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☆本#46 別人で生きる選択「ある男」by平野啓一郎

興味深いあらすじだったので読んだ本。

以下、あらすじ。

次男を病気で亡くしたことをきっかけに離婚した女性が故郷に帰省し、再婚する。その相手が4年もせず事故で亡くなり、相手の家族に知らせると実は別人だったことがわかる。

本の3/4くらいで事実が判明する。

読み始めは、少し「マディソン郡の橋(bridges of madison country)」を想起させる。作家がある弁護士の話を聞き、その弁護士が主にストーリーを展開していく。

途中殺人者の話がでてくる。殺人者のいる家族・一族は、そのマイナスの影響を多大に受ける実例を思い出した。

例えば、幼児を殺した犯人の父親は自殺し、その親戚たちは結婚を取りやめ、警察官だった人は辞職したり、秋葉原の通りに突っ込んで無差別に人を轢いた人の弟はその後自殺していたり...。

この小説でも、「ある男」は身内のそんなネガティブな影響を受け、それから逃れようとする。そして、実際逃れて、幸せな結婚をする。

はじまりは直木賞作家風だったけど、おわりはやはり芥川賞作家的。個人的見解だけど、直木賞の作品は、エンターテイメント性が高くエンディングは比較的すっきりしている。芥川賞の作品は精神性が深堀され、読後もやもやして、いろいろ考えさせられる。

最後のある場面で芥川龍之介の「浅草公園」という本が出てくる。まだ読んだことがないので、いつか読んでみたい。

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