髪の毛をさわるクセが止まらなくてわりと悩んでいる
じぶんの髪の毛をさわるクセに悩まされている。
とにかくさわりすぎて、それを見かねた妻に
「ハゲるからやめろ」
と半分脅しのような注意をされる。それでいったんやめるものの、また気がついたらシャワシャワと触っている。
さわる場所は決まっていて、ちょうどつむじあたり。たしかにハゲが始まりやすそうな場所。クセ毛なこともあって、このあたりの髪の毛はぱやついている。その不連続性が、こちらの欲求を絶妙にくすぐってくる。
このクセは、思い返せば学生のころからあった。テストの時間とかに、つい髪の毛をさわってしまう。たぶん、難問を目の前にしたときに発動することが多かった気がする。一休さんみたいに頭をいじいじして、知恵をひねり出そうとしていたのかもしれない。
ただ、この髪をさわるクセがすこぶる厄介なのは、知恵をひねり出すどころか、思考が停止してしまうこと。考えているようで考えていない状態になる。時間がいつのまにか溶けていることに焦り、何度も脇汗をかくはめになった。
なにかに集中している時は発動しない。つまり、集中がとけた時に頭頂部に手が伸びていく。じぶんにとって集中がとける瞬間は、なにをしていいかわからない時が多い。ということは、脳がヒマになったときに、ヒマつぶしをしようとしているのかもしれない。
「つまり、あなたは最近ヒマなのね」
と妻に言われた。たしかにそうかもしれない。家での時間が多くなって、予定していた仕事もキャンセルになった。じぶんで作りだした自由な時間はともかく、急に増えた時間にとまどっている。多いということは、それだけ選ぶ自由が生まれる。選ぶことは判断すること。判断することにつかれている可能性はある。
と、理由をなんとか考えているものの、いまだに髪の毛をさわってしまっている。妻にどうしたらいいかと相談した。
「例えば、どういう時に髪の毛はさわらないの?」
「帽子をかぶっている時」
「そりゃあそうだ」
という会話で終わった。まずは、即効性があることを試そうとGoogle先生に聞いた。そうしたら、帽子をかぶるというアドバイスがあった。
とりあえず、帽子をかぶってみた。たしかに髪の毛をさわらない。というかさわれない。ただ、パジャマ姿に帽子をかぶっているから、とても違和感はある。布団から起きてきた妻には、
「あ...帽子かぶってる...」
と言われた。君はなにをしているんだい?という表情をしていた。
「室内用の帽子...作ってあげようか?」
と、ありがたい提案をしていただいた。パジャマ姿の帽子男は静かにうなずいた。
坊主にすれば解決するような気もしている。しかし、逆にさわり心地がアップしてクセが悪化する可能性もなきにしもあらず。やはり、いまの状況と、時間にどう向き合っていくか考えることを優先していく必要がある。どうしたものか。そして頭頂部に手がのびる。
集中がとけた瞬間を教えてくれる通知として受け入れることからはじめる。
この記事が参加している募集
この恩はきっとゆるく返します