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並走しながら、時々ハイタッチしよう

少し前に訪問看護師の友達と久しぶりに会いました。色々話をしたのですが、
友達の働くステーションは、今管理者(経営者)とスタッフで揉め事が絶えないそうで。
あーわかる気がするなぁ…と思って聞いていたのですが、これって、よくある話なのかなと。そして訪問看護師として働き始めた時の事を思い出したのです。

┈┈┈┈ また長いよ~(。-人-。)

私の訪問看護師としてのスタートは、
訪問看護ステーションの立ち上げでした。

在宅とか訪問看護とか知らない私は、
ひょいっと、新規オープンっていう求人のキラメキ感につられて、就職してしまったのです。

転職話の記事にも書いたのですが、
色々ありました。色々。

振り返ると、
大変は大変だったのですが、
訪問看護師としては、
充実していて、とても勉強になった時間だったと思っています。

大変な事ほど乗り越えられると、清々しい気持ちになる。
オープニングメンバーで
一生懸命奮闘した日々でした。

訪問看護ステーションの運営には、
経営者・管理者・看護師が必要。
これを1人で担うハイスペックな看護師さんもいる。
経営者は別な事業から、訪問看護という事業に参入してきた会社の人という事も多い。

┈┈┈┈

私の最初のステーションの管理者は、元々は経営をしたい人。
介護事業に参入するため、
訪問看護ステーション開設のために、
看護大学に入り直し、看護師と保健師の資格をとった努力の人。
なので、看護師経験は奨学金返済のお礼奉公の3年と言っていた。
そのような人が始めた訪問看護ステーションでした。

病院とは違って、
売り上げ、利益という言葉が飛ぶ。
毎月初めに、
前月の売り上げがいくらで、
目標はいくらと告げられた。

その時はポッカーーンだったけど、
訪問看護はそういう世界でもありますよね。
看護師には嫌がられる話ですけど、
回ってなんぼ、回らなければ利益は生まれません。
お金の事ばかり言われると、げんなりしてきましたが、そういうものなんだと。
私たちはオープニングという熱きスローガンのもと、
じゃぁ、どうしたらそれが達成できるのかと
考える日々が始まりました。
まだ初々しくも、素直だったのですのよ…

急にどっかんと売り上げは増えません。
今の大手企業が運営しているステーションでさえ、5年目でやっと黒字化です。

訪問看護師としてどうすれば良いか、
何にも分からなかったけど、
どうしたら利用者さんが増えるのか、
病院では使わない思考をひたすら
フル回転させて日々働いていました。

営業に行く。
看護師には馴染みのない、縁遠い言葉。

最初から利用者さんがいるわけではなく、
当初は居宅やら病院やら、施設やら、
興味を持ってもらえるような、チラシを作ってあちこち回って歩きました。
色々なイベントみたいな事もしました。

そんな事をしていると、病院は訪問看護がどんな事をしてくれるのか、どんな事ができるのかが実はあまり知られていない事を知ったり、ケアマネさんから具体的な相談を受ける様になったり、ケアマネさんの考えや求める事、在宅での問題を知ることができたり。とても勉強になりました。

そんな、ど素人営業を続けて3~4ヶ月後に初めての利用者さんからの依頼が来ました。
今でもその時の喜びは忘れられないもの。

最初はリハビリの依頼が多かった様に思います。そこから看護も必要だねってなり、
リハビリと看護を利用する方が増え、そこから徐々に利用者さんが増えていきました。

利用者さんが増えて行く事で、
現場で色々問題が増えてくる。
管理者は看護師なので、何かあれば当然報告や相談する。それが普通ですよね。
しかし聞いてはくれるが、何も返答がない。
ないのではなく、返答ができなかったのだ。
管理者は看護師の資格はありながらも、
臨床経験が少なく、
看護の事はわからないと、ある日はっきりと言われてしまった。
今となっては彼女の正直な返答だったのかも。だから力を貸してって事を言いたかったのかなと思う。

あの時はみんな余裕がなかった。
そこから、スタッフとの間に溝が生まれ、
どんどん溝は深まり、
色々次から次へと色んな問題が起きて、
スタッフは辞めて行く。
突然来なくなるスタッフもいて……
管理者もどこにいるのかわからなくなるとか
、まぁ修羅場でした。

