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傲慢と善良 / 辻村深月

本を読む時間を作れないほどの残業時間の多さでへとへとになっていた先週末、
久しぶりに整体に行ってすっきりしようと思って外に出たら、吸い込まれるように本屋さんに。
残業代もあるし、サラッと買ってしまうかと手に取ったのが長く読めてていなかった傲慢と善良。

読んだ友達(既婚)が消えた婚約者真実のことが分からなかったという感想のSNSを見た覚えもあり、果たして私は…?

物語のあらすじは…

 物語の主人公は、婚活アプリで出会い、2年後に婚約した30代の男女だ。西澤架(かける)は東京生まれで、ルックスが良い。「いつでも結婚できる」と思っていたが、気が付くと周りは結婚し、自分だけ独身になっていた。坂庭真実は群馬・前橋で育ち、真面目な性格。進学先なども、母の言う通りにして生きてきた。

 物語は架の視点で始まる。過去の恋愛を引きずっていた架に結婚を決断させたのは、真実がストーカー被害に遭ったこと。だが、真実は突如、姿を消す。手がかりを探すうちに、架は真実の過去を知っていくことになる。

辻村深月さん「傲慢と善良」 インタビュー 婚活の息苦しさ、丁寧に|好書好日 (asahi.com)

現代の婚活がよくわかる本・恋愛カウンセリング本のほかに、自分のことを顧みる本と評されているのを目にしたが、まさしくその通り。
読み進めながら、各登場人物の台詞にぐさぐさ刺されて読了。

真面目ちゃんだし、自分で決めきれない。親が与えてくれた選択肢から選ぶことで精いっぱいぐらい思っていた私。
だから、真面目な性格の真実の方に感情移入するんだろうなと思って読み始めていた。
久しぶりに付箋を貼りながら読み進めてみたけど、真実視点の話には付箋が張られておらず。
真実は真面目=善良、みたいな展開だったなかで、失礼な口調で書かれている架の女友達による真実評(酷評)に、わかる…と思いながら付箋を貼っている。
私も自分を棚に上げて傲慢なんだなぁ…

マイナスのことを書く時でさえ、自分のことを『似合う』って言葉で肯定するような、そういう子だよ。自己評価は低いくせに、自己愛が半端ない。

傲慢と善良

皆さん、謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛の方はとても強いんです。傷つきたくない、変わりたくない。—高望みするわけじゃなくて、ただ、ささやかな幸せが掴みたいだけなのに、なぜ、と。

傲慢と善良

真実に完全に感情移入できないのは、私が自己評価というか自己肯定感?自分を受け入れることができるようになって、あまり周りと比べて自分は…と思わなくなったからなのかな。と、付箋をつけている文を読み返して思う。

元々、ネガティブと友達にも言われていた気がする、って気がするになるくらい今は過去の話になっちゃっているけれど、
その時は自分なんて…と思いながらも、でも自分はほかの子に比べてxxxなのに。と自己評価が低い割にはほかに比べて優れていると思う気持ちも持っていたりして、今思えばこじらせてるなぁ…という感じだけれども。
周りと比べなくなってきて、自分の思うままに行動できるようになったりして(ささやかだけど一人映画とか・一人寿司とか)、随分楽になったなと顧みた。

本を読み終えて、自分の意思って分かる人ってどのくらいいるんだろうなぁと思った。
周りの環境や空気感に流されて選択したことも自分の意思だと錯覚することがあるだろうし。

婚活あるあるだよね~なんて感想を残す友達が周りに多かったけど、
私としては自分を棚に上げてこういうこと言いそうだな~と傲慢さを感じ、
たまには鈍感な善良さを感じ、
傲慢と善良が自分の中で共存していることを実感した本だった。

ただの婚活小説じゃないよ、これ。

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