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☆本#59 はかなさ 「藪医ふらここ堂」「阿蘭陀西鶴」朝井まかて著を読んで

時代小説を読んでいつも思うのは、儚さ。若くして命を落とすひとが多い。貧しさや、病気や、出産や、武士の融通の利かないしきたり等で...。

この2冊は偶然どちらも父娘の話で、どちらも母親は病気で亡くしいて、多分5代将軍綱吉のころの話。

綱吉については、「最悪の将軍」(朝井まかて著)という本が出ている。将軍を支えていくように育てられてきた綱吉が、将軍にならざるをえなくなり、『将軍は「将軍の長男」が継ぐことになっている(もし死別している場合は次男)』ので、母違いの兄の養子になることで将軍になっていく話。

ちなみに、将軍が父親で正室が母親なのは、家光だけらしい。意外と正室の子供がは少ないうえに幼少時に亡くなっている。現在、たしか徳川家は19代だったような。

話を戻す。前者は医者とその娘を中心としたフィクション、後者は井原西鶴と盲目の娘の史実をベースにした語。

前者は武士が出てきて、後者は近松とか歴史上の人物やほかに役者が出てきて、全然違うストーリー展開だけど、貧しさや義理人情や家族愛や、人の世の儚さはどちらも共通している。

ふたりの娘たちは、周りの女子と同調するのが苦手だったり、目が見えないことが関係してそれぞれ悩みがあるけれど、物語が進むうちに成長して悩みも少しずつ解消していく。

けれど、物語の終わり方は対極だ。

人生について、ちょっと考えさせられる作品。


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