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☆本#473 多様・複雑化、でも悩みの根源(人間関係の)は不変「カンバセーションズ・ウィズ・フレンズ」サリー・ルーニー著を読んで

著者のデビュー作。2作目は既読。これと共通点多数。ただ本作は語りは主人公の女子大生ひとりで、2作目は女子学生と男子学生の二人。この展開は1作目を踏まえているかも。本作では最初の方ですれ違いがあるけど、それは最後までわからない。一方、2作目ではふたりが交互に出てくるので、すれ違いの背景がすぐわかる。
今回も主人公がアイルランドのトリニティカレッジの学生。ちなみに、著者もそこの大学・大学院を卒業している。本作は大学院時に執筆。

フランシスは21歳、大学生で詩人。元恋人で現在ただの女友達のボビーと詩のパフォーマンスをしている。ボビーは30代後半でジャーナリストのメリッサに興味がある。
ある日、メリッサから二人の記事を書きたいと言われ、ふたりはメリッサの家を訪れる。そこで、フランシスはメリッサの夫で俳優で32歳のニックに出会う。ニックとメリッサは寝室が別だと聞く。

ニックの公演にメリッサから招待されたのをきっかけに、ニックのメアドを知る。メリッサを介して話す機会が増え、親密になっていく二人。
ニックはメリッサに二人の関係を話し…。

ニックのメンタル問題とメリッサの浮気、ボビーがモデルの本を書いてしまってからのボビーとの関係、特定の一人としない関係性、ある意味二股維持、学友との関係、社会的格差、富裕層との階級差、婦人科系の病気、出会い系、決裂と再会等々、シンプルで複雑。

著者はミレニアル世代の代弁者的と言われている。
主人公の迷走や思い込み深掘り的な部分は、世代を超えて普遍的。

著者が他の作家と違う点は、終わりが進行形的なところ。読後なんとなく、想像を掻き立てられる。
会話を「」にいれないところも特徴的。





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