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☆本#351 自分を肯定「ダメな私が最高の人生を手に入れるまでの12か月」ションダ・ライムズ著を読んで

著者は、米国のTVドラマ「グレイズ・アナトミー恋の解剖学」の脚本家で、自分の会社を持ち番組のプロデュースもする成功した女性。そういう人でも、自信がなくて元々内向的だった性格が、1年間Yesということで変化していく。成功した人がさらに成功する話ではあるけど、気付きもあり。人には苦手なことがもれなくあり、望むと望まざるとにかかわらず直面しなければならない時がある。そこを切り抜ける心構えのヒント。

著者は40代のとき、3人の子供がいるシングルマザーで、仕事も忙しく、周りからの様々な招待や番宣のテレビ出演等断っていた。そもそもオタク気質で、そういうのは苦手だったから。

ある日、尊敬する大好きな長姉に忙しい自慢をしていたら、なぜ招待を受けないのかと聞かれ、さりげなく「あなたは何に対しても絶対イエスとは言わない(You never say yes to anything)」と言われる。この言葉が彼女に突き刺さった。末っ子の著者は、子供のころからよく転んだり、姉妹の中ではドジっ子で、家族を心配させた。それで長姉は、著者が内にこもっていて、人生を楽しんでないように感じていた。

この言葉がきっかけで著者は1年間、誘い等があれば断らず、Yesということを決める。

まず、これまで避けていた番宣等のテレビ出演を承諾。出演したら案ずるより産むがやすしで、自意識過剰だった自分に気付く。
次に、母校の卒業時でスピーチ。大勢の前で話すことは自分にはできないと避けてきたけど、ありのままでも大丈夫なことに気付く。

このスピーチで、著者はトニ・モリスンのような作家になりたかったけど当時は夢に描くだけだったと語る。ハーバードより入学が難しい大学を知って、そこに入学して脚本と出会い、小説とは違う方法だけど書くことを学び、それが仕事になった。夢を持っている人はその夢を描くだけじゃなく、即実行するようアドバイスしている。

言い換えると、実行できないなら、ほんとにただの夢で終わる。

ある日、Yesを言い始めて子供たちとの時間が減っていることに気付く。子供は成長が早いので、子供から遊ぼうといわれたら15分付き合うことにする。子どもが飽きるってそのくらいの時間らしい。

著者は、ストレスがあると食べることで発散していたため、過去最高の体重に達していた。そこで、医師に相談し、ダイエットも始める。
さらに、友人からの頼み事にNoと言えない性格だったけど、嫌われる勇気を持ち、自分が利用されていたことに直視し、ついにNoと言えるようになる。

ついに著者は、自分の実績や実力を認める。自分を肯定することで、さらに自信をつける。
その後、メディアへの露出が増えたのもあって、様々な賞をもらい、自分がここまで来れたのはガラスの天井がなかったから、自分より上の世代の女性たちがすでにそれを取り除いていたからだと気付く。
(米国でもビジネスではまだ女性の立場は対等とは言えない部分があるように思うけど、テレビ業界は違うのか?)

1年間yesと言い成長してきた著者は、結局今後も言い続けることを決める。ちなみに体重はなんと57㎏も減っていた!

結婚したくないけど子供は欲しいという女性の話を聞いたことがあるけど、著者はその実践者。早く母親になりたかったから養子をもらうことは最初から決めていて実行した。その後ある男性と出会いがあり、プロポーズもされたけど、結局断った。著者の両親は見合い結婚でいまだに仲良しなので、親を見て結婚に興味を失ったわけではない。

米国では彼女のように独身で、養子を育てているひとは結構いる。養子にするのに年齢のハードルも低いのか、ダイアン・キートンに至っては50歳過ぎてから二人の子供を養子にした(赤ちゃんから)。日本だと難しそう…。先進国では事実婚が増えているように思うけど、彼女のような「結婚」という選択肢を最初から持たず、子供を持つというケースもふつうに選択肢のひとつになっていくのだろうな。

以下、著者が自分の言葉で語っている。著者の英語はクリアでわかりやすい。

ところで、この本で著者が絶賛している、著者の子供もお気に入りの日本の本がある。それは、五味太郎作の「みんなうんち」。うんちは子供に、グローバルで人気。

著者は最後に、米国の女性の地位向上にとても貢献した、エレノア・ルーズベルトにも一言。



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