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カナダで出産5 いよいよ赤ちゃんとご対面 無痛分娩のありがたみを感じる 当日の記録

こちらカナダはカルガリーも、季節がいつの間にか変化し(というか春はあったのか⁉︎)、急に夏の日差しが照りつけるようになりました。

さて、約1カ月ぶりの更新です。先月2021年5月6日に妊娠38週5日で計画無痛分娩を行いました。今回はその出産記録(少し長文)です。
※これまでの記録はこちら→ >Vol.1 >Vol.2 >Vol.3 >Vol.4

このたびの出産は、当日の娘の世話のこともあり、計画分娩でいくことに。担当医からは、そうでなくても高齢(40代半ば)のため39週までには出産したほうがいいと言われ、直前になっても出てくる気配がなかったことを考えると、いずれにせよ計画分娩を選択せざるを得なかったように思います。

第2子なので、お産が早いのではないかと期待しつつ、第1子の娘のときのように無痛分娩を選択してもうまくいかない(薬が効きすぎて息むタイミングがわからず、最終的に普通分娩に切り替え痛い思いをした)のでは……と覚悟をしていました。果たしてどのようなお産になるのでしょうか。

AM9:00 いざ病院へ! しかし予定通りには行かず

さて、当日は朝9時から施術を開始予定。こちらはコロナ禍とはいえ、付き添いはひとりまで認められていたので、夫とふたりで病院へ。娘の世話は義姉に頼みました。しかし! この日はお産が多かったのか、分娩室に空きがないとのこと。看護師さんから「ごめんね〜。一旦家に帰ってもらえるかしら。部屋に空きが出たら連絡するから」とのお言葉。産む覚悟できたのに、なんだか拍子抜け。こういうこともあるね、と家に戻って用意していたおにぎりをもぐもぐ。さらには、前日よく眠れなかったので、仮眠をとることに。ここでまとまって眠れたので体力が回復できました。あのまま病院にいたら、疲労度が増していただろうな。

PM3:30 気を取り直して再度病院へ

そうこうしているうちに、午後3時ころに病院から「ベッドに空きができたから、今から病院にきて!」と電話。なんなら次の日にスライドするかと思っていたのであたふた。再会した娘は、また家を出て行く私たちを見て泣きじゃくり。考えてみたら、ここまで長い時間を物理的に離れたことは今までなかった。こちらも少し寂しい気持ちになりつつ、「お互いがんばろうね」と、病院へと向かいました。このとき心配だった娘ですが、その後すぐに回復し、元気よく遊んでいるとの知らせを受け、ホッとしました。

PM4:00 出産に向けて問診

さて到着すると、まずはひとり呼ばれて別室へ。血圧を測ったりお腹の赤ちゃんの心音を確認したり。さらに「パートナーにDVはされてないか。精神的に不安定ではないか」など、心のケアに関する質問もされました。こういう問いかけ、場合によってはとても大切だよなぁ……と。

ようやく4時半ころになって、出産へ向けて具体的に動き出しました。通された部屋には、大きめのシャワー室にトイレ。生まれた赤ちゃんの計測や検査ができるスペース、付き添いの人用には大きめのソファ。さらにはバランスボールに、ひとり用のゆったりソファなどなど。大きな窓が気持ちよく、まるでホテルのような清潔感。これはリラックスして産めそう!

そして落ち着いたこのタイミングで、無痛分娩で出産したい旨を伝えました。(というかこの段階で、はじめて無痛分娩を要望し、問題なく対応してくれる柔軟なシステムは、日本と大きく違う点かもしれません)

PM5:00 意図的に羊水を破水させる

態勢準備が整うと、まずは破水を促すことからスタート。私は全然わからなかったのですが、 少し離れて股のほうから見ていた夫からは、なにやら細長〜い金属の棒のようなものを入れて破裂させていたのを見たとの報告が。そんな器具を使っていたとは! 知っていたら緊張してビクビクしていたことでしょう。多少の違和感はあるものの痛みはほぼなし。終わるとすぐに羊水がドボドボとあふれ出てきます。とてつもなく流れ出るので、敷いていたペット用のトイレシートのようなものを頻繁に交換してもらいました。

PM5:30 陣痛促進剤をスタート

さて、いよいよ陣痛促進剤を投与。これはひとり目出産時に大変辛かったのを覚えていたので、いよいよか、と内心ドキドキ。しかし、思っていたより耐えられる痛みでした。また、無痛の麻酔薬を入れるタイミングについて、日本では痛みがピークになるまで待っていた記憶があるのですが、こちらでは「痛みが少しでも強まってきたら言ってね。薬の準備をするから。大切なのは痛みなく出産すること。経産婦はなおのこと進みが早いからね」と言われて、拍子抜け。この言葉、大変ありがたかったです。

促進剤を入れた直後は、効きも弱く、気持ちに余裕があり、持ってきたおにぎりやお菓子を食べてお腹を満たしておきました。日本だときっと食事も用意されているのでしょうが……。そんな気配はなく、食べるものを持ってきておいてよかったと心底思ったのでした。

