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なぜWebの文章は「改行・空白行」が多いと読みやすいとされているのか?

空白について書いた過去記事に、たくさんのスキ、コメントをいただき、ありがとうございました!
今年一番スキをいただいた記事です。

▼「なぜWebの文章は空白が多いのに、紙の文章は空白が少ないのか?」(2022年3月公開)

現在に至るまでお問い合わせをいただくことが多いので、今回、いただいたお問い合わせにお答えします。

なぜWebの文章は空白が多いと読みやすいとされているのか?

読みやすいと感じるかどうかには個人差があります。

一般的には、世界規模の情報工学の調査により「空白が多いと読みやすい」ことが明らかになっています。

詳しく解説していきましょう。

■ この記事を書いている人
Webコンサルタントで、大学の非常勤講師。
大学ではWebライティングの講義を受け持っています。

プロフィール(2023年2月更新)


0. この記事の信頼性

世界的に最も著名な調査会社の一つ、ニールセン・ノーマン・グループが行った13年間にわたる3つの大規模な研究の2019年改訂版(最新)を参考にしています。

500人以上の参加者と750時間以上のテストセッション時間を含む調査。
人がWeb上で文章を読むときの視線の動きを計測した(アイトラッキング)調査をまとめたデータです。

参考:Kate Moran and Feifei Liu"How People Read Online - The Eyetracking Evidence(2nd Edition)"

このデータ(PDFデータ。動画ファイル含む)は日本円にして約15,000円です。
訳したところ、日本語の文字数にして約17万文字になりました。

かなり大変でした。

「空白」に関する事柄についてだけ2000文字程度でまとめましたので、気になる方はぜひ最後まで見ていってください。

※自分で購入しています。
※掲載の許可をいただいています。

この記事を引用される場合は、「片桐光知子」提供のものとわかるようにリンクしてください。

1. 個人差がある

まず、個人差について。
空白が多いと読みやすい人、空白が多いと読みにくい人がいます。

読みにくい人は少数派なので、先に読みにくい人の特徴を私の経験から述べましょう。
(調査結果では、「個人差がある」と記されています)。

空白が多いと読みにくい人は、小説家など文章のプロフェッショナルです。
文章を書くことがうまい人です。
読書が好きで紙媒体の文章に慣れています

例えば、知り合いの小説家とのメールのやりとりを紹介しましょう。

のり弁(のりが敷き詰められているお弁当)のように長方形の文章の塊が届きます。
横の文字数が同じで、ぴったりそろっています。

可愛い(笑)

プロ、紙媒体に親しみのある人は空白が多いと読みにくいと感じるようです。

では、空白が多いと読みやすいと感じる一般的なユーザについて見ていきましょう。

2. 効率的に情報を手に入れたい

人はWeb上で、読むよりスキャンするように見ています。
文章を完全に読んだり、順番に読んだりすることはほとんどありません。

1. 大きな文章の塊は読み飛ばす

あるユーザは、Webサイト(NBCスポーツ)の記事を念入りに直線的に読み始めました。

視線はたいていの場合、順番が入り乱れ、直線的に読んでもらえることはほとんどありません。
直線的に読まれることは、相当興味があるか、読む必要性が高いことを意味します。

読み進めて、大きなブロック状の文章の壁を一度凝視すると(1枚目の画像)、すぐに次の段落にスキップしました(2枚目の画像)。

Kate Moran and Feifei Liu "How People Read Online - The Eyetracking Evidence(2nd Edition)"  P.33 On this NBC Sports article, the participant only had to fixate once on the wall-of-text pull quote before deciding it wasn’t worth reading.
Kate Moran and Feifei Liu "How People Read Online - The Eyetracking Evidence(2nd Edition)"  P.33 He immediately skipped past the huge block of text.

一瞬で読む価値がないと判断したのです。

ユーザは、どの部分を読むか、どの部分をざっと読むか、どの部分を完全に無視するかを素早く決めています。

興味を持って読むユーザでさえ、文章の塊には耐えられません。

2. できるだけ読まずに情報を手に入れる

ほとんどの場合、ユーザはWebページをすべて読まなくても目的を達成できることを知っています。

  • 人々がWeb上で行う主な行動は読書。

  • 人々はWeb上でできるだけ読まないようにしている。

一見矛盾するようですが、人々は画像や動画を補助的に見ており、主に見ているのは文字の部分です。

ユーザは読みますが、極力読むことに時間をかけたくないので、できるだけ読まないで情報を手に入れようとします。

3. Webの文章のルール

国語の教科書では、紙媒体で読まれる文章の書き方を学びます。

紙の文章のルール
・意味の塊ごとに段落を作る。
・段落の最初は字下げする。
・段落の終わりは改行する。

Webの文章にはWebの文章のルールがあります。

多くの人が書く実用的な文章について、個人がWeb記事で情報発信する場合の書き方をまとめたのが、冒頭に紹介した過去記事です。

概要だけさらっと書いておきます。

Webの文章のルール

  1. 字下げしない。

  2. スマートフォンで見て3行〜5行になる場合は空白行を入れる。

  3. すべての文を改行する。

  4. 意味の塊ごとに見出しを入れる。

▼詳細について、よろしければぜひ過去記事をチェックしてみてください。

3. Webの文章と紙の文章を書き分ける

それでは、まとめましょう。

一般的なユーザは、空白が多いWebの文章を読みやすいと感じています。
※例外あり。

Webで書くときはWebの文章のルールで書くとよいでしょう。
せっかく書いた文章を読んでもらえないともったいないからです。

文章と一口に言っても、メールの文章、Twitterの文章でも異なります。
いまは中2でメールの文章の書き方を習います。

それぞれに最も合う書き方になるよう、書き分けましょう。

4. お願い

最後にお願いがあります。

この記事は私なりに時間をかけて精一杯書いたものです。
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私は他の人のnoteをよく読みます。
新しい世界を知ることができるからです。
感動したときには「スキ」しています。

そのとき心の中で思っていること。

私はあなたの文章が大好きです

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

2022年3月、私が3年間大学で講義したレジュメをもとに、10代から大人まで幅広く学べるようにまとめた書籍を刊行しました。

\おかげさまで読売新聞に掲載されました!/
【新著】『一生使える Webライティングの教室』(2022/3/23発売)

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