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自分の目で見る

世界に日本以外の国があることを意識したのは、小学校低学年の頃だった。

どんな経緯だったのかは忘れてしまったけれども、カンボジアの子供たちに文房具を送ろうという呼びかけがあった。
その時に初めて、海のもっと先に、日本とは違う、カンボジアという国があることを知った。

小・中学生の頃は、友達が「家族とハワイに行ってきたよ〜」なんて言うのをいいなあと思っていた。
「したら遠い将来になら海外に行けるかもしれない」という淡い希望を持っていた。

そんなわたしの将来が変わったのは、中学3年生のあと2ヶ月で高校生になれるという時期のこと。
ふとつけていたテレビで特集を組まれていた国際移住機関という機関の人の話。
そこで、世界に難民と呼ばれる人がいると知った。

わたしは、日本で安全に暮らせて高校にも行けるのに、なぜテレビで映った難民の人はそうでないの?と疑問を持った。
そこからわたしの行動が変わった。

国際協力について調べるようになった。
NGOの勉強会に参加した。
大学も国際関係について学べる学部に入り、国際機関で働いた経験がある教授のゼミに入った。
学外でも、国際協力の学生団体に所属した。

「世界の教育の問題をどうにかしたい」「世界がもっと平和になったらいいのに」

大きなことを言っていたと思う。
それでも、わたしは大学2年生の終わりまで海外に出たことはなかった。

そんなわたしにチャンスがやってきた。
あるプログラムで海外に行けるチャンスをいただいたのだ。

行き先は「ラオス」

「ラオスに行くことになった」というと、「どこ?」と言われることの方が多かった。

それでもわたしにとってラオスという国は繋がりがあった。

所属していた学生団体で支援していた国がラオスだったのだ。

これは運命だと感じながら、渡航の準備をしながら、ガイドブックやSNSでラオスについて調べた。

しかし、どんなにその国に「行きたい」と思っていても、「行きたい」という気持ちだけでは、あくまでもイメージ、想像の中の世界でしかない。自分の知っていることの中でしか想像はできない。

ガイドブックやSNSで情報や写真を得ていても、それは、誰か他の人や、何か別のものを通して知った知識でしかないのだ。

そして赤いパスポートを持って、2016年2月に日本を飛び出た。


なにを聞かれるのだろう、とドキドキした入国審査。

空港を出た瞬間に感じた生ぬるい風。

日本とはどこか違う匂い。

見慣れない文字の看板。

初めて食べるシンダート。

鶏の鳴き声で目覚める朝。

屋台のマンゴージュースのおいしさ。

トゥクトゥクに乗って風を感じた。

開放的なトイレ。

いまだに地雷が埋まっているという地域。

命をいただくということを肌で感じた豚の屠殺。

2週間の滞在の後、帰国する寂しさ。


何もかもが新鮮で、ラオスにはこんなにも知らない価値観や文化が溢れているのか、と驚きでいっぱいだった。
ガイドブックじゃ、SNSじゃ、わからないものばかりだった。
事前に得た知識以上のことを全身で感じることができた。

だから、このラオスに行ってから、より一層わたしは、「自分の目で見る」ことを大切にしたいと思った。


ラオス渡航の後に、中国、ルワンダ、タイを訪れた。

中国では現地の大学生と交流も行い、中国の発展を肌で感じた。豪華なホテルの裏には、住宅街が広がっていて、その差に驚いた。四川で麻婆豆腐を食べた時は、辛くて自然に涙が出てきた。何かを食べて涙が出てくるなんて初めての経験だった。

ルワンダでは、学生会議を行い、アマホロ(キニャルワンダ語で平和という意味)について考えた。現地の大学生の自宅に泊まり、少しだけれども現地のリアルな生活を体験した。

タイでは、遺跡の美しさと荘厳さ、発展している様子を肌で感じた。船に乗り、チャオプラヤー川を移動した時、川の色にびっくりしつつも、風が気持ちよかった。


どれも、言葉では分かるけれども、100%は伝わらない。

実際に現地に足を運んだから、感じることができたものだ。

同じものを見ても、何を感じるか、何を考えるかは、人によって違う。

その違いを大切にしていきたい。


「国際協力に携わる」と大きな声で言っていたわたしは、今社会人2年目になった。教育に関わる企業で働いている。

決して国際協力に関わることを諦めたわけではない。

今後、何らかの形で関わっていきたいと考えている。

そんな普通の社会人2年目のわたしができることが、旅をすることだ。

小さいことだけれども。様々な価値観に触れ、それらを大切にできる人でありたい。まずは、わたし自身がそんな人であろう。


これからもわたしは、自分の目で見て、自分が感じたこと、考えたことを大切にしていきたい。


だからわたしは、航空券を取り、パスポートを持って、旅に出る、

「自分の目で見るために」。



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