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全時代的連続横綱殺人事件

 四股踏みによるテラフォーミング。外宇宙力士の撃退。核汚染の浄化。偉大なる横綱、鳳乃鷲は同時に邪悪な横綱としての側面を持っていた。

 八百長――力士の星操作は勝敗の結果だけではなく、自然災害、宇宙航行の安全、その他全てに関わりがあり、反抗的な力士は鳳乃鷲によってヤマへ送られた。

「発勁用意」

「発勁用意」

 表向き、鳳乃鷲は偉大なる力士だ。野試合を断ることなどない。そして全盛期は過ぎたとはいえ、未だ不敗。噴煙のように気が吹き上がる。対して、挑戦者である若者は静謐を保っていた。出方を見るかと横綱は悠然と構えた。どこの馬の骨とも知れぬ相手の攻撃は受け止めなければいけない矜持であった。

「鳳乃鷲、貴様は歴代横綱ではコモンレアだ」

 鳳乃鷲は言葉の意味を考えた。それが最後の思考であり、刹那、鳳乃鷲は胸に大穴を開け、死んだ。

「俺は、横綱殺し。全ての時代の横綱を殺す者だ」

 本日の取り組み、勝者、横綱殺し。
 決まり手『張り手』


  続く


 

 

 

 

 

 

 

 

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