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【海外出産奮闘記#8】もっとクスリちょうだい…2人目出産で「後陣痛&恥骨痛のダブルパンチ」編

大学卒業後、まともに就職活動もせず、ふと見つけた広告に応募し採用され、現代美術ギャラリーで楽しく働く私に向かって、ある日母はこう言放ちました。「あんたはきっと“いきおくれ”て、30過ぎで猫と一緒に1人暮らしするんでしょうね」と……。
しかし、人生には時に天変地異の如き出来事が降り掛かります。25歳で出会った彼と、次の日からおつきあいをスタート。半年後に妊娠、入籍する事に!
ドタバタの海外出産後、酷寒の地ボストンでの生活から、夫の就職を機に新天地カリフォルニアに住居を写した私たち一家。暴力的なまでの空腹に苛まれた「2人目出産」についてお話した前回。
今回は、「後陣痛&恥骨痛のダブルパンチ」編をお届けします。


■ 2人目の出産「後陣痛よこんにちは」

さて、産前・産後を通し、あまり大きな問題の無かった私です。が、2人目の出産後は驚くべき痛みに遭遇することになりました。

そのひとつが“後陣痛”です。

産まれたての次女

後陣痛というのは、1人目出産時にはほとんどない、そして、2人3人と産めば産むほど痛みが強くなる、産後の子宮収縮時の痛みの事です。

私の母は、「後陣痛なんて、陣痛に比べたら、ちゃんちゃらおかしいわよ」と言い切っていました。しかし、無痛分娩で出産し、陣痛の“じ”の字をちょろっと舐めた程度の経験しか無い私にとっては、「なにこれ!ものすっごい痛い!」と驚くべき痛みだったのです。


■「痛み止めは好きなだけ」というアメリカで

産後でメンタルがやわになり、すぐに「痛い痛い」と泣き言を言うようになった私は、痛み止めにすぐ手を出しました。しかも入院中は、「ちょっと痛いから、ちょうだい」と言えば、ナースは痛み止めを好きなだけくれたのです。

私は痛み止めに、全ての痛みの処理を任せ切っていました。痛み止めは素晴らしいとさえ思っていました。

ちなみに痛み止めは英語で「PAIN KILLER」と言います。何とも頼もしい響きではないですか? なんて言う風に感じるほどに、私は痛みに弱くなっていたのです。

退院時に処方された薬は2種類。“MOTRIN”と“VICODIN”という錠剤です。夫は処方箋を見て、「MOTRINだけでいいのでは」と進言してきました。しかし痛みに弱い“喰婦(クープ)”と化した私は「いやだ、痛いんだもん、買ってきてよ~」と強引に買ってきてもらったのが運の尽き。夫が難色を示した、このVICODINがくせ者だったのです。

VICODINには結構な副作用があります。そういえば退院時にナースから、「VICODINを飲んだときは、運転はしないこと。契約書にサインをしないこと」という説明を受けました。その時はさらっと聞き流していましたが、後に身を以てその意味を理解する事になったのです・・・。

退院2日目から身体のだるさが増し、だるいと痛みが増す気がするのでさらに薬に手を伸ばしました。気持ちが悪く、筋肉が痛み、次女の最初の検診にも立っていられないほどでした。こりゃあ、運転も出来ないし、サインもしちゃいけないわけです。

夫はというと、痛み止めにこてんぱんにやられている私を「だから言ったのに……」という目で見ています。クープは人の言う事を聞きませんからね、経験から学ぶしかありません。

私は自分の愚かさをしみじみと実感しながら、VICODINをゴミ箱に捨てました。それにしても痛い目に遭いました……。


■2人目産後「恥骨痛にもこんにちは」

次女を妊娠中、後期から悩まされた恥骨痛。文字通り恥骨のところが痛みます。“この痛みはきっと、赤ちゃんが産まれたらすっぱりサヨナラ出来るに違いない”という希望は、あえなく打ち砕かれました。

これに関しては、カイロプラクティックへ通い、5回ほどで痛みは無くなりました。そこで言われたのが、「妊娠中に重いものを持ち過ぎていたでしょ。あと、足をよく組んでいたみたいだね」ということ。

確かに! 妊娠中の私は10キロ超の長女や、牛乳1ガロンなどをあまり深く考えずにヒョイヒョイと運んでいたのです。

よく、「産後に無理をすると、更年期障害がひどくなる」なんていうことを聞きます。が、そんなことを急に言われても、若く健康な身には今ひとつ現実味を感じられないものです。

しかしこのときは、“その時あまり深く考えずにしたことが、後からとんでもない事態を引き起こす”ということを身を以て学習した私でした。


■ 痛みを順に味わう事、その意味を感じる事

私は第3子、第4子を普通分娩で出産しました。そのときの後陣痛もやはり痛いものでしたが、確かに、子宮口をぐんぐんと開き、赤ちゃんを外の世界へと後押しする陣痛の怒濤のような勢いに比べたら、全くなんてことないものに感じられました。母の言葉は本当だったのだと、第三子出産後にやっと分かりました。

出産と言う自然の行為に伴う痛みには、意味があります。順番に経験すれば、誰でも乗り越えられる。そのことを知っていれば、無痛分娩という選択はしなかったかもしれない、と今では思います。乗り越えるのみならず、その痛みを味わい、抱きしめるという素晴らしい経験をすることが出来るのですから。

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とはいえ後悔しているわけではありません。その経験があって、後に私は“自宅出産”にチャレンジする事になるのです。

今はこの経験を多くの人に伝えられたらいいなと思っています。

★今回の教訓★
(1)痛み止めはほどほどに
(2)妊娠中は重いものを極力持たないこと。
(3)妊娠中は、極力足を組まないこと。
(4)無痛分娩は、メリットとデメリットをよく知ってから選択しましょう

次回は、「アメリカ出産入院事情」についてお送りします!



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