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東京嫌い(週報_2020_10_22)

白々しいのは嫌だから先に言うけど告知です。
このたび、ふみぐら社さんからのお誘いを受けまして、note同人誌『東京嫌い』にいつもの感じの私小説を1本、寄稿しました。

今夜の1作目の投稿を皮切りに、21夜連続で、21名の『東京嫌い』をテーマにした作品が展開されます。

各参加者の作品投稿順は公表しないため、私の作品がいつアップされるかは発表できないんですが、公開時には告知しますし、無料公開部分もかなり長めに設定するので、それから買ってくださってもかまいません(なんか偉そうになっちゃった、良かったら買ってください……おたのもうします……)

ただ、どのタイミングで購入しても300円の買い切りシステムなので、早めに購入してまだかなまだかなって待っていただくと、より楽しいんじゃないかなって。
しかし、私のために買ってよ、って言い切るの、すごい度胸がいる。
告知、向いてない。



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なんでそんな向いてない告知をしているかというと、ほかでもないふみぐら社さんからのお誘いだったから。

ふみぐらさんは私がnoteを始めた初期の頃から読んでくださっている方で、ときどきツイートで記事を紹介してくれていたんですが、その際の引用部分がいつも私の意図を的確に汲んでくださっていて、私が本心から信頼を寄せている方です。

私が書いた最初で最後の新人賞投稿作を、赤入れしてくれたハネサエ.さん(これも初めて公表した。私なんかに信用されてるって迷惑にしかならないと思って)以外に読んでいただいた唯一の人物というくらい、信頼しています。

前回のnoteに記したとおり、私はもう書く理由も気力も失っており、アカウント消去は自意識過剰すぎて気持ち悪いな、という首の皮1枚でぷらぷらとぶら下がっている状態です。
私なんてわざわざ消えなくたって、つまんなければ自然に淘汰され消えていくのだから。
ふみぐらさんも薄々その状況は察していての、依頼。

ずるいんですよ、彗星読書倶楽部の彗星さんの「下瀬さんの文章が載る、最初の紙媒体となりたい」もそうだけど、言葉を扱う男たちは本当に口説くのが巧い。

でもなんて口説かれたかは黙っておくね、ふみぐらさんが落とした相手は他にも何人かいて、その人たちと痴話げんかしてもしょうがないから。
でもきっと、私の前でだけは、私を一番必要としてるって言ってくれると信じてる。
なんちゃって。


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『東京嫌い』については特に煮詰まることもなく、書く内容はすぐに決まりました。
それはきっと私が『東京』についてなんの思い入れもないからでしょう。
だって街って、どこも同じ、ただの容れ物じゃないですか。

何ヶ月も書かずにいた腕はすっかり錆びついていて、いちいち書き始めるのが億劫で、安請け合いした自分を何度呪ったか。
とにかく、面倒くさかった。
私の中には一片も書きたいという気持ちが残っていないことを思い知りました。
ただ、不義理なことはしたくない、という気持ちだけに囚われて、悪質な締め切り破り(人を待たせておきながら遊びに行ったり、待たせている人よりたくさん寝たり)を繰り返し(自己矛盾)、なんとか書き上げました。

誠実であろうとすることを手放さないと、私はどんどん生きるのが苦しくなるだろうな。
新宿発の始発に揺られながら私が思ったことです。
そして多分「もう書きたくないんだ」という言動をすることで私はいなくなったある人に対しての誠実さを果たそうとしているのだと思います。

私の初稿が上がってやっと、note同人誌『東京嫌い』の始動が発表されました。
どのくらい反響があるものかとTwitterを検索していて、気付いたことがあります。

私たちとは無関係の世界に「東京嫌い」という言葉が、ぽつりぽつりと呟かれていること。
それは本当に東京の雑踏の中からため息とともに吐き出された言葉かもしれないし、片田舎の畦道から絞り出されたやるせなさかもしれない。
東京なんて、ただの容れ物のはずなのに。

『東京嫌い』と呟いた人たちはきっと、その対角線上にある『好き』を持ち合わせていない。
そんなことを論じているあいだにも、ひとつ、ふたつと綴られる『東京嫌い』の文字。
この街にそんな引力はないんだよ。
そう自分に言い聞かせるように今回の原稿を書きました。

*****



note同人誌、って聞き慣れない言葉だけれど、メンバー全員の連絡板でのはじめまして的なやりとりとか、そのうちで仲の良い人たちだけのDMグループとかで「書けた」だの「書けない」だのやってるのが、一番同人誌っぽいな、と思いました。

私もおそるおそる、みんなに「なんで引き受けたんだよ」ってマジギレされない程度の「書きたくない」を吐き出しました。
本当はその100倍書きたくなかった。
うまく擬態したのでまだ嫌われてないと信じたい。

もし次があってもテーマが『東京』じゃなかったら、ううん、それ以前に締め切りも文字数もなにひとつ守れない私は誘われやしないと思うので、記念だと思って買ってやってくださいな。


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『東京嫌い』

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