ただ、
管理者に頼れなくなった分、
残されたメンバーの結束は強く、
とにかくただ日々の訪問を重ねました。
なので、
ステーションは最悪な状況なのですが、
利用者の依頼は絶えず増え続けました。
今思うと、偉いよな、私たち。

結局どんな状況でも、
看護さえ揺るがず提供していければ、
訪問看護は、実は成り立つのかもしれないと思うようになりました。

訪問看護は基本的には利用者さんと1対1。
ステーションの中のどうのこうのは、
何も関係ないのです。
それぞれ訪問した看護師が、明るく笑顔で、
必要なケアをして、利用者さんに安心して満足して過ごしてもらえるように、仕事する。
ほんとはすごくシンプルに考えれば良いことなんだろうと思います。

そして、あの時のオープニングメンバーは、
このスタンスが自ずと持てていたんだと、今にして気付く。神メンバーだったんです(笑)

┈┈┈

訪問看護ステーションの管理者になるって、
すごい事だと思います。
あなたやってって言われて、簡単に はい。とか言えないよね。
やっぱりやる気と、モチベーションがないとできない。

オープニングの時のステーションの管理者(経営者)には、思う事は色々あるし、何でこんなにも分かり合えなくなってしまったんだろうと言いたいけれど、彼女も大変だっただろう。辛かっただろうなって、今は思う事もある。
けれど私たちも必死だった。
あの時何か良い方法があれば、
もっとじっくり話す事ができたら、
何か変わって乗り越えられたのだろうか。

管理者(経営者)に、
『経営の事なんてわかるんですか?』って言われたんです。
わかりません。……そういう事です。

だから、たぶん変わらなかったと思っている。
経営者と訪問看護師。
そもそも仕事する目的や目指すものが違うもの。こればかりはしょうがない事なのかも。

今でこそ、
経営‪✕‬訪問看護ってのよく見かけるけど、
こうやってただ並べてみて、
冷静に眺めてみて、私には違和感しかない。
無理っぽく見える。
あからさまにこれを、わざわざ並べて掲げなくてもって思う。

経営者は経営をしたいはず。
看護師は看護をしたいはず。

ナイチンゲール精神に溢れている生き物に、
金稼ぐぞって言ってうまくいくいのか。
それを、無理矢理一緒にしようとするから、うまくいかなくなるのではないか。
けれど、どちらもなければ、この仕事は成り立ちません。

医療とか看護とかって、
専門職であり、特殊な世界。
そこに、何も知らない人があーだこーだ言ったらどうだろう?
逆に経営の事なんて、何も知らないのに、そこをただの看護師がつつっいたらどうだろう?

看護の事は看護師に任せる。
経営の事は経営者に任せる。

お互いの立場を理解しようとする姿勢や、尊重する事は必要と思うけれど、時々交差するくらいで、並走の距離感で一緒に目的を目指したい。

┈┈┈┈

訪問看護ステーションはどんどん増えていると聞きます。実際地域を見てもそのように思います。
廃業していく訪問看護ステーションもある。
その要因は主に人的要因と資金的要因。

看護師がいないと、始まりません。
訪問看護の求人を見ていても、
働くのに良い待遇を用意できるか、会社の必死さを感じます。
働く方としては、ありがたいことです。
経営者には気持ちよく働ける職場をつくって頂き、看護師が頑張るぞ!と良い看護を提供できて、利用者さんがたくさん増えたら最高ですね、お互いに。

きっと訪問看護ステーションを潰そうなんで、誰も思わないだろう。
あ、でも私の時はみんなで、もういっそ全部吹っ飛んでしまえとは思っていたな……(笑)

結局考えるのは、利用者さんの事のみ。

あとね、看護師さん。
不平不満、わがままばかり言ってはならぬ。
色々あるけど、感情に振り回されず、
やるべき仕事に集中しよう!
訪問看護を楽しもう。
ストレスは職場の中で発散するのでなく、
別な方法で発散させよう!
( *´꒳`)/ これは私の日々の心得です。

スタッフと管理者と経営者。
それぞれの役割がある。
並走しつつ、時々ハイタッチできたら良いよね。

(*´∇`)ノ 
 

















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