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☆本#352 職場「おいしいごはんが食べられますように」高瀬隼子著を読んで

著者へのインタビュー番組で知った本。
先輩女性社員をめぐる話。語り手は、彼女の後輩の女性社員と男性社員。
どちらもこの支店で働き始めた時彼女から教わったり引き継いだりした経験あり。で、いずれ簡単に彼女を追い抜くことができると思っている。
後輩女子は、彼女が急に休んだり、早退したりするとその分仕事をする羽目になる。上司らは彼女の体調をとても気遣っている。直情的なので、不満が表情に出て、上司からは嫌われている。
男性社員のほうは、実はなんとなく紹介されてその先輩女性と付き合っていて、彼女のような自己主張の強くないタイプが好み。

ある日残業後、語り手ふたりが食事に行く機会があり、後輩女子は彼女に対する不平不満を言う。そして、いっしょに彼女に意地悪しないか提案する。その後もふたりは、退勤後に食事に行く機会があり、互いに理解や共感する部分もあり、一線を越えそうになったり。

後輩女子の意地悪の内容は微妙だと思うけど、ある日事件が起こり、日ごろの行いから誤解され、思わぬ制裁を受ける。が、潔く対処。
一方、彼の行動は、山本文緒の「ばにらさま」の派遣女子を想起させた。してることは逆だけど、根本は同類な部分もあるというか。結局、彼のいじわるは癖か…。

読んでて、「置かれた場所で咲きなさい」という本を思い出した。先輩女子はここでしかおそらくうまくやっていけない。ので、ある意味体を張った戦術までも実行する。

語り手ふたりの最後の食事の会話が、タイトルにつながる。この二人のセリフはたまにとても長く、11行ぐらいのもあったりして、珍しい。

あらすじを読んで感じた印象とは、違う読後感。



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