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【事業計画書から企画書まで】 プレゼンの序盤に入れるべき大切な7つのスライドとは?

 事業をマネジメントする立場になると、半期・四半期ごとに事業計画書や企画書を書かねばなりません。実際に書く立場に立ち、かつレビュアーの立場に何度も立って来たなかで、良い企画書に通じる「序盤に入ってる重要なスライド」というものをあぶり出したところ、7つ出て来たのでご紹介します。

 以下の1〜7の順番は、そのまんま使うでも支障はありません。場合によっては間に新たなスライドを挟むもよし、入れ替えるもよしです。

1. VISION|どんな未来をなぜ描きたいのか

 ここは一番大切なコアな部分です。この1スライドに1日なり1週間かけてもいいと私は考えるほど重要です。是が非でも叶えたい未来、どんな出来事を、どうして起こしたいのか、これについて真摯に書きましょう。

 特に冒頭に書くべきで、一番時間をかけるべきという理由はシンプルで

「投資家はみな、事業の中心人物の継続性の担保(本当にその事業をやりきりたいのか)をみているから」

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2. KEY SUCCESS FACTORS|成功させるためにすべきこととはなにか

 VISIONで描いたことを実現させる上で「成功要因となるものがなんなのか」にブレイクダウン(分解)するページです。
※キーサクセスファクター( KEY SUCCESS FACTOR:重要成功要因)については以下の記事を参照してください。

 例えばVISIONが「魔王を倒して平和な世界にしたい」であれば、キーサクセスファクターは

1.「魔王を倒すに十分な装備を手に入れること」
2.「魔王討伐に最適なパーティーを組む(仲間を入れる)こと」
3.「魔王の城の位置をつきとめること」

こんなところでしょうか。

 漠然としたVISIONを一旦この粒度に大まかに分解すると「この人が言ってる理想って叶えられるんじゃないか?」と聞く側は思いやすくなるのです。

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3. DOS/DONTS|やらねばならぬこと・やってはいけないことはなにか

 会社である以上、会社の都合でどうしてもやらねばならないことや、社のポリシーとして避けねばならないことがあります。
企画設計の段階で誤ってとりこぼすと、経験上「企画の組み直し」を命ぜられます

 例えば、ポイント系プログラムをもつ企業なら「●-pointを利用できること」がDOSに入ってきます。

「世の中に『新しい当たり前』をつくる」という理念をもつ企業であれば、「たとえ儲かるとしても『当たり前になってはいけない』という事業はやらない」がDONTSに入ってきます。

 この「DOS/DONTS」はいわば、コーヒーフィルターみたいなもので、混じってはいけないモノ・通過すべきモノを明らかにするので、必ず用意をしましょう。

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4. ECO SYSTEM|どんな価値循環を起こそうとしているのか

 まず大切なのは「どうマネタイズするか」ではなく、もう少し俯瞰した「どんな価値循環か」という点であることを強調しておきます。関係する主要な登場人物・組織・プロダクトを書き連ね、それらがどんなコト・モノ・カネを代謝するのかを統合的に描きます。

 グッドデザイン賞も受賞している「ビジネスモデル図解」をフレームワークとして用いると、ムリムダなく描けると思います。

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5. GROWTH STRATEGY|基本的なユーザーおよびビジネスの成長戦略とは

 4で描いた価値の循環より、さらに長めの時間軸を加えて「どう成長するか」を示します。

 実際にどうやって見込みユーザーさんと知り合い、ユーザーになっていただき、果てはリピーターとなって頂くのか。どんな行動が次第に活性化され、その結果収益がどうグロースするのか。

 このあたりはイメージとしてピースオブケークのCXOの深津さんの対談動画内の00:24:00ごろに登場するのnoteの成長サイクルモデルが参考になります。

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「この循環がよく回れば事業は確実にグロースするのです」

そう言えるエコシステムがはっきりすると、この時点でだいぶ未来予想図がパッキリと見えてきます。

6. GROWTH ESTIMATE|事業PLの成長予測

 つまるところ「数字に落とすとナンボです」という、商人として大事なセクションです。ここまでストーリーとして非常に滑らかに組み上げてきた計画を、きちんと収入の部と支出の部に分け、さらに因数分解をしてプランを「関数」へと昇華します。どの数字が増えたら収益がいかに変化するのか、どの変数が増やし難くいのか、そんなことを延々と悶々と考え抜いて組み上げます。

 時間配分としては「1.VISION」に次いで時間を要します。理由は、売上やコストの因数分解と仮説検証はゆうに数日を要するほどカロリーがかかるからです。ここはどんなに少なくとも構築に2日、レビューに1日は設けましょう。

 緻密に組み上げるほどに事業の勝率が上がるというオカルトチックですが実体験もあるので、本当に充分な時間を充てましょう。

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7. REQUIRMENT|サービス/プロダクトの要求仕様とは

 1〜6スライドまでで、情緒的にも論理的にも要素を詰めきったら、自ずと「なのでこのアプリには〜」「この新商品のデザートには〜」「このレストランには〜」といった、サービスやプロダクトに必ず実装させねばならない要件・要求仕様が明らかになってきます。

 中枢となる話を煮詰めきってから、本来は要求仕様を挙げていくべきですが、時間の都合や焦りから、いきなり要件定義をして走ろうとしがちです。その結果、大きな要件変更が発生して、想定外のコストと時間をドブに捨てる場合もあるので、1〜6スライドまでお手数ですがご勘案ください・・・。

 大概はこの後から具体的なモノにフォーカスを当てた会話にシフトしていきます。例えばウェブサイトであれば「サイトツリー」「画面デザイン案」と続き、空間デザイン系なら「図面」「パース」、飲食事業なら「店舗イメージ」「商品メニュー案」など、サービス/プロダクトを鮮明に想像しやすい資材が掲載されていきます。

 サービスやプロダクトの具体的な話題に入る前に、このスライド7で「今回つくったモックアップはどういった要求仕様をパスしているのか」を明示しておくことで、その後の具体案がすんなり伝わるため大変おすすめです。

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おわりに

 制作はいわばモノづくり、事業はコトづくり。性質も粒度も異なりますが、計画する上でまとめねばならない項目は共通する部分があります。

 それは「Why」の明文化です。

どうしてやるのか。
なぜ儲かると自信を持って言えるのか。
なにゆえ人気が出てグロースすると考えてるのか。

 多面的に「なぜ」を分解して、きちんと論理的にテキストに落とし込む。やるといいと分かっていても、おざなりにしがちなこの部分。サイモン・シネックの「ゴールデンサークル理論」でも言われるように

人は「何を」ではなく「なぜ」に動かされるのです

事業計画、新製品企画、ECサイト案。どんな計画でも面倒とは言わずにスライド1〜7までご用意してみてはいかがでしょう?

サポートいただけたら、嬉しくて本屋に行くと思います・・・笑