見出し画像

ナーディー・ショーダナ・プラーナーヤーマ(nadi shodhana pranayama)について②

(前回の投稿をお読みでない場合はそちらをお読み頂くと理解が深まります。)

ナーディー・ショーダナ・プラーナーヤーマ(nadi shodhana pranayama)について①

●古代のヨーギーの身体感とナーディーが存在する場所の捉え方


今日、ヨーガを学ぶ人達の多くは解剖学や生理学を通して肉体に関する知識を得るが、古代インドにはこのような解剖学や生理学はなかった。

古代のヨーギーは、

・身体を5つの鞘(パンチャ・コーシャ)で成っていると考えた。
・あるいは、3つの身体(トリ・シャーラ)でできていると考えた。

スシュムナー、イダー、ピンガラー、などのナーディーは5つの鞘(パンチャ・コーシャ)の中のプラーナ・マヤ・コーシャと呼ばれる微細身にあると捉えていた。

●5つの鞘(パンチャ・コーシャ)とは?

人間の身体を構成している5つの鞘はそれぞれ次元の異なったエネルギーで、これらが重なり合っていて、それは例えば、ちょうど同じ大きさの透明セロファン紙を重ねて置いたときのように、ちょっと見ただけでは一枚の紙だが、実際は幾重にも重なっているようなもの。これら5つの鞘はお互いに関連していて、一番外側の鞘が刺激されることにより、次の内側の鞘に影響が与えられ、5つの鞘は内側に向かえば向かうほど微細なものになると言われている。

①アンナ・マヤ・コーシャ(食べ物よりなる鞘)
【言葉の意味】
・アンナ・・「食べ物」
・マヤ・・「〜よりなる」
・コーシャ・・「鞘」

5つの鞘の中では一番外側にある鞘で、骨や肉や血管などから構成されているいわゆる肉体とよばれ、5つの中では最も粗雑なもので、食べ物によって活動するのでこの名前がついてる。アーサナなどでこの鞘を整えるが、それは次のプラーナ・マヤ・コーシャをも刺激し影響を与えるので、アーサナは決して肉体だけに関する実技ではない。

②プラーナ・マヤ・コーシャ(プラーナよりなる鞘)
【言葉の意味】
・プラーナ・・「生命エネルギー」
・マヤ・・「〜よりなる」
・コーシャ・・「鞘」
.
肉体に重なるような形でアンナ・マヤ・コーシャの一つ内側にある鞘で、より繊細で霊妙な層を構成している鞘。この鞘はプラーナと最も関係のある鞘で、プラーナーヤーマなどで取り入れたプラーナは、この身体中を巡るナーディーと呼ばれる道を通る。プラーナ・マヤ・コーシャを整えることによって、一つ外側のアンナ・マヤ・コーシャや次のマノー・マヤ・コーシャにも影響を与える。つまり、プラーナーヤーマなどを行うことにより、肉体の健康や爽快さはもちろんのこと、意識や心にも良い刺激を与えている。

③マノー・マヤ・コーシャ(意識よりなる鞘)
【言葉の意味】
・マノー・・「マナス(意識や心)」
・マヤ・・「〜よりなる」
・コーシャ・・「鞘」

マノーとはマナス、つまり意識や心からなる鞘。一番外側の食べ物からなる鞘やその内側のプラーナよりなる鞘よりもさらに微細で霊妙な鞘。感覚器官を通じていろんなことを感じたり、思考したりする鞘。

④ジニャーナ・マヤ・コーシャ(知識よりなる鞘)
【言葉の意味】
・ジニャーナとは「知識的なこと理性的なこと)」
・マヤ・・「〜よりなる」
・コーシャ・・「鞘」

ジニャーナ、つまり知識的なことや理性的なことに関する鞘。感覚器官や思考を通して得たものをこの鞘で様々な判断をする。情報としての知識ではなく、解脱や精神的なものに関する智慧を指している。

⑤ アーナンダ・マヤ・コーシャ(歓喜よりなる鞘)
【言葉の意味】
・アーナンダ・・「歓喜」
・マヤ・・「〜よりなる」
・コーシャ・・「鞘」

アーナンダとは「歓喜」という意味だが、ここでいう感喜は、日常的なはかない感覚的な快楽や喜びのことではない。


次回続きは、「3つの身体(トリ・シャーラ)」について、お話しさせて頂きます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?