なかなか激しい波。

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よく見ると海に向かって立つ像の姿が。どうやってあんなところにつくったのだろう。

梅田さんの作品は順調なら来年4月頃には完成するそう。再訪する理由ができた。

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汐亭のお母さんが握ってくれたおにぎりをパクつきながら、島の楽校にも立ち寄ってみた。

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島の生活を知らない都会の子供たちを呼んで、キャンプなんかするそうだ。

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イシドの浜にも寄ってみた。

堤防もなく、清々しい。

横になると玉砂利のマッサージ効果が気持ちいい。しばし寝てしまった。

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自然が作り出すものは美しい。

満潮になると玉砂利の方まで波がきて、コロコロと音がするという。ぜひ聴いてみたい。

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猫にご飯をあげる船員さんたち。ある意味飼い猫だ。

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さよなら網地島。

フェリーが出てくれてよかった。

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石巻に帰ってきた。

日本製紙の工場も元気にモクモクしている。

さて、すでに2時半。塩釜の宿に着くのは、5時を過ぎるだろう。おそらく真っ暗だ。急ごう。

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といいつつも、ブルーインパルスのいる東松島の自衛隊のとこに寄ったり。

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野蒜に寄ったり。

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わずかに残った野蒜海岸の防潮林。

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以前のような姿になるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

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津波がすべてを飲み込んだ海岸で佇むカタツムリ岩。

被害の大きさを感じる一方で、なんかトトロみたいで可愛かった。自然が作り出す美しさ。

人間の業の深さを感じる。

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野蒜駅は震災遺構となっていた。

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松島あたりはかなりの交通量だったが、時折あるトンネルでは自転車(と歩行者)用の道があり、ちょっと怖い雰囲気だが助かった。

塩釜はかなり栄えた街だった。仙台まで車で10分ほどという。

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悪名高き激安ホテル。

温水と冷水を2分ごとに繰り返すシャワー。独特なインテリア。4階なのに、部屋番号は 311。元は雀荘だったとか。

しかし安い。常連になれば、2000円台という話も。

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近くの居酒屋さんで夕食。

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カツオの分厚さに度肝を抜かれた。味ももちろん美味しかった。

明日は東北一帯激しい雷雨とのこと。無事福島に入れるだろうか。

建物が奇妙だから、夜中の地震も怖かった。

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