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誰も知らない  (ネタバレ注意)

観ました。(Netflix配信)

是枝作品なのでずっと観たかったのです。予想通り、作品としての素晴らしさと、実話が元となっていることの虚しさ、悲しさを強く感じました。

巣鴨で起きた事件がモチーフらしいです。今回二つの作品を思い出しました。「火垂るの墓」と「子宮に沈める」です。後者も実際に起きたネグレクト事件が元になっています。悲惨な作品です。前者は、戦争という大きな出来事が背景ですので、虐待問題とは違うのですが、<子供という無垢で無知な存在>という点で<せいたさんとせつこちゃん>が脳裏に浮かびました。

鬼の顔した鬼、と、優しいママの顔をした鬼。どちらが良いですか。YOUさんの演技力が光った母親は、優しく友達のようなお母さんです。そんな母親もまた、ある意味、幼く純粋で、無知なのです。
男性と我が子。どちらを選ぶか。我が子。即答です。作中の男性陣は、ご⚪︎のような人物に写ります。そのような男性との出会い、別れを繰り返し、我が子はいないものとして生きていける女性について、理解はできません。

さて。柳楽優弥さんのデビュー作と思います。演技とは思えない心に抱えた闇を切長の賢い瞳で表現されています。素晴らしかったです。同時に是枝監督は、子役の子にはセリフを覚えさせるというより、その場その場で状況を語りかけ、潜在的な心の動きや表情を、カメラで逃さず写す、と(いうようなインタビューを)伺いました。ですから、幼い4歳5歳くらいの子役が、わざとらしい演じ方ではなく、現実なんじゃないか、と錯覚するような感じなのですね。まさに「切り取り」の高度な技です。

こういう悲惨な子供らを救えるのは社会なのでしょうか。難しいけれど、そのような母親を作らない社会が理想です。

無駄な模写は、是枝作品には存在しないイメージがあります。全てのシーンは最低限必要な映像とセリフだけ。ちなみに同監督の作品、いくつか観ていますが、「そして父になる」も好きです。(重たい作品ですけど)

ブレイク前の加瀬亮さんも出ていらっしゃいました。
機会があれば是非観てほしい作品です。 



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