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☆本#275,276 運動と身体「一流の頭脳」アンダース・ハンセン著、やるせない「JR上野駅公園口」柳美里著を読んで

どちらも話題になった本。ついに読む。
端的にいうと、前者は以前読んだ「スマホ脳」にも書かれていた、鬱とかストレス解消等は有酸素運動が効果があるというのを、研究者のリサーチ結果や、本人も医師なので対応した事例で説明している。後者は、東北の貧しい出身の男性が48年出稼ぎをし、その間とその後起こる悲しい出来事、嫌な予感で終わる、やるせない作品。

前者によると、週3回20分走るとポジティブな効果が得られるという。確かに脳関係の本を読むと、動いているとき脳がよく働くと書かれていたのを思い出した。週5日30分歩くと、脳の老化に歯止めをかけ、「認知症」の発症も減らせ、その他疾患予防にも効果があるそうだ。ポイントは、有酸素運動で心拍数を増やすことらしい。

生まれた時が脳の細胞数が最大で成長とともに減っていくとか、脳は使われてない部位があると習った気がするけど、どうやら正しくないらしい。死の直前でも脳細胞は増えるらしく、実験によると「毎日1400個の細胞が、成人の脳の海馬で生まれている」らしい。これを加速させる方法が運動らしい。
人物例では村上春樹が長編を執筆時、午後10キロ走る話が出てきた。

後者は、一言でを言うと「やるせない」話。悲しいことが起こるけど、人間にはどうしようもない。母親が主人公に運が悪いと言ったのが胸に突き刺さり、呪文化してしまう。

出身が東北で方言が出てくるけど、これって英訳するとき大変だったろうな、とか、日本文化的な点を訳すのって苦労したんじゃないかな、とか、アメリカで賞を獲った作品なので、そういう点が気になった。先日読んだアメリカの小説でも現地方言の英語が書かれていたので、あんな感じなのだろうか。

それにしても、悲しい状況・出来事凝縮のこの作品にアメリカ人が賞を与えるってなんか意外な気がしたけど、現在アカデミー賞候補になったあの日本の作品にも少し共通する心情があって、そういうのは人種を越えて普遍なのだろうな。

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