その後間もなく、陣痛の波が10分くらいに。少し痛みが強くなってきたので、「そろそろ薬をお願いしたい」と伝えました。

PM7:20 無痛のための薬投与

麻酔は、脊髄のあたりに針を刺して、背中の神経に沿って管を入れ、薬を入れるのだと思うのです。この一連の施述が、今回の出産で一番痛かったかもしれません。しかし、それも2〜3分くらいのこと。その後、薬を投与するとすぐに痺れた感じがしてくると同時に、痛みがほぼ感じられなくなりました。ただ、少し違和感はあるので陣痛がきてるのはわかりました。この時点でまだ子宮口は2〜3㎝ほど(だったはず)。そのため、まだまだ時間がかかるわねぇと、助産師さんと先生。出産は日をまたぐと、このころは確信していました。

PM9:50 頭が出てきた⁉︎→子宮口全開!

夜の8〜9時台は、その後の出産に備えて体力を温存しておこうと、仮眠を試みました。しかし、だんだんと子宮口のあたりめがけて、押されてくるのを感じます。ん? もしかして、もう頭が出てきているのではないかな。。と思って数回「なんだか押されているのを感じます」と伝えたところ、最初のうちは「そうなのね、でも、まだだと思うから、もう少ししたら(10時半とかそのくらいの時間だったように記憶しています)子宮口チェックしてみましょう」との返答。しかし、やはり違和感。「かなり降りてきてるのを感じます〜」と念押しする私。助産師さんも「それじゃ、少し早いけどちょっと見てみようか」と確認にしたところ、「あら全開ね! もう産まれるわ! 先生呼ばないと」と、それまでののんびりした雰囲気から一点、慌てて出産体勢に。なんだか心の準備が整わないうちに、あれよあれよとゴールに向けて走り出したのです。

PM10:17 産まれる!

なんせ不安だったのが、麻酔ががんがん効いているなかでのふんばるタイミング。が、今回は助産師さんが「いまよ〜! 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10!」とわかりやすくカウントしてくれ、それに合わせてお腹に力を入れて、息を吐いたらうまくいきました。いつの間にか当直の先生も到着。3回目に踏ん張ったときには「次のタイミングで出てくるわよ!」と言われ、「そんな早く生まれるわきゃない」と実感がないものの、信じていくしかない! と、「波がきたわよ〜! いきんで〜」とまた10カウント。ふん〜っと踏ん張ったら「ほぎゃ〜」。「え〜⁉︎ 赤ちゃん⁉︎」と渡された生まれたての赤ん坊を抱いて初めて実感。子宮口全開がわかってから、15分ほど。経産婦だからか、超スピード出産でした。

付き添い時、夫の立ち位置について 

立ち会う際、日本の病院ではお腹から股にかけて、きれいに隠されていて、頭側に立つよう促されたように思うのですが、カナダでは「こっちにくる?」と、お股から赤ちゃんが出てくる側に立つか聞かれていました。そのあたりは超フリーダム。なるほど、たしかに夫婦とも合意のうえなら、邪魔にならなきゃどこで見てたっていいはず。むしろ、赤ちゃんがどう生まれてくるのか見たい気持ちもわかる。とはいえ、夫は見えない頭の側にたって応援するスタイルをとっていました。これも文化の違いでしょうか。

後処理と、出産後はじめて口にしたもの

その後の処理で驚いたのは「これがあなたの胎盤よ〜」と、見せてくれたこと。レバーのようにドロッとしたそれは、想像以上に大きい。あそこに栄養がつまったいたのか。このどでかい胎盤と、赤ん坊、あとはドボドボと流れ続けたあの羊水……と換算すると、臨月すいかのように膨れ上がったお腹が破裂しそうだったはずだよ。と妙に納得したのでした。

出産を終えてすぐ、お腹はペコペコ。それを察してか助産師さんが「何か食べる? 持ってくるわよ」と言ってくれたので、キャロットマフィンにヨーグルト、りんごジュースをもらいました。栄養バランスなんてまったく考えられていないこの組み合わせですが、まぁ、おいしかったこと! 夢中でいただきました。

感想

諸々の処理が終わると入院用の部屋に移動。となるのですが、産後ケアの話はまた次の機会に書こうと思います。

カナダでの出産は、言葉の壁が立ちはだかり不安も大きかったのですが、飛び込んでみると、やさしさに溢れ、安心した気持ちで臨めました。言語の問題なんのその、わからなくても言い換えたりジェスチャーでなんとかなるもの。担当の助産師さんは、必要なとき以外は部屋をほぼ離れることなく、つきっきりで手厚く面倒を見てくれるし、出産時の先生も女性だったこともあり(そういえば男性医師は見当たりませんでした)、話しやすく、リラックスして出産できました。

産後1カ月。慣れないふたり育児に悪戦苦闘し、すでに当日の記憶が曖昧になりつつあるこのごろ。あとで、今回の出産をほほえましく振り返れる日がくるといいな、と思います。




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