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【海外出産奮闘記#5】できちゃった婚の私たち、次なる修羅場は「年子妊娠」!? ~新天地カリフォルニア編~

大学卒業後、まともに就職活動もせず、ふと見つけた広告に応募し採用され、現代美術ギャラリーで楽しく働く私に向かって、ある日母はこう言放ちました。

「あんたはきっと“いきおくれ”て、30過ぎで猫と一緒に1人暮らしするんでしょうね」と……。

しかし、人生には時に天変地異の如き出来事が降り掛かります。25歳で出会った彼と、次の日からおつきあいをスタート。半年後に妊娠、入籍する事に!

夏は大きなお腹を抱えて過ごし、ゴージャスな紅葉の時期に長女を出産。寒い思いをさせないよう、服やらコートやらブランケットやらで新生児をぐるぐるにくるんで冬を越す。そんなボストンでの新婚生活をお送りした前回。

ボストンに住む誰もが待ち望んだ春、窓の外に可憐に咲き誇るモクレンに別れを告げた私たち3人。四季の彩り豊かな東海岸から、太陽とビーチが眩しい“西海岸”へ引っ越していきました。

■ カリフォルニアに馴染む夫の横顔

短い恋人時代の間に、夫が何回か私に言った言葉があります。「いつかミカをアメリカに連れて行きたい」と。通称LAX、ロサンゼルス空港に降り立った時、「この人、本当に私をここに連れて来ちゃったんだな・・・」と、今更ながら思ったものです。

夫は高校卒業後、単身カリフォルニアに渡り、それから5年ほど住んでいました。ですからカリフォルニアは、夫の第二の故郷のようなものなのでしょう。たくさんの友達もいるし、心から尊敬する恩師も住んでいる土地です。そこに私という妻と、なんと赤ちゃんを連れて戻ることになったのです。感慨もひとしおでしょう。

「着いたね」とこちらを向いた夫の表情に、まるで家族を紹介するときのような、くつろいだ空気を感じました。

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■「車は1人1台の土地・カリフォルニア」で、若く貧乏だった“私たちの解決法”

さて、公共交通機関が便利なボストンの街から一変し、カリフォルニアは基本的に、“車は1家に1台”ではなく、“1人1台”が当たり前の土地です。

買い物も車で大量に買い出しするのが当たり前。子ども達が遊ぶ公園のそばにも、大きな駐車場があることが当たり前です。

しかし大学院を修了したばかりの夫の収入では、2台の車を持つ事は難しいのが現実でした。

そこで私たちは、夫の職場のほど近くに住まいを探しました。そうすれば普段の通勤は徒歩で済み、私が買い物などに出かける時だけしか車は使わないので、1台で済みます。

夫の職場はサンタモニカ。職場にも歩いていける場所という条件で探すうちに、サンタモニカの6番通り、つまり、ビーチから6ブロックの距離にあるアパートを見つけました。

サンタモニカのビーチへは下りの勾配が続きます。中層のアパート(日本で言うマンションのようなものです)の4階にある私たちの新居からは、サンタモニカ・ビーチの水平線を臨む事が出来ました。


■“小さな怪物”の自由奔放さに、四苦八苦する「新米ママとしての私」

9ヶ月で歩き始めた長女は元気いっぱい。ビーチを歩く事が嬉しくてたまらないと言った感じで、よく歓声を上げながらヨチヨチと歩いたものです。

長女はすくすくと健やかに育っていました。しかし、何の知識も前準備も無く母になった私は、赤ちゃんの取る行動ひとつひとつに戸惑い、困惑し、時には腹を立てました。

砂場で、他の子のスコップやバケツをことわりもせずに“むんず”と掴むこと。滑り台を階段ではなくスローブからよじ上ろうとしてよその子の邪魔をすること。

ブランコが楽しくて降りたくなくて、泣き喚き暴れること。砂を平気で口に入れること。戸棚と言う戸棚を開けて中身を確認せずにはいられないこと、トイレまでついてきて便器の中に手を突っ込もうとすること……。

今ではハッキリと分かります。長女はどこにでもいる、ただの“健康で好奇心旺盛な赤ちゃん”でした。しかし、私にとっては、信じられない行動を取り続ける“小さな怪物”だったのです。

私は砂場のおもちゃを「ごめんね」と言って相手に返し、悲鳴をあげて長女の口と手から砂をはらい、赤ちゃんにルールを押し付けようとする、真面目で愚かな若い母でした。


■できちゃった婚に続き、まさかの「年子妊娠」発覚!今回は…私のせい!?

ところで長女は、完全母乳でまるまるとボンレスハムみたいに育ちました。にもかかわらず、私は彼女が2ヶ月のときに生理が再開しました。そして長女が10ヶ月のとき、なんと第2子の妊娠が発覚したのです。

私と夫は顔を見合わせました。「またやってしまった……」そんな思いがお互いの脳裏を去来していた事と思います。

できちゃった婚の私たちです。家族へ報告するのが、バツが悪い。だって私たちの状況で“年子なんて、計画していないのが火を見るより明らか”ですから。

しばらく報告の押し付け合いをした挙げ句、夫が放った一言は、わが家の伝説となりました。

「一度目は僕のせいだけど、今回はミカのせいだからね」

真相は神のみぞ知る。私は再び“アメリカ妊婦生活”を送る事になったのです。

次回は「アメリカ妊婦生活事情」についてお送りします!

★今回の教訓★
(1)“1人1台”の土地で“1家に1台”の車で暮らすには、職場の近くの自宅が鍵
(2)“小さな怪物”は健康で好奇心旺盛な証。赤ちゃんにルールを押し付けないこと
(3)できちゃった婚で“年子”発覚は報告しづらい。。。笑


*ItMamaに2016年掲載された連載です。現在、編集部側の都合で非公開になっていますので、加筆、修正したものをこちらにアップしています。